乾燥肌ケア
1日2リットル水を飲むと乾燥肌は改善する?科学的エビデンスからわかる本当の水分補給

水を1日2リットル飲むだけで乾燥肌が改善するとは言い切れません。水分不足の人では肌の水分量が少し増える可能性はありますが、保湿ケアの代わりにはなりません。
「水をたくさん飲めば肌がうるおう」って本当?
乾燥が気になると、「体の中の水分が足りないのかもしれない」と考えて、意識して水を飲む方も多いのではないでしょうか。SNSでは「毎日2リットル飲み始めたら肌が変わった」「美容のためには水をたくさん飲むべき」といった声もよく見かけます。
何とか乾燥肌を改善したいと思っていると、毎日できる簡単な方法ほど試したくなるものです。ただし、「健康のために適切な水分をとること」と「2リットル飲めば乾燥肌が改善すること」は、同じ意味ではありません。
水を2リットル飲めば乾燥肌は改善する?
現時点の研究からは、「1日2リットルの水を追加で飲めば、乾燥肌が改善する」とまでは結論づけられません。もともとの水分摂取量が少ない人では、飲水量を増やすことで角層の水分量がわずかに増える可能性があります。一方で、乾燥肌の症状そのものが確実に改善するか、40代以降でも同じ効果が得られるかは、まだ十分に確認されていません。
研究ではどこまでわかっている?
2018年に発表された系統的レビューでは、成人の飲水量と肌の水分量・皮膚機能を調べた研究を集め、最終的に6件の研究が評価されました。対象者の平均年齢は24~56歳でした。追加の水分摂取によって角層やより深い部分の水分量が少し増えた研究があり、とくに、それまでの水分摂取量が少なかった人で変化がみられやすい傾向が報告されています。
しかし、レビューの著者らは、研究数が少なく、研究方法の質にも限界があるため、エビデンス全体は弱いと評価しています。また、経皮水分蒸散量(肌から逃げる水分量)への影響ははっきりせず、年齢が高い人にも同じ関係があるかは不明としています。つまり、「水分摂取を増やすと肌水分量が少し上がる可能性」はあっても、「乾燥肌を治す」と言える段階ではありません。
個別研究では、健康な若い女性49人を対象に、日常の水分摂取量を調べたうえで約1か月間、追加の水分摂取による皮膚への影響を測定した研究があります。この研究では、追加摂取によって皮膚表面および深部の水分量などに変化がみられ、とくに普段の水分摂取が少ない群で変化が大きい傾向がありました。
ただし、この研究は平均年齢が約24.5歳の健康な女性が中心で、40代の乾燥肌を対象とした治療試験ではありません。そのため、この結果だけから「40代女性が2リットル飲めば乾燥肌が改善する」と置き換えることはできません。
参考文献:Dietary water affects human skin hydration and biomechanics(PubMed)
なぜ「水を2リットル飲めば美肌になる」と言われる?
この情報が広がりやすい理由の一つは、水が体に欠かせないものであり、「体内の水分が増えれば、そのまま肌もうるおう」とイメージしやすいからだと考えられます。実際、水は生命維持や体温調節、栄養素の運搬などに不可欠です。しかし、肌のうるおいは、飲んだ水の量だけで決まるわけではありません。
皮膚の一番外側にある角層では、天然保湿因子(NMF)が水分を抱え込み、角層の細胞間脂質が水分の蒸発を防ぐことで、うるおいが保たれています。つまり乾燥肌では、「水を入れること」だけではなく、「肌の中で水分を保ち、逃がさない仕組み」が重要です。
参考文献:Skin hydration: a review on its molecular mechanisms(PubMed)
なお、2010年の皮膚科学のレビューでも、「1日に6~8杯の水を飲めば肌がうるおう」という一般的な美容情報について、それを裏づける十分な科学的証拠は確認できないと論じられています。これは「水を飲む必要がない」という意味ではなく、美容効果を特定の量と結びつけて断定する根拠が不足している、という意味です。
乾燥肌には何を優先する?
乾燥肌を改善したい場合は、水を無理に2リットル飲むことよりも、まず肌から水分が逃げにくい状態をつくることが現実的です。その中心になるのが、毎日の保湿ケアです。
たとえば、セラミドを含む保湿剤を評価したレビューでは、比較試験のうち条件に合った12件を検討し、アトピー性皮膚炎など乾燥やバリア機能低下を伴う肌で、セラミド配合の外用剤が乾燥と皮膚バリア機能の改善に役立つことが示されました。対象や製品は研究ごとに異なるため、すべての乾燥肌に同じ効果を保証するものではありませんが、「外側から保湿し、バリア機能を支える」という考え方には比較的直接的な研究があります。
今日からできる乾燥肌対策は?
- のどの渇きを我慢せず、食事や飲み物から日常的に適切な水分をとる。
- 「美容のために必ず2リットル」と量を固定せず、体格、食事、運動量、気温などに合わせる。
- 洗顔・入浴後は時間を空けすぎず、保湿剤で角層の水分を保つ。
- 洗いすぎ、熱すぎるお湯、強い摩擦など、皮膚バリアを乱しやすい刺激を減らす。
- 赤み、強いかゆみ、ひび割れ、湿疹が続く場合は、単なる乾燥と決めつけず皮膚科に相談する。
水分補給は健康のために大切です。ただし、乾燥肌対策としては「飲む量を増やすこと」だけに期待するより、皮膚の水分保持とバリア機能を守るケアを組み合わせる方が、現在のエビデンスには沿っています。
ツバメの巣と肌の研究は?
美容食品として知られるツバメの巣(Edible Bird’s Nest)についても、肌との関係を調べた研究があります。ただし、ここでも「乾燥肌が改善する」と先に結論を決めるのではなく、研究で実際に確認された範囲を見ることが大切です。
2022年のランダム化二重盲検プラセボ対照試験では、40~60歳の女性86人を、ツバメの巣抽出物100mgを1日1回摂取する群とプラセボ群に43人ずつ分け、12週間比較しました。皮膚のシワ指標ではツバメの巣群にプラセボ群との差がみられました。一方、皮膚水分量は増加したものの、群間差は統計学的に有意ではありませんでした。
したがって、この臨床試験から言えるのは「ツバメの巣抽出物にはシワ指標に関する一定の臨床データがある」というところまでです。「ツバメの巣を食べれば乾燥肌が改善する」と断定することはできません。
また、UVBを照射したマウスを用いた研究では、ツバメの巣を与えた群で皮膚水分量の増加や経皮水分蒸散量の低下などが報告されています。ただし、これは動物実験です。人の乾燥肌に同じ効果があることを証明した研究ではないため、参考情報として捉える必要があります。
ツバメの巣を美容習慣に取り入れる?
乾燥肌の基本は、まず毎日の保湿や刺激を減らすケアです。そのうえで、食生活や美容習慣も見直したい方は、ツバメの巣についてどのような素材なのか、配合成分や続けやすさを確認してから選ぶとよいでしょう。
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よくあるご質問(FAQ)
Q1.水をたくさん飲めば飲むほど、肌はうるおいますか?
いいえ。水を飲む量に比例して、肌の水分量も増え続けると示した十分な科学的根拠はありません。
飲水量と肌の水分状態について調べたシステマティックレビューでは、水分摂取量を増やすことで角層や深部の皮膚の水分量がわずかに増加する可能性が示されています。ただし、対象となった研究は6件と少なく、いずれもバイアスのリスクが高いため、エビデンスの量と質は十分ではないと評価されています。特に、もともとの水分摂取量が少ない人ほど変化がみられやすい可能性が報告されています。
また、健康な女性49人(平均24.5歳)を対象に約2Lの水を1か月追加した研究でも、皮膚の水分量などに変化がみられ、とくに普段の水分摂取量が少ないグループで変化が大きい傾向がありました。
ただし、これらの研究から「2Lより3L、3Lより4Lと増やせば、その分だけ肌もうるおう」と結論づけることはできません。
そのため、水分が不足している人が適切に補うことには意味がありますが、乾燥肌改善のために必要以上の水を大量に飲む必要があるとは言えない、というのが現時点での科学的な考え方です。
参考文献
Akdeniz M, Tomova-Simitchieva T, Dobos G, Blume-Peytavi U, Kottner J. Does dietary fluid intake affect skin hydration in healthy humans? A systematic literature review. Skin Res Technol. 2018;24(3):459-465.
Palma L, Tavares Marques L, Bujan J, Monteiro Rodrigues L. Dietary water affects human skin hydration and biomechanics. Clin Cosmet Investig Dermatol. 2015;8:413-421.
2026/09/1 出口詩朋子
Q2.水を1日2リットル飲むことに意味はないのですか?
いいえ。水分補給そのものには、体の正常な機能を維持するために重要な役割があります。ただし、「乾燥肌を改善するために、すべての人が水を毎日2L飲まなければならない」という根拠はありません。
米国医学研究所(Institute of Medicine)の水分摂取基準では、必要な水分は「水」だけではなく、お茶などの飲料や、食事に含まれる水分も含めた総水分摂取量として考えられています。目安として示されている量も、この総水分摂取量としての数値です。
さらに、必要量は活動量、気温や湿度などの環境、食事内容などによって大きく変化します。そのため、示されている数値は「すべての人が満たすべき必要量」ではなく、集団としての目安と位置づけられています。
肌についても、「毎日2L」という数字そのものを乾燥肌改善の基準にできる十分な研究はありません。飲水量を増やした研究では肌の水分量がわずかに増加した可能性がありますが、研究数は限られています。
したがって、「2L飲む意味がない」のではなく、2Lを乾燥肌改善の絶対条件として考える必要はない、ということです。喉の渇き、食事、運動量、気温などに合わせて適切に水分をとることが大切です。
参考文献
Institute of Medicine. Dietary Reference Intakes for Water, Potassium, Sodium, Chloride, and Sulfate. National Academies Press; 2005.
Akdeniz M, Tomova-Simitchieva T, Dobos G, Blume-Peytavi U, Kottner J. Does dietary fluid intake affect skin hydration in healthy humans? A systematic literature review. Skin Res Technol. 2018;24(3):459-465.
2026/09/1 出口詩朋子
Q3.水分不足だと乾燥肌になりやすいですか?
体の水分が明らかに不足するような脱水状態では、当然ながら全身の正常な生理機能に影響します。ただし、健康な人の日常的な飲水量の少なさが、そのまま乾燥肌の原因になるかについては、まだ十分には分かっていません。
飲水量と肌の水分量に関するシステマティックレビューでは、普段の水分摂取量が少ない人が飲水量を増やした場合、角層水分量や深部の皮膚水分量がわずかに増える可能性が示されています。一方で、研究の数や質が限られているため、「水分摂取が少ないと乾燥肌になる」という因果関係までは確立されていません。
健康な女性を対象にした研究でも、約2Lの水を追加した際、普段の水分摂取量が少ない人のほうが皮膚の水分量の変化が大きい傾向がみられました。
つまり、普段ほとんど水分をとらない人が適切に補給することには意味がある可能性がありますが、「乾燥肌=水不足」と決めつけることはできません。
乾燥肌には、皮膚バリア機能、角層の脂質、洗浄、湿度、皮膚疾患など、ほかの要因も関係しています。
参考文献
Akdeniz M, Tomova-Simitchieva T, Dobos G, Blume-Peytavi U, Kottner J. Does dietary fluid intake affect skin hydration in healthy humans? A systematic literature review. Skin Res Technol. 2018;24(3):459-465.
Palma L, Tavares Marques L, Bujan J, Monteiro Rodrigues L. Dietary water affects human skin hydration and biomechanics. Clin Cosmet Investig Dermatol. 2015;8:413-421.
2026/09/1 出口詩朋子
Q4.乾燥肌には水を飲むことと保湿のどちらが大切ですか?
どちらも健康維持のために大切ですが、乾燥肌そのものへの直接的な対策としては、保湿剤を使って角層の水分を保ち、皮膚バリアを整える方法のほうが、現時点では研究が充実しています。
乾皮症(xerosis cutis)について専門家がまとめたポジションペーパーでは、乾燥肌のケアとして、皮膚の水分量を高める成分と、脂質を補ってバリア機能を支える成分の両方を含む保湿剤の使用が推奨されています。
また、乾燥肌のある健康な人51人を対象に、前腕へ塗布したあとの変化を12時間追跡した無作為化二重盲検クロスオーバー試験では、グリセリンを含む処方が肌の水分量を高め、ワセリンを含む処方が経皮水分蒸散量(TEWL)を低下させました。両方を含む完全処方のクリームでは、基剤のみと比べて水分量の増加とTEWLの低下がどちらも有意に認められています。
一方、飲水量を増やすことによる肌への効果は、システマティックレビューでも「わずかな改善の可能性はあるものの、エビデンスはまだ弱い」と評価されています。
したがって、必要な水分補給は続けつつ、乾燥肌対策としては保湿剤による直接的なケアを優先するのが合理的です。水を多く飲むことで、保湿剤を使わなくてもよくなるわけではありません。
参考文献
Augustin M, Wilsmann-Theis D, Körber A, et al. Diagnosis and treatment of xerosis cutis – a position paper. J Dtsch Dermatol Ges. 2019;17 Suppl 7:3-33.
Vaillant L, Georgescou G, Rivollier C, Delarue A. Combined effects of glycerol and petrolatum in an emollient cream: A randomized, double-blind, crossover study in healthy volunteers with dry skin. J Cosmet Dermatol. 2020;19(6):1399-1403.
Akdeniz M, Tomova-Simitchieva T, Dobos G, Blume-Peytavi U, Kottner J. Does dietary fluid intake affect skin hydration in healthy humans? A systematic literature review. Skin Res Technol. 2018;24(3):459-465.
2026/09/1 出口詩朋子
Q5.40代になると水を飲んでも肌が乾きやすいのはなぜですか?
まず、「40代になると水を飲んでも肌がうるおわなくなる」と示されているわけではありません。
飲水量と肌の水分量についてまとめたシステマティックレビューでは、対象となった研究の平均年齢は24〜56歳でしたが、年齢によって飲水の効果がどの程度変わるのかを判断できるほどの研究はありません。研究者らも、追加の水分摂取による肌への影響が高年齢層でも同じようにみられるかは不明としています。
一方、肌そのものには加齢による変化があります。
健康な女性150人を調べた研究では、角層水分量やTEWLと年齢との関連は小さかった一方、皮脂量は年齢とともに有意に減少しました。つまり、年齢とともに肌が乾燥しやすくなる背景は、単純に「体の水分が足りない」だけでは説明できません。
また、韓国人女性を対象に表皮と真皮の生理的特性を年代別に調べた研究でも、加齢に伴って皮膚の水分状態、弾力、シワなど複数の特性が変化することが確認されています。
そのほか、乾燥肌には角層の水分保持力、細胞間脂質、皮脂、皮膚バリア機能、洗いすぎや摩擦、湿度など複数の要因が関係します。
したがって40代で乾燥を感じるようになった場合も、「水を飲む量が足りない」とだけ考えるのではなく、適切な水分補給を続けながら、保湿、洗浄方法、紫外線や室内湿度なども含めて見直すことが大切です。
参考文献
Akdeniz M, Tomova-Simitchieva T, Dobos G, Blume-Peytavi U, Kottner J. Does dietary fluid intake affect skin hydration in healthy humans? A systematic literature review. Skin Res Technol. 2018;24(3):459-465.
Luebberding S, Krueger N, Kerscher M. Age-related changes in skin barrier function – quantitative evaluation of 150 female subjects. Int J Cosmet Sci. 2013;35(2):183-190.
Cho C, Cho E, Kim N, et al. Age-related biophysical changes of the epidermal and dermal skin in Korean women. Skin Res Technol. 2019;25(4):504-511.
2026/09/1 出口詩朋子
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、医療上の診断・治療に代わるものではありません。
著者情報
出口 詩朋子(でぐち しほこ)
乾燥肌・シワ研究チーム 研究員
ツバメの巣研究所 研究員
ATHENA株式会社(HESTIAP 美容リサーチャー)



