乾燥肌ケア
乾燥肌とシアル酸にはどんな関係がある?働き・取り入れ方・ツバメの巣研究をわかりやすく解説

シアル酸は細胞表面の糖鎖をつくる成分ですが、塗る・食べることで乾燥肌が改善すると示す十分な人での臨床研究は、まだそろっていません。
シアル酸と乾燥肌にはどんな関係がある?
「保湿しているのに、なぜか肌が乾く」「最近よく聞くシアル酸は、乾燥肌にもいいの?」。美容成分の情報が増えるほど、何を信じればよいのか迷ってしまうことがあります。とくに乾燥が続くと、今のケアに何か足りない成分があるのでは、と考えたくなるものです。
シアル酸は、私たちの体の細胞表面や粘膜などに広く存在する糖の仲間です。皮膚でも細胞表面の「糖鎖」の一部として存在し、細胞同士の認識や情報伝達などに関わっています。
ただし、ここで大切なのは「体に存在する大切な成分」と「補えば乾燥肌が改善する成分」を同じ意味にしないことです。現時点では、シアル酸が不足することが乾燥肌の直接原因だとする十分な臨床根拠はありません。また、シアル酸を食べたり塗ったりすれば乾燥肌が改善する、と人を対象に確立されたわけでもありません。
シアル酸とはどんな成分?
シアル酸は一つの物質だけを指す名前ではなく、構造が似た糖の仲間の総称です。自然界では50種類以上が知られ、人の体では主にN-アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)が利用されています。
多くの場合、シアル酸はタンパク質や脂質につながった「糖鎖」の先端に存在します。糖鎖は、細胞が周囲の情報を受け取ったり、相手を認識したりするときに関わる構造です。つまりシアル酸は、単に「肌に水分を与える保湿剤」というより、体のさまざまな場所で細胞の働きを支える成分の一つと考える方が正確です。
2022年のFood Chemistryのレビューでは、シアル酸の生化学、食品中の供給源、抽出法、生理機能が整理されています。ツバメの巣は、とくにNeu5Acを多く含む食品源の一つとして紹介されています。ただし、このレビューはシアル酸そのものの特徴を整理したもので、乾燥肌への治療効果を証明した臨床試験ではありません。
シアル酸不足で乾燥肌になる?
現時点では、「シアル酸が不足すると乾燥肌になる」と人で直接確認した十分な臨床研究はありません。乾燥肌は一つの成分だけで決まるものではなく、肌のバリア機能、空気の湿度、洗浄のしかた、加齢、皮膚疾患など複数の要因が関係します。
そのため、乾燥を感じたときに「シアル酸が足りないのかもしれない」と考えて、シアル酸だけを補うことを最優先にする根拠は、今のところ十分ではありません。まずは肌表面の乾燥を直接ケアし、乾燥を招きやすい習慣を見直すことが基本です。
シアル酸は塗る?食べる?
美容成分では、「化粧品として塗るのか」「食品やサプリメントとして摂るのか」で働く場所や根拠が変わります。シアル酸については、今回確認できる研究だけでは、乾燥肌に対して外用と経口摂取のどちらが有効かを比較し、優劣を示した十分な人試験はありません。
食品としては乳類や肉類などにもシアル酸が存在し、ツバメの巣はNeu5Acを多く含む食品源の一つとしてレビューで紹介されています。一方、「シアル酸を多く摂るほど肌がうるおう」と示した研究ではありません。日常では、特定の成分だけを大量に摂るより、まず食事全体のバランスを整えることを土台に考えるのが現実的です。
乾燥肌のケアは何から始める?
シアル酸の研究は興味深いものの、乾燥肌対策の中心に置くほど人での根拠がそろっているわけではありません。乾燥を感じるときは、まず肌から水分が逃げにくい状態をつくる毎日のケアを優先しましょう。
保湿はどうする?
洗顔や入浴のあとに乾燥を感じる場合は、保湿剤を使いましょう。化粧水だけではつっぱりが残る人は、乳液やクリームを重ねる方法があります。ヒアルロン酸、セラミド、グリセリンなどを含む製品も選択肢ですが、成分名だけで決める必要はありません。肌に刺激を感じにくく、毎日無理なく続けられる製品であることが大切です。
洗いすぎや摩擦は減らす?
乾燥しやすい肌では、熱すぎるお湯、強い洗浄、タオルやコットンで何度もこすることは控えめにした方が無難です。洗顔はぬるめのお湯で短時間にし、タオルは押し当てるように水分を取ります。乾燥している日にスクラブやピーリングなど刺激になりやすいケアを重ねすぎないことも大切です。
食事や睡眠はどう考える?
乾燥肌を一つの食品だけで改善することは難しく、栄養が偏らない食事や十分な睡眠など、肌の健康を支える生活全体を整えることが基本です。美容成分を追加する場合も、こうした土台の代わりではなく、補助的な位置づけで考えるとよいでしょう。
ツバメの巣にはシアル酸が含まれている?
ツバメの巣は、シアル酸を含む食品として研究されてきました。食品化学のレビューでは、Neu5Acを中心とするシアル酸の豊富な供給源の一つとして紹介されています。
ただし、ツバメの巣にはシアル酸だけでなく、糖タンパク質やペプチドなどさまざまな成分が含まれています。したがって、ツバメの巣を使った研究結果を、そのまま「シアル酸だけの効果」と考えることはできません。
ツバメの巣は乾燥肌に役立つ?
乾燥肌との関係では、ツバメの巣エキスを使った基礎研究があります。2021年の研究では、培養したヒト角化細胞と皮膚組織モデルにツバメの巣の水抽出物や酵素分解物を加え、肌のバリアと水分保持に関わるタンパク質を調べました。
その結果、角層の保湿やバリア機能に関わるフィラグリン、フィラグリン2の遺伝子・タンパク質発現が増加し、酵素分解物では水抽出物より強い反応が確認されました。乾燥肌との関係を考えるうえで興味深い結果です。
ただし、この研究は培養細胞と皮膚組織モデルを使った基礎研究です。人がツバメの巣を食べたときに乾燥肌が改善することを直接証明したものではありません。また、ツバメの巣全体を使った研究なので、この反応をシアル酸単独の作用と断定することもできません。
人で肌のうるおいは改善した?
ツバメの巣エキスについては、40〜60歳の女性86人を対象にした無作為化・二重盲検・プラセボ対照試験もあります。43人ずつにツバメの巣エキス100mgまたはプラセボを毎日12週間摂取してもらい、肌の水分量や経皮水分蒸散量などを測定しました。
この試験では、ツバメの巣エキス群の肌水分量は摂取前より増えましたが、プラセボ群との比較では統計的に有意な差は確認されませんでした。経皮水分蒸散量についても、群間の有意差は確認されていません。
つまり、この人試験を根拠に「ツバメの巣を食べれば乾燥肌が改善する」と断定することはできません。基礎研究では保湿に関わる仕組みが研究されている一方、人で乾燥肌への効果を確立するには、さらに研究が必要というのが現時点での慎重な見方です。
シアル酸目的でツバメの巣を選ぶときの注意点は?
「シアル酸が豊富だから乾燥肌に必ずよい」と考えるのは避けましょう。シアル酸は体に存在する重要な成分ですが、シアル酸単独を食品として摂取して乾燥肌が改善したことを示す十分な臨床研究は、今回確認した元記事の範囲ではありません。
また、2024年の皮膚科学レビューでも、食用ツバメの巣について細胞・動物研究や初期の臨床研究は興味深いものの、皮膚への効果と安全性を確立するには、さらに人での研究が必要とまとめられています。美容食品を選ぶときは、「含まれている成分」だけでなく、「その製品や素材について人で何が確認されているか」を分けて見ることが大切です。
参考文献:The potential cutaneous benefits of edible bird’s nest
ツバメの巣ゼリーについて詳しく知るには?
乾燥肌の基本は、毎日の保湿と刺激を減らすケアです。そのうえで、内側からの美容習慣としてツバメの巣にも興味がある方は、原料や配合成分、研究情報を確認しながら、自分の生活に無理なく取り入れられるかという視点で選んでみてください。
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よくあるご質問(FAQ)
Q1. シアル酸が不足すると乾燥肌になりますか?
現時点では、シアル酸が不足することが人の乾燥肌の直接的な原因になると示した臨床エビデンスはありません。
シアル酸は、細胞表面の糖タンパク質や糖脂質などに存在する糖の一種で、免疫反応や細胞間の情報伝達など、さまざまな生理機能に関係しています。しかし、「体内のシアル酸量が少なくなると皮膚が乾燥する」という関係がヒトで確立されているわけではありません。シアル酸に関するレビューでもさまざまな生理作用が取り上げられていますが、シアル酸の不足を乾燥肌の原因として位置づける臨床的な根拠は示されていません。
一方、乾燥肌には、角層の水分保持機能や皮膚バリア機能の低下、低湿度、加齢、洗浄などによる刺激、皮膚疾患など、多くの要因が関係しています。
したがって、「乾燥肌=シアル酸不足」と考えるのではなく、まずは肌のバリア状態や保湿、生活環境などを含めて考えることが大切です。
参考文献
Ling AJW, Chang LS, Babji AS, et al. Review of sialic acid’s biochemistry, sources, extraction and functions with special reference to edible bird’s nest. Food Chem. 2022;367:130755.
Augustin M, Wilsmann-Theis D, Körber A, et al. Diagnosis and treatment of xerosis cutis – a position paper. J Dtsch Dermatol Ges. 2019;17 Suppl 7:3-33.
2026/09/1 出口詩朋子
Q2. シアル酸を食べれば乾燥肌は改善しますか?
シアル酸については、2026年に経口摂取による肌の水分量の改善を報告したヒト臨床試験が発表されています。そのため、「シアル酸を食べても肌への効果を調べた臨床試験はない」という表現は、現在では正確ではありません。
40〜65歳の中国人女性55人を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照試験では、シアル酸の主要な一種であるN-アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)を1日120mg、84日間摂取しました(Neu5Ac群27人、プラセボ群28人)。
その結果、Neu5Ac群ではプラセボ群と比較して、角層水分量の有意な増加が報告されました。また、皮膚の伸展性などにも改善が確認されています。
ただし、この研究は55人を対象とした1つの試験であり、著者ら自身も「Neu5Acの経口摂取に関する初めての臨床的エビデンス」と位置づけています。また、「乾燥肌」という皮膚疾患を治療した試験ではなく、すべてのシアル酸食品や摂取量で同じ効果が得られることを示したものでもありません。
そのため現時点では、「シアル酸の経口摂取が肌の水分量を高める可能性を示すヒト研究が出てきた段階」と考えるのが適切です。乾燥肌対策としては、まず保湿や刺激を減らすスキンケアを基本にしましょう。
参考文献
Oral N-Acetylneuraminic Acid Promotes Spot Brightening and Enhances Hydration and Elasticity: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Clinical Trial. Cosmetics. 2026;13(3):152.
2026/09/1 出口詩朋子
Q3. シアル酸配合の化粧品を塗れば保湿できますか?
シアル酸を配合した外用製品についても研究はありますが、「シアル酸が入っていれば、どの化粧品でも乾燥肌を改善できる」とまでは言えません。
2025年に発表された研究では、シアル酸をナノリポソーム化したクリームを25〜60歳の30人に56日間使用してもらい、皮膚への影響を調べています。
その結果、シアル酸ナノリポソームを配合したクリームでは、56日後に経皮水分蒸散量(TEWL)が8.45%低下し、皮膚バリア機能の改善を示唆する結果が得られました。シアル酸をそのまま配合した比較製品では、TEWLの低下は4.75%で統計学的に有意ではありませんでした。
ただし、この試験で使用されたクリームにはシアル酸以外にも、グリセリン、シアバター、ジメチコンなど複数の保湿成分が配合されています。また、シアル酸のナノリポソーム化という特殊な処方を評価した研究であり、著者には化粧品原料・製品を手がける企業の研究者が含まれています。
さらに、2024年にはN-アセチルノイラミン酸を含む複合成分配合のアイクリームでも12週間のヒト試験が行われていますが、こちらも複数成分を組み合わせた製品なので、シアル酸単独の効果とは判断できません。
そのため化粧品を選ぶ際は、「シアル酸配合」という成分名だけで判断せず、製品全体の保湿設計や刺激の少なさ、使用感なども含めて選ぶことが大切です。
参考文献
Yang F, Wang H, Luo D, Deng J, Hu Y, Liu Z, Liu W. Sialic Acid-Loaded Nanoliposomes with Enhanced Stability and Transdermal Delivery for Synergistic Anti-Aging, Skin Brightening, and Barrier Repair. Pharmaceutics. 2025;17(8):956.
Yang Y, et al. Comprehensive evaluation of the efficacy and safety of a new multi-component anti-aging topical eye cream. Skin Res Technol. 2024.
2026/09/1 出口詩朋子
Q4. シアル酸はどんな食品に含まれていますか?
シアル酸は自然界に広く存在しており、食品では乳類や肉類などにも含まれています。
シアル酸には50種類以上の構造が知られており、その代表的なものがN-アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)です。食品中のシアル酸についてまとめたレビューでは、乳類や肉類などがシアル酸の供給源として紹介されています。
なかでも食用ツバメの巣(Edible Bird’s Nest:EBN)は、Neu5Acを主体とするシアル酸を豊富に含む食品源の一つとして、食品化学のレビューで紹介されています。
実際、ツバメの巣を分析した研究でもシアル酸が検出されており、その含有量はツバメの種類や産地などによって異なることが報告されています。
ただし、食品にシアル酸が含まれていることと、「その食品を食べれば乾燥肌が改善する」ことは別の問題です。食品の美容効果を判断するときは、含有成分だけではなく、実際に人が摂取した臨床試験を見ることが重要です。
参考文献
Ling AJW, Chang LS, Babji AS, et al. Review of sialic acid’s biochemistry, sources, extraction and functions with special reference to edible bird’s nest. Food Chem. 2022;367:130755.
Li D, Lin Q, Luo F, Wang H. Insights into the Structure, Metabolism, Biological Functions and Molecular Mechanisms of Sialic Acid: A Review. Foods. 2024;13(1):145.
Quek MC, et al. Characterization of edible bird’s nest of different production, species and geographical origins using nutritional composition, physicochemical properties and antioxidant activities. Food Res Int. 2018.
2026/09/1 出口詩朋子
Q5. ツバメの巣を食べれば乾燥肌は改善しますか?
ツバメの巣については、肌の水分量を高める可能性を示す研究が出てきています。ただし、現時点で「ツバメの巣を食べれば乾燥肌が治る」とまでは言えません。
まず基礎研究では、ツバメの巣の水抽出物や酵素分解物をヒト由来の培養角化細胞(HaCaT細胞)に作用させると、皮膚のバリア機能や水分保持に関係するフィラグリンとフィラグリン2の発現が増加したことが報告されています。ただし、これは培養細胞や摘出皮膚を用いた研究です。
ヒトを対象とした2022年の無作為化二重盲検プラセボ対照試験では、40〜60歳の女性がツバメの巣抽出物100mg/日を12週間摂取しました(105人が登録され、解析対象は各群43人ずつの計86人)。この研究ではシワの指標の改善は認められましたが、肌の水分量についてはプラセボ群との有意差は確認されませんでした。
一方、2026年には新しいヒト介入試験が報告されています。健康な成人をツバメの巣摂取群と対照群に分けた試験で、ツバメの巣群では対照群と比較して角層水分量が有意に増加し、摂取開始前と比べて30日後に10.85%、90日後に26.19%増加しました。
ただし、この2026年の試験にはプラセボが設定されておらず(評価者側のみを盲検化)、対象人数も限られ、ツバメの巣を扱う企業から資金提供を受けています。著者ら自身も、より大規模な無作為化比較試験による確認が必要だと述べています。また「乾燥肌という疾患が治ったか」を評価した試験ではなく、特定の標準化されたツバメの巣製品を用いた結果です。
したがって現時点では、「ツバメの巣の経口摂取によって肌の水分量が改善したというヒト研究が報告されているが、乾燥肌そのものを治療できるとまでは確立していない」という表現が最も適切です。
参考文献
Lai QWS, Guo MSS, Wu KQ, et al. Edible Bird’s Nest, an Asian Health Food Supplement, Possesses Moisturizing Effect by Regulating Expression of Filaggrin in Skin Keratinocyte. Front Pharmacol. 2021;12:685982.
Kim HM, Lee YM, Kim EH, et al. Anti-Wrinkle Efficacy of Edible Bird’s Nest Extract: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled, Comparative Study. Front Pharmacol. 2022;13:843469.
Zhang W, Wang D, Zhang Y, et al. Dietary edible bird’s nest improves skin hydration by upregulating EGFR-AQP5 pathway. J Funct Foods. 2026;140:107266.
2026/09/1 出口詩朋子
シアル酸と乾燥肌について何を覚えておけばいい?
シアル酸は、細胞表面の糖鎖などを構成し、細胞同士の認識や情報伝達に関わる重要な成分です。しかし、体に必要な成分だからといって、補えば乾燥肌が改善するとは限りません。
現時点では、シアル酸不足が乾燥肌の直接原因になることや、シアル酸を塗る・食べることで乾燥肌が改善することは、十分な人試験で確立されていません。乾燥が気になる方は、まず保湿、洗いすぎや摩擦を減らすケア、食事や睡眠などの基本を整えることが優先です。
ツバメの巣については、皮膚細胞や組織モデルで保湿に関わるフィラグリンの発現を調べた基礎研究がありますが、人試験では肌水分量や経皮水分蒸散量にプラセボとの差が確認されていません。だからこそ、期待できる可能性と、まだ証明されていない部分を分けて考えることが、乾燥肌の情報を正しく選ぶうえで大切です。
著者情報
出口 詩朋子(でぐち しほこ)
乾燥肌・シワ研究チーム 研究員
ツバメの巣研究所 研究員
ATHENA株式会社(HESTIAP 美容リサーチャー)



