乾燥肌ケア
40代の乾燥肌はターンオーバーの変化が原因?肌の生まれ変わりと乾燥の関係・整え方

40代の乾燥肌は、加齢に伴う肌のターンオーバーや角層バリアの変化が一因です。無理に代謝を早めず、保湿と刺激を避けるケアで整えることが大切です。
40代になると、なぜ乾燥を感じやすくなる?
「昔と同じ化粧水なのに、夕方には頬がつっぱる」「保湿しても粉をふく」「肌がごわついて、ファンデーションがきれいにのらない」。40代になると、それまで気にならなかった乾燥を急に感じ始める方は少なくありません。
乾燥肌の原因は一つではなく、空気の乾燥、洗いすぎ、紫外線、皮脂量の変化、皮膚疾患などが重なります。その中で見落とされやすいのが、表皮の細胞が生まれ、角層になり、最後にはがれ落ちるまでの「ターンオーバー」の変化です。
ただし、「40代になると全員のターンオーバーが○日まで遅くなる」と言い切れるほど単純ではありません。150人の健康な女性(18〜80歳)を調べた研究では、年齢とともに皮脂量は低下しましたが、角層の水分量や水分蒸散量と年齢との相関は小さく、部位や個人差も大きいことが示されています。つまり、年齢だけで乾燥を説明するのではなく、肌の作られ方とバリア機能を合わせて考えることが大切です。
参考文献:Age-related changes in skin barrier function – quantitative evaluation of 150 female subjects
肌のターンオーバーとは?
ターンオーバーとは、表皮の奥にある細胞が分裂し、少しずつ表面へ移動しながら形を変え、最後に角層の細胞としてはがれ落ちるまでの一連の流れです。単に「古い角質が落ちること」だけを指す言葉ではありません。
この途中で細胞は、外からの刺激を防ぎ、体内の水分を逃がしにくくするための角層を作ります。つまり乾燥肌を考えるときは、「どれだけ早く入れ替わるか」よりも、「水分を守れる角層がきちんと作られているか」が重要です。
ターンオーバーは28日周期と考えてよい?
美容情報では「肌は28日で生まれ変わる」と説明されることがありますが、これはすべての人、すべての部位に当てはまる固定値ではありません。1994年の論文では、過去の人の表皮細胞データを再計算すると、表皮全体のターンオーバー時間は47〜48日と見積もられました。
また、健康な女性を対象に顔と前腕を比較した日本の研究では、顔の角層ターンオーバーは前腕より速く、加齢による低下も前腕ではみられた一方、顔では明確ではありませんでした。研究方法や測定部位で数字が変わるため、「40代は必ず○日」と決めつけない方が正確です。
参考文献:Physiological analysis of the facial skin by corneocyte morphology and stratum corneum turnover
ターンオーバーの変化で乾燥肌はどうなる?
表皮の細胞は、表面へ移動する途中で「角層」という薄い保護膜の一部になります。角層は、角層細胞と、そのすき間を埋めるセラミドなどの脂質からできており、水分が外へ逃げすぎるのを防いでいます。
加齢した皮膚では、細胞の増殖や角層の作り直しが若い皮膚と同じようには進まないことが報告されています。ただし、人で明確に確認された大きな差は高齢者を対象にした研究が中心で、40代にそのまま当てはめることはできません。
たとえば20〜30歳と80歳超の人の皮膚を比べた研究では、通常時の水分蒸散量だけを見ると高齢者の方が低かったものの、テープなどでバリアを壊した後は、高齢者の皮膚の方が壊れやすく、回復も遅い結果でした。研究者は、角層の主要な脂質が全体として不足していたことが関係すると考察しています。
この研究から「40代の乾燥肌はターンオーバー低下が原因」と断定することはできません。しかし、年齢とともに肌の修復力や脂質環境が変化しうることは、乾燥対策を考えるうえで重要な背景です。
ターンオーバーは速めればよい?
結論からいうと、乾燥肌では「とにかくターンオーバーを速める」という考え方はおすすめできません。速くなれば、必ず丈夫な角層ができるわけではないからです。
18人の健康な女性を対象にした研究では、皮膚刺激物質のラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を繰り返し塗ると、角層のターンオーバー時間は約19.3日から約10.9日へ短くなりました。一方で、皮膚から逃げる水分量を示すTEWLは、3週間後に対照部位の約3.3倍まで上昇しました。
つまり、この研究では「入れ替わりが速くなったのに、バリアは悪化した」という結果です。ピーリングやスクラブ、強い洗浄を重ねて無理に角質を落とすより、角層がきちんと成熟できる環境を守る方が、乾燥肌には理にかなっています。
参考文献:Increased stratum corneum turnover induced by subclinical irritant dermatitis
乾燥肌を軽減するには何をする?
ターンオーバーそのものを自分の意思で直接コントロールすることはできません。そこで現実的なのは、「角層を余計に傷つけない」「不足しやすい水分と油分を補う」「続けられる頻度で保湿する」という3つです。
洗いすぎ・こすりすぎを減らす
乾燥やごわつきが気になると、古い角質を落としたくなるかもしれません。しかし、洗浄力の強いものを長時間使ったり、スクラブや強い摩擦を重ねたりすると、角層のバリアを損なう可能性があります。
特に肌がつっぱる時期は、洗顔料を必要以上に増やさず、手で強くこすらないことを意識してください。メイクや日焼け止めが落ちる範囲で、刺激の少ない洗浄に寄せるのが基本です。前述のSLS試験も、「ターンオーバーを刺激で速めること」がバリア改善と同じではないことを示しています。
参考文献:Increased stratum corneum turnover induced by subclinical irritant dermatitis
保湿剤は何を選ぶ?
乾燥肌では、化粧水で水分だけを与えるより、水分を抱え込む成分と、水分が逃げるのを防ぐ成分を組み合わせた保湿剤が使いやすいでしょう。代表的なものとして、グリセリン、尿素、セラミド、ワセリンなどがあります。
平均年齢54.8歳の軽〜中等度の乾燥肌24人(約92%が女性)を対象にした二重盲検の比較試験では、左右のすねにセラミド配合保湿剤と親水性クリームを塗り分けました。28日間、1日2回使用した結果、セラミド配合側では、皮膚の水分量、TEWL、皮膚pHなどが比較対照より良好に改善しました。
ただし、この研究は顔ではなく「すね」の乾燥肌を調べたものです。化粧品選びでは、成分名だけで効果を保証するのではなく、自分の肌に刺激がなく、毎日続けられるかも重視してください。
1日何回保湿する?
「夜にたっぷり1回」と「朝晩2回」では、乾燥肌の場合、朝晩の方が合う可能性があります。日本で行われた研究では、乾燥肌の成人女性24人(平均48歳、40〜60歳)に保湿剤を8週間使用してもらいました。
その結果、1日2回塗った部位では、無塗布部位と比べて角層水分量が有意に高くなり、角層細胞の接着状態を示す指標にも改善がみられました。1日1回の部位では同じ有意差は確認されませんでした。
この研究は特定のローションを脚に使った結果であり、すべての化粧品や顔に同じ結果が出るとは限りません。それでも、朝のメイク前と夜の入浴・洗顔後という「1日2回」を、40代の乾燥肌ケアの目安にするのは現実的です。
参考文献:Optimal application method of a moisturizer on the basis of skin physiological functions
食事や睡眠だけでターンオーバーを整えられる?
規則正しい生活は健康の土台ですが、「この食品を食べればターンオーバーが○日になる」「睡眠時間を増やせば乾燥肌が治る」といった単純な因果関係は、十分に確立されていません。
まずは極端な食事制限を避け、たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラルを含むバランスのよい食事をとること。そして、外側からの保湿と刺激対策を優先するのが現実的です。乾燥が強いときほど、特定の美容食品だけに頼らないようにしましょう。
ツバメの巣はターンオーバーや乾燥肌にどう関わる?
外側からの保湿を続けながら、内側からの美容習慣にも興味がある方にとって、研究対象の一つになっているのが食用ツバメの巣です。ここは、販売上のイメージではなく、現時点で確認できる研究の範囲に限定して見ていきます。
2021年の研究では、食用ツバメの巣の水抽出物と酵素消化物を、ヒト由来の培養角化細胞(HaCaT細胞)に加えて調べました。その結果、角層のバリアや天然保湿因子に関係するフィラグリン、フィラグリン2の遺伝子・たんぱく質発現が増加しました。さらに、マウス皮膚を体外で培養した実験でもフィラグリン発現の増加が確認されています。
フィラグリンは、角層が水分を保つ仕組みに関わる重要なたんぱく質です。ただし、この研究は培養細胞とマウス皮膚を使った基礎研究であり、ツバメの巣を食べた40代女性の乾燥肌やターンオーバーが改善すると証明した臨床試験ではありません。
また1987年には、ツバメの巣抽出物からEGF(上皮成長因子)に似た活性が検出され、休止状態の3T3線維芽細胞でDNA合成の指標が増え、その作用が抗EGF抗体によって抑えられたという研究があります。これは「細胞増殖に関わる活性が抽出物に存在した」ことを示す基礎研究です。
ただし、これをそのまま「食べると肌のターンオーバーが促進される」「シワや乾燥が治る」と結びつけることはできません。細胞実験で確認された活性と、食品として摂取したときの人の肌への効果は別に検証する必要があります。
参考文献:Evidence that epidermal growth factor is present in swiftlet’s (Collocalia) nest
経口摂取に近い研究としては、21匹の雌マウスにツバメの巣抽出物を毎日与えながら紫外線を10週間照射した実験があります。高用量群では、紫外線を当てた皮膚の水分量が対照群より有意に高く、表皮の細胞死も低用量・高用量群で少なくなりました。
これも動物実験なので、人の乾燥肌への有効性を確定するものではありません。現段階では、ツバメの巣は「保湿や表皮バリアに関わる仕組みが基礎研究で検討されている食品素材」と捉えるのが適切です。
ツバメの巣ゼリーを取り入れるなら?
乾燥肌の基本は、刺激を減らし、毎日の保湿で角層バリアを守ることです。そのうえで、「スキンケアだけでなく、食生活の中にも美容習慣を取り入れたい」と感じる方は、ツバメの巣を選択肢の一つとして検討してもよいでしょう。
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なお、食品は医薬品ではなく、乾燥肌や皮膚疾患を治療するものではありません。赤み、強いかゆみ、ひび割れ、痛み、湿疹などが続く場合は、セルフケアを続けるより皮膚科で原因を確認してください。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. ターンオーバーを早めれば乾燥肌は改善しますか?
いいえ。ターンオーバーは速ければ速いほど肌によい、というわけではありません。
健康な女性18人の皮膚に、刺激物であるラウリル硫酸ナトリウム(SLS、7.5%)を1日1回20分、週5日・3週間繰り返し塗布した研究では、角層のターンオーバー時間が、無処置部位の約19.3日から約10.9日へと大幅に短くなりました。
しかし同時に、皮膚から水分がどれだけ逃げているかを示す経皮水分蒸散量(TEWL)は増加し、3週間後には対照部位の約3.3倍になりました。
つまり、この研究ではターンオーバーが速くなった一方で、皮膚バリア機能は悪化していたことになります。
乾燥肌では「古い角質をどんどん落としてターンオーバーを早める」と考えるより、こすりすぎや刺激を避け、保湿によって角層が正常に形成される環境を守ることが大切です。
参考文献
Wilhelm KP, Saunders JC, Maibach HI. Increased stratum corneum turnover induced by subclinical irritant dermatitis. Br J Dermatol. 1990;122(6):793-798.
Augustin M, Wilsmann-Theis D, Körber A, et al. Diagnosis and treatment of xerosis cutis – a position paper. J Dtsch Dermatol Ges. 2019;17 Suppl 7:3-33.
2026/08/28 出口詩朋子
Q2. 40代の肌のターンオーバーは何日ですか?
「40代の肌は○日」と一律に決められる科学的根拠はありません。
表皮のターンオーバー時間については、研究方法や「どこからどこまでをターンオーバーと考えるか」によって数値が異なります。1994年の研究では、それまで39日とされていた同じ元データを、表皮を増殖層・分化層・角層に分けて計算し直すと47〜48日になると報告されています。専門家の間でも数字は一つに定まっていません。
また、ターンオーバー速度は体の部位によっても異なります。日本人女性を調べた研究では、顔の角層ターンオーバーは前腕の約2倍速いことが報告されています。さらに、顔の中でも部位によってターンオーバー速度に違いがあります。
加齢についても一律ではありません。別の研究では、若年成人の角層通過時間は約20日でしたが、高齢者では10日以上延長し、表皮細胞の更新速度の低下が示されています。
そのため、よく言われる「肌は28日で生まれ変わる」「40代だから○日」などの数字を全員に当てはめることはできません。
参考文献
Iizuka H. Epidermal turnover time. J Dermatol Sci. 1994;8(3):215-217.
河合美枝, 芋川玄爾, 溝口昌子. 角層細胞形態および角層turnoverからみた顔面皮膚の生理学的解析. 日本皮膚科学会雑誌. 1989;99(9):999-1006.
Grove GL, Kligman AM. Age-associated changes in human epidermal cell renewal. J Gerontol. 1983;38(2):137-142.
2026/08/28 出口詩朋子
Q3. ピーリングやスクラブは使わない方がよいですか?
ピーリングやスクラブなどの角質ケアが、すべて悪いわけではありません。ただし、乾燥、ヒリつき、赤みなどがあるときに刺激を重ねるのは避けたほうがよいでしょう。
健康な女性13人を対象に、グリコール酸ピーリングとマイクロダーマブレーションを行った研究では、どちらも施術直後に皮膚バリア機能が有意に低下しました。特にグリコール酸ピーリングでは、濃度によってバリア障害の程度が大きくなることが確認されています。
ピーリングはもともと、表皮や真皮に意図的でコントロールされた損傷を与え、その後の再生を利用する施術です。そのため、適切な方法で行えば美容目的に利用できますが、「強く・頻繁に角質を落とすほどよい」というものではありません。
乾燥や刺激感がある時期は頻度を減らすか一度休み、まず保湿と低刺激の洗浄を優先しましょう。使用後に強いつっぱり、赤み、痛み、皮むけなどが続く場合は中止してください。
参考文献
Song JY, Kang HA, Kim MY, Park YM, Kim HO. Damage and recovery of skin barrier function after glycolic acid chemical peeling and crystal microdermabrasion. Dermatol Surg. 2004;30(3):390-394.
Bommareddy K, Brody H, Cheng S, et al. Histologic Changes After Chemical Peeling: A Clinical Review. Dermatol Surg. 2026.
2026/08/28 出口詩朋子
Q4. 乾燥肌の保湿は化粧水だけでよいですか?
乾燥肌の場合、化粧水だけで十分とは限りません。
乾燥肌では、角層に水分を与えるだけでなく、水分を保持することと、皮膚から水分が逃げるのを防ぐことが重要です。
乾皮症(xerosis cutis)の診断・治療について専門家がまとめたポジションペーパーでは、保湿剤について、肌の水分量を高める成分と脂質を補う成分の両方を含む製品が推奨されています。また、乾燥が強いほど脂質量の多い製剤が適するとされています。
保湿剤には、グリセリンや尿素など水分を保持するヒューメクタント、ワセリンなど水分の蒸散を抑える閉塞性成分、角層表面をなめらかにする油性のエモリエントなどがあります。
セラミド配合保湿剤についても、乾燥肌を対象とした無作為化比較試験で、角層水分量の増加やTEWLの改善が報告されています。
そのため、乾燥が強い場合は、化粧水だけで終わらせるよりも、乳液やクリームなどを組み合わせて水分を逃がしにくくするほうが合理的です。
参考文献
Augustin M, Wilsmann-Theis D, Körber A, et al. Diagnosis and treatment of xerosis cutis – a position paper. J Dtsch Dermatol Ges. 2019;17 Suppl 7:3-33.
Wehr RF, Krochmal L. Considerations in selecting a moisturizer. Cutis. 1987;39(6):512-515.
Lueangarun S, Tragulplaingam P, Sugkraroek S, Tempark T. The 24-hr, 28-day, and 7-day post-moisturizing efficacy of ceramides 1, 3, 6-II containing moisturizing cream compared with hydrophilic cream on skin dryness and barrier disruption in senile xerosis treatment. Dermatol Ther. 2019.
2026/08/28 出口詩朋子
Q5. 乾燥が続くときは皮膚科を受診した方がよいですか?
はい。保湿や刺激を減らすケアを続けても乾燥が改善しない場合は、皮膚科で相談することをおすすめします。
米国皮膚科学会(AAD)も、適切な乾燥肌ケアを行っても改善しない場合は皮膚科医を受診するよう勧めています。乾燥して見える皮膚の背景に、アトピー性皮膚炎、乾癬などの皮膚疾患や、まれに全身疾患が隠れていることがあるためです。
また、乾燥が強くなると、皮膚がひび割れて出血したり、痛みやヒリつきが生じたりすることがあります。皮膚のバリアが破綻すると感染しやすくなり、黄色いかさぶた、膿や液体が出る、腫れるなどの症状が現れることもあります。
したがって、保湿を続けても改善しない、強いかゆみや赤みがある、ひび割れや出血がある、じゅくじゅくする、痛みや腫れがあるといった場合は、単なる乾燥と自己判断せず、早めに皮膚科を受診しましょう。
参考文献
American Academy of Dermatology Association. Dermatologists’ top tips for relieving dry skin.
American Academy of Dermatology Association. Dry skin: Signs and symptoms.
Augustin M, Wilsmann-Theis D, Körber A, et al. Diagnosis and treatment of xerosis cutis – a position paper. J Dtsch Dermatol Ges. 2019;17 Suppl 7:3-33.
2026/08/28 出口詩朋子
著者情報
出口 詩朋子(でぐち しほこ)
乾燥肌・シワ研究チーム 研究員
ツバメの巣研究所 研究員
ATHENA株式会社(HESTIAP 美容リサーチャー)



