乾燥肌ケア
「肌は28日で生まれ変わる」は本当?40代後半から知っておきたいターンオーバーと乾燥肌の真実

「肌は28日で生まれ変わる」は目安として語られる数字で、全員に当てはまる固定周期ではありません。年齢や肌の状態などで表皮の更新速度は変わり、40代後半以降は若い頃より遅くなる傾向があります。
「28日を過ぎたから肌が悪い」と考えなくて大丈夫?
「若い頃は28日で肌が生まれ変わる」「年齢を重ねると45日、60日と長くなる」――美容サイトやSNSで、こんな説明を見かけたことはないでしょうか。乾燥が続いていると、「私のターンオーバーが遅れているから?」「28日待てば肌がきれいになる?」と気になるものです。
ただ、皮膚の更新はカレンダーのように全員が同じ日に一斉に切り替わる仕組みではありません。しかも、研究で使われる「表皮全体の更新時間」「角層を通過する時間」「細胞の増殖速度」は同じ意味ではないため、数字だけを比べると誤解が生まれやすくなります。
大切なのは、28日という数字に肌を合わせようとすることではなく、年齢とともに変わる肌のバリア機能をいたわり、乾燥を悪化させる要因を減らすことです。
「肌が生まれ変わる」とは?
一般に「肌の生まれ変わり」「ターンオーバー」と呼ばれているのは、表皮のいちばん深い側で作られたケラチノサイトという細胞が、少しずつ形を変えながら表面へ移動し、最後は角層の細胞となってはがれ落ちていく流れです。
2024年の皮膚老化に関するレビューでは、表皮の完全な更新には約28〜30日かかると説明されています。一方、別の皮膚科学レビューでは、ヒトの表皮の更新時間を40〜56日程度とする推定も紹介されています。つまり、医学文献の中でも「何を更新の始点・終点とするか」「どの方法で測るか」によって数字には幅があります。
参考文献:Skin senescence—from basic research to clinical practice (2024)
参考文献:Making an epidermis (2009)
「28日」は本当?
結論として、28日という数字は「表皮の更新を説明する代表的な目安」の一つではありますが、「健康な肌は必ず28日で一周する」と断定できる数字ではありません。
特に注意したいのが、「28日」という一つの数字を、そのまま40代、50代、60代にも当てはめることです。皮膚は年齢とともに構造や細胞の働きが変化します。2023年のレビューでは、加齢に伴って表皮・真皮が薄くなり、表皮幹細胞の減少などが皮膚機能の低下に関係するとまとめられています。2026年のレビューでも、加齢に伴う細胞老化が表皮の更新を損なうことが指摘されています。
参考文献:Molecular insights of human skin epidermal and dermal aging (2023)
参考文献:Skin aging: Mechanistic insights and targeted therapeutic strategies (2026)
年齢でターンオーバーはどう変わる?
年齢による違いを直接調べた古典的なヒト研究があります。1983年、GroveとKligmanは、健康な若年成人と高齢成人の皮膚に蛍光色素をつけ、その色素が皮膚表面から消えていくまでを追跡しました。
この研究で測定されたのは、表皮全体の「生まれてからはがれるまで」の時間そのものではなく、角層を移動する時間です。若年成人では約20日でしたが、高齢成人では10日以上長くなりました。研究者は、角層の層数が年齢で大きく変わらないことから、加齢に伴う表皮細胞の増殖低下を反映していると解釈しています。また、低下は成人期を通じて一定ではなく、50歳を過ぎた頃から目立つ可能性が示されました。
したがって、「年齢を重ねると肌の更新が遅くなる」という大きな方向性には根拠があります。ただし、この研究だけから「40代は○日、50代は○日」と年齢別の正確な日数を決めることはできません。
参考文献:Age-associated changes in human epidermal cell renewal (1983)
「年齢×1.5日」などの計算式は正しい?
美容情報では、「ターンオーバーは年齢×1.5日」「20代は28日、40代は40〜50日、50代は50〜60日」といった一覧が紹介されることがあります。分かりやすい目安ではありますが、今回確認した皮膚科学の文献からは、すべての人に適用できる標準的な計算式として裏づけられたものとは確認できませんでした。
ターンオーバーは年齢だけで決まるものではなく、紫外線などの外的要因、炎症、皮膚疾患、部位など複数の条件の影響を受けます。そのため、日数を細かく計算するより、「加齢によって更新能力やバリア機能が低下しやすい」という事実を押さえるほうが実用的です。
ターンオーバーが遅いと乾燥する?
ターンオーバーの低下と乾燥は無関係ではありませんが、「ターンオーバーが遅い=乾燥肌の唯一の原因」と考えるのは単純化しすぎです。
角層は、体内の水分が逃げすぎるのを防ぐバリアとして働きます。加齢した皮膚では、このバリア機能の回復が低下し、乾燥しやすくなることがレビューで指摘されています。また、米国皮膚科学会(AAD)は、年齢とともに皮脂が減り、皮膚が水分を保ちにくくなることも乾燥の一因として説明しています。
参考文献:Aging and Wound Healing of the Skin: A Review of Clinical and Pathophysiological Hallmarks (2022)
参考文献:American Academy of Dermatology: Dry skin—Who gets and causes
つまり、40代後半以降の乾燥を考えるときは、「更新日数を早める」ことだけを目標にするのではなく、角層から水分を逃がしにくくするケアを優先することが大切です。
「ターンオーバーを早めれば美肌になる」は本当?
必ずしもそうではありません。正常な表皮は、細胞が作られる速度と、角層がはがれる速度のバランスで保たれています。「遅いなら、どんどん角質を落とせばよい」と考えて、スクラブや強い拭き取り、頻繁なピーリングを重ねると、乾燥している肌では刺激になる可能性があります。
AADも、乾燥した皮膚をこすらないこと、刺激の少ない洗浄料を使うこと、入浴後すぐに保湿することを勧めています。特に皮むけが気になるときに、さらに削ることを優先するのではなく、まず保湿することが勧められています。
参考文献:American Academy of Dermatology: Dermatologists’ top tips for relieving dry skin
参考文献:American Academy of Dermatology: How to pick the right moisturizer for your skin
40代後半から乾燥対策はどうする?
「28日周期に戻す」ことよりも、科学的に筋の通った乾燥対策を積み重ねるほうが現実的です。次の3点を基本にするとよいでしょう。
- 洗いすぎ・こすりすぎを避ける:熱いお湯、長時間の入浴、強い洗浄や摩擦は、乾燥した皮膚への負担になり得ます。
- 入浴・洗顔後は早めに保湿する:クリームや軟膏などは皮膚から水分が逃げるのを抑える助けになります。AADは、乾燥肌ではローションよりクリームや軟膏を勧めています。
- 日中は紫外線を避ける:紫外線は皮膚老化を進める代表的な外的要因です。日焼け止めや衣類、日陰などで日常的に守ることが大切です。
参考文献:American Academy of Dermatology: How to care for your skin in your 60s and 70s
なお、赤み、強いかゆみ、ひび割れ、痛み、出血がある、保湿しても乾燥が続くという場合は、単なる加齢性乾燥だけでなく、湿疹や皮膚疾患が隠れていることがあります。その場合は、自己流で角質ケアを増やすより皮膚科で相談してください。
ツバメの巣と肌にはどんな研究がある?
食事や美容食品から肌を支えたい方の中には、ツバメの巣が気になっている方もいるかもしれません。ここは「ターンオーバーを28日に戻す食品」として紹介するのではなく、現在どこまで研究されているのかを分けて見る必要があります。
2022年には、40〜60歳の女性86人を対象にした無作為化二重盲検プラセボ対照試験が報告されています。43人ずつに分け、ツバメの巣抽出物100mgまたはプラセボを1日1回、12週間摂取してもらった研究です。12週後、機器で測定した複数のシワ指標ではツバメの巣抽出物群がプラセボ群より有意に低下しました。一方、肌水分量や弾力については、群間の有意差は確認されませんでした。
このため、「ツバメの巣を食べれば乾燥肌が改善する」「ターンオーバーが正常化する」とまでは、この研究から言えません。少なくとも、40〜60歳女性を対象にしたヒト試験でシワ指標について差が示された、という範囲で受け止めるのが適切です。
また2021年の研究では、培養したヒト角化細胞などを使い、ツバメの巣の水抽出物や酵素分解物によって、角層のバリアに関係するフィラグリン、フィラグリン2の発現が増えたと報告されています。ただし、これは主に細胞・組織モデルでの研究で、実際に人が食べたときの乾燥改善を直接証明したものではありません。
2024年の皮膚科学レビューでも、ツバメの巣について光老化、炎症、創傷治癒、皮膚バリアなどに関する基礎研究や初期の臨床研究が整理されていますが、著者らは、皮膚への有効性と安全性を確立するには、今後さらにヒト臨床研究が必要だとしています。期待できる研究はあるものの、「肌への効果が確立している」と言い切れる段階ではありません。
参考文献:The potential cutaneous benefits of edible bird’s nest (2024)
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乾燥対策の基本は、やさしく洗い、きちんと保湿し、紫外線から守ることです。そのうえで、毎日の食生活の中にツバメの巣を取り入れる選択肢に興味がある方は、原材料や配合内容、価格、続け方を確認してから選ぶとよいでしょう。
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よくあるご質問(FAQ)
Q1. 40代後半でも肌は28日で生まれ変わりますか?
「肌は28日で生まれ変わる」と一律に考えるのは適切ではありません。
28日という数字は、若い成人の表皮が入れ替わる期間の代表的な目安として広く使われています。しかし、表皮のターンオーバー時間は、どの部分を「ターンオーバー」と定義するか、どのような方法で測定・計算するかによって推定値が変わります。
例えば、表皮を増殖層・分化層・角層に分けて計算し直した研究では、同じ元データから導かれる表皮ターンオーバー時間が、それまでの39日ではなく47〜48日になると報告されています。つまり、専門家の間でも数字は一つに定まっていません。
さらに、加齢に伴って表皮細胞の増殖・更新能力が低下することも報告されています。下腿の皮膚を調べた研究では、高齢者の正常皮膚は若い人の正常皮膚より表皮細胞の増殖が有意に低下していました。また、皮膚老化についてのレビューでは、若い成人で約28日とされる表皮更新が、高齢者では40〜60日程度を要する場合があると説明されています。
したがって、40代後半だから「○日」と決めることはできません。28日はあくまで目安の一つであり、年齢や肌の状態、測定方法によって幅があると考えるのが適切です。
参考文献
Iizuka H. Epidermal turnover time. J Dermatol Sci. 1994;8(3):215-217.
Engelke M, Jensen JM, Ekanayake-Mudiyanselage S, Proksch E. Effects of xerosis and ageing on epidermal proliferation and differentiation. Br J Dermatol. 1997;137(2):219-225.
McCullough JL, Kelly KM. Prevention and treatment of skin aging. Ann N Y Acad Sci. 2006;1067:323-331.
2026/09/3 出口詩朋子
Q2. ターンオーバーが遅いと必ず乾燥肌になりますか?
いいえ。ターンオーバーが遅くなれば必ず乾燥肌になる、という単純な関係ではありません。
加齢によって表皮細胞の増殖が低下することは報告されていますが、乾燥肌そのものでは必ずしも細胞増殖が低下しているわけではありません。
62人を対象に、若年・高齢と正常肌・乾燥肌を組み合わせた4群に分け、下腿の皮膚を調べた研究があります。この研究では、高齢者の正常皮膚は若い正常皮膚より表皮細胞の増殖が低下していた一方、乾燥肌では同年代の正常肌に比べてむしろ増殖がわずかに増えていました。乾燥肌では、細胞の増殖速度だけではなく、角化や分化に関係するタンパク質にも変化が認められています。
また、乾燥肌には皮膚バリア機能、角層の水分・脂質、加齢、環境、皮膚疾患など、さまざまな要因が関係します。
そのため、「乾燥肌=ターンオーバーが遅い」と決めつけるのではなく、皮膚のバリア機能や保湿状態を含めて考えることが大切です。
参考文献
Engelke M, Jensen JM, Ekanayake-Mudiyanselage S, Proksch E. Effects of xerosis and ageing on epidermal proliferation and differentiation. Br J Dermatol. 1997;137(2):219-225.
Augustin M, Wilsmann-Theis D, Körber A, et al. Diagnosis and treatment of xerosis cutis – a position paper. J Dtsch Dermatol Ges. 2019;17 Suppl 7:3-33.
2026/09/3 出口詩朋子
Q3. 角質を落とせばターンオーバーは早くなりますか?
角質を落とすことだけで、肌のターンオーバーが「正常になる」とは言えません。
AHA(グリコール酸など)のように角質の剥離を促し、表皮のターンオーバーに影響する成分はあります。しかし、これは適切な濃度や使用方法で行った場合の作用であり、強くこすったり、頻繁に角質を削ったりすればよいという意味ではありません。皮膚老化に関するレビューでも、AHAには角質除去や細胞ターンオーバーを促す作用がある一方、刺激への配慮が必要とされています。
また、摘出した皮膚を機械的にこすった実験では、こする回数や力が増えるほど角層の細胞が損傷し、皮膚の透過性が高まってバリア機能が低下することが確認されています。
特に乾燥している肌で、スクラブやタオルなどを使って無理に角質を落とすと、かえって肌のバリアを傷める可能性があります。
乾燥が気になるときは、「古い角質を落とさなければ」と考えるより、こすりすぎない洗浄と十分な保湿を優先するのがよいでしょう。
参考文献
McCullough JL, Kelly KM. Prevention and treatment of skin aging. Ann N Y Acad Sci. 2006;1067:323-331.
Kikuchi K, Shigeta S, Numayama-Tsuruta K, Ishikawa T. Vulnerability of the skin barrier to mechanical rubbing. Int J Pharm. 2020;587:119708.
2026/09/3 出口詩朋子
Q4. 乾燥肌は28日待てば改善しますか?
「ターンオーバーが一周するまで28日待てば、乾燥肌が自然に改善する」と決まっているわけではありません。
そもそも表皮のターンオーバーは、すべての人で一律28日ではありません。また、乾燥肌は単に「古い角質が残っている状態」ではなく、角層の水分量や脂質、皮膚バリア機能など複数の要因が関係しています。
乾皮症(xerosis cutis)について専門家がまとめたポジションペーパーでは、原因となる刺激を避けることとともに、肌の水分を保つ成分と脂質の両方を含む保湿剤でバリア機能を整えることが重要とされています。
そのため、「28日間何もしないで待つ」のではなく、毎日適切な保湿を行い、洗いすぎや摩擦などの刺激を減らすことが大切です。
また、強いかゆみ、赤み、ひび割れなどが続く場合は、単なる乾燥肌ではなく皮膚疾患が関係している可能性もあるため、皮膚科に相談しましょう。
参考文献
Augustin M, Wilsmann-Theis D, Körber A, et al. Diagnosis and treatment of xerosis cutis – a position paper. J Dtsch Dermatol Ges. 2019;17 Suppl 7:3-33.
Iizuka H. Epidermal turnover time. J Dermatol Sci. 1994;8(3):215-217.
2026/09/3 出口詩朋子
Q5. ツバメの巣を食べるとターンオーバーが整いますか?
現時点では、人がツバメの巣を食べることで皮膚のターンオーバーが正常化・促進されると直接示した臨床エビデンスはありません。
40〜60歳の女性を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照試験では、ツバメの巣抽出物100mgを1日1回、12週間摂取したグループで、プラセボ群と比較してシワの指標に改善が認められました(105人が登録され、解析対象は86人)。
一方、肌の水分量の変化については、プラセボ群との間に統計学的な有意差は認められませんでした。また、この研究では表皮細胞の増殖速度や角層が入れ替わる日数など、「ターンオーバー」そのものは測定していません。
基礎研究では、ツバメの巣の水抽出物や酵素分解物をヒト由来の培養角化細胞(HaCaT細胞)に作用させると、皮膚のバリア機能や水分保持に関係するフィラグリンとフィラグリン2の発現が増加したことが報告されています。ただし、これは培養細胞や摘出皮膚を用いた研究であり、人が食べたときのターンオーバー改善を示したものではありません。
したがって現時点では、ツバメの巣についてはシワや皮膚に関する研究はあるものの、「ターンオーバーを整える」とまでは断定しない表現が科学的に適切です。
参考文献
Kim HM, Lee YM, Kim EH, et al. Anti-Wrinkle Efficacy of Edible Bird’s Nest Extract: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled, Comparative Study. Front Pharmacol. 2022;13:843469.
Lai QWS, Guo MSS, Wu KQ, et al. Edible Bird’s Nest, an Asian Health Food Supplement, Possesses Moisturizing Effect by Regulating Expression of Filaggrin in Skin Keratinocyte. Front Pharmacol. 2021;12:685982.
2026/09/3 出口詩朋子
まとめ:28日という数字より、今の肌に合ったケアを
「肌は28日で生まれ変わる」という説明は、表皮の更新をイメージしやすくする目安としては使えます。しかし、すべての人に共通する固定周期ではなく、年齢とともに表皮の更新能力が低下することも分かっています。
40代後半以降で乾燥が気になるときは、「私のターンオーバーは何日?」と日数を追うよりも、洗いすぎや摩擦を避け、保湿で角層を守り、紫外線対策を続けることが大切です。美容情報の数字に肌を合わせるのではなく、今の肌の状態を見ながら、無理のないケアを積み重ねていきましょう。
著者情報
出口 詩朋子(でぐち しほこ)
乾燥肌・シワ研究チーム 研究員
ツバメの巣研究所 研究員
ATHENA株式会社(HESTIAP 美容リサーチャー)



