マスクで肌が乾燥するのはなぜ?30代女性のための「蒸れ・摩擦」対策と正しい保湿ケア

マスクは肌を守ってくれる一方で、長時間つけていると蒸れ・摩擦・温度変化によってバリア機能が乱れ、外したあとのつっぱりや乾燥につながることがあります。

「マスクを外した瞬間、口まわりがつっぱる」「頬がカサカサして、ファンデーションが浮いてしまう」。そんな変化を感じると、マスクの中は蒸れているはずなのに、どうして乾くのだろうと不思議に思いますよね。

実は、マスクの内側が湿っていることと、肌のバリア機能が良好であることは同じではありません。長時間の着用では、湿度や温度の上昇に加えて、マスクが肌に触れる摩擦や圧迫も重なります。その結果、角層の状態が不安定になり、乾燥やヒリつきにつながることがあるのです。

この記事では、マスクと乾燥肌の関係を研究結果から整理しながら、今日から無理なくできる対策をご紹介します。

この記事でわかることは?

  • マスクの「蒸れ」と「乾燥」が同時に起こり得る理由
  • 摩擦・圧迫・長時間の着用が、肌のバリアに与える影響
  • マスク前・マスク後にできる、研究に基づいた保湿ケア
  • ツバメの巣について、現在の研究で言えること・まだ言えないこと

マスクをすると、なぜ肌が乾燥する?

肌のいちばん外側にある「角層」には、体の水分を逃がしにくくし、外からの刺激が入り込みにくくするバリアの役割があります。マスクを長時間つけていると、その角層が高い湿度、温度変化、摩擦、圧迫にさらされることになります。

マスクの中が蒸れている間は、肌が一時的にしっとりしているように感じることがあります。しかし、高湿度による過度なふやけと物理的な摩擦が重なると、角層の構造が乱れやすくなります。マスクを外したあとに水分が逃げやすい状態になっていれば、「さっきまで蒸れていたのに、急につっぱる」という感覚につながります。

参考文献:Does Wearing a Face Mask During the COVID-19 Pandemic Increase the Incidence of Dermatological Conditions in Health Care Workers? Narrative Literature Review (圧迫・摩擦・高湿度・過剰な水分による角層バリア障害についてのレビュー)

実際の研究ではどう変化した?

韓国で敏感肌の健康な女性20人を対象に行われた研究では、KF94マスクを4時間着用したあと、着用前と比べて赤みと経皮水分蒸散量(TEWL)が有意に増え、角層の水分量は有意に低下しました。TEWLとは、肌から外へ逃げる水分の量をみる指標です。つまりこの研究では、マスク着用後に「水分が逃げやすく、肌の水分量が少ない」方向への変化が確認されたことになります。

研究:The effects of wearing a face mask and of subsequent moisturizer use on the characteristics of sensitive skin (健康な敏感肌女性20人、KF94マスク4時間)

別の研究では、健康な女性21人が1日6時間以上のマスク着用を1週間続けました。マスクで覆われた部分は、覆われていない部分より角層水分量が低く、テープで角層に負荷をかけたあとのバリアの弱さも示されました。一方、保湿剤を使った側では角層水分量が高く保たれ、バリアへの負荷も軽減されています。

研究:Compromised skin barrier induced by prolonged face mask usage during the COVID-19 pandemic and its remedy with proper moisturization (健康な女性21人、1日6時間以上を1週間、左右比較試験)

さらに、37件・計29,557人をまとめた系統的レビューとメタ解析では、マスク着用に関連する顔の皮膚トラブルとして、皮膚炎、かゆみ、ニキビ、圧迫による障害などが報告され、着用時間の長さが重要なリスク因子とされました。ただし、研究の多くは観察研究であり、すべての人に同じ症状が起こるという意味ではありません。

研究:Facial dermatoses induced by face masks: A systematic review and meta-analysis of observational studies (37研究、計29,557人)

「蒸れているのに乾く」のはどうして?

蒸れで角層がふやける?

マスクの中は、呼気や汗によって湿度が上がります。高湿度が続くと角層は水分を含んでふやけやすくなり、そこに摩擦が加わることでバリアが乱れやすくなると考えられています。「湿っている=バリアが丈夫」というわけではないのです。

摩擦と圧迫でどうなる?

頬、鼻、あごなどは、話す・表情を変える・マスクがずれる、そのたびに布地とこすれています。こうした繰り返しの摩擦や圧迫は、角層への物理的な刺激になります。乾燥やヒリつきがある日は、同じ刺激でも負担を感じやすくなります。

外した後に乾燥を感じやすい?

研究では、マスクを外したあとにTEWLの増加や角層水分量の低下が確認されています。バリアが乱れた肌では水分を保ちにくくなるため、マスクを外したあとのつっぱりやカサつきにつながる可能性があります。

マスクによる乾燥はどうケアする?

対策の基本は、「乾いてから慌てて足す」よりも、マスクをつける前から角層を保護し、外したあともやさしく整えることです。特別な美容法よりも、刺激を減らして保湿を続けるほうが現実的です。

マスクをつける前に保湿する?

はい。マスク前の保湿には、肌のバリアへの負担を軽くする可能性があります。2024年に敏感肌の女性30人を対象として行われた左右比較研究では、医療用マスクを3時間着用する前に保湿剤を塗った側で、塗らなかった側よりTEWLと赤みが有意に抑えられました。

研究:Mask wearing impacts skin barrier function and microbiome profile in sensitive skin (敏感肌女性30人、マスク着用前の保湿を左右で比較)

朝のスキンケアでは、化粧水だけで終わらせず、乳液やクリームなどで水分が逃げにくい状態をつくるのが一案です。塗った直後にマスクをつけてべたつく場合は、少し時間を置き、余分な量だけティッシュで軽く押さえると、摩擦を増やしにくくなります。

保湿剤はどんな成分を選ぶ?

乾燥肌では、「水分を抱え込む成分」と「水分が逃げるのを防ぐ成分」を組み合わせるのが基本の考え方です。たとえばグリセリンは保湿成分、ワセリン(ペトロラタム)は水分蒸散を抑える成分として、よく使われています。

乾燥肌の健康な成人51人を対象にした無作為化二重盲検クロスオーバー試験では、グリセリンとワセリンを含む保湿クリームを前腕に使用したところ、ワセリン側の働きとしてTEWLの低下、グリセリン側の働きとして角層水分量の増加が確認されました。この研究は顔やマスク環境で行われたものではありませんが、保湿成分それぞれの役割を理解する材料になります。

研究:Combined effects of glycerol and petrolatum in an emollient cream: A randomized, double-blind, crossover study in healthy volunteers with dry skin (乾燥肌の健康な成人51人)

香りや使用感が刺激になる方もいますので、ヒリつきが出ているときは、成分数が多すぎないシンプルな保湿剤から試してみるとよいでしょう。新しい製品で赤みやかゆみが出る場合は、使用を中止してください。

マスクを外した後はどう保湿する?

マスクを外したあとに乾燥やつっぱりを感じるなら、こすらずに汗や水分を押さえ、保湿剤を薄く塗り直す方法が実践しやすいです。先ほどの敏感肌女性20人の研究では、4時間のマスク着用後に30分間保湿剤を使用したところ、着用直後と比べてTEWLと赤みが低下し、角層水分量が増加しました。

研究:The effects of wearing a face mask and of subsequent moisturizer use on the characteristics of sensitive skin (マスク着用後の30分保湿で測定値が改善)

洗顔はどう見直す?

マスクで刺激を受けている日に、洗浄力の強い洗顔料や熱いお湯、ゴシゴシ洗いを重ねると、角層にさらに負担をかけてしまう可能性があります。洗顔はぬるめの水で、泡を転がすように短時間で行い、タオルは押さえるように使うのがおすすめです。

洗浄剤についてのレビューでは、一般にアルカリ性の石けんは皮膚の脂質やpHに影響しやすく、合成洗浄剤(いわゆるシンデット)は皮膚の構造やバリアを保ちやすいと整理されています。ただし製品ごとの差もあるため、「敏感肌用」という表示だけで刺激性が決まるわけではありません。

参考文献:Skin Cleansing without or with Compromise: Soaps and Syndets (石けんとシンデットによる皮膚バリアへの影響を整理したレビュー)

マスクの当たり方は見直す?

マスクが大きすぎて何度もずれたり、小さすぎて頬や鼻を強く圧迫したりすると、摩擦と圧迫が増えてしまいます。必要な防護性能を保つことを優先しつつ、サイズやフィットを見直し、同じ場所が強くこすれ続けないように工夫しましょう。

参考文献:Does Wearing a Face Mask During the COVID-19 Pandemic Increase the Incidence of Dermatological Conditions in Health Care Workers? Narrative Literature Review (適切なフィット、保湿、摩擦対策などを整理)

朝・日中・夜はどうケアする?

タイミングやることポイント
洗顔後に保湿剤を塗り、少しなじませてからマスクをつける化粧水だけで終わらせず、乳液・クリームなどで水分を逃がしにくくする
日中つっぱりを感じたら、可能な場所でマスクを外し、汗を押さえて保湿するこすらない。刺激がある日は、拭き取りやスクラブを控える
やさしく洗い、保湿を十分にする赤み・ヒリつきがある日は、攻めるケアより刺激を減らすことを優先する

ツバメの巣は乾燥肌にどう関係する?

ここまでの対策は、外側から角層を守る方法でした。では、内側からの美容習慣として、ツバメの巣はどうなのでしょうか。結論からお伝えすると、肌のバリアに関係する興味深い基礎研究はありますが、「ツバメの巣を食べればマスクによる乾燥肌が改善する」と人で確認されたわけではありません。

フィラグリンに関する研究はある?

2021年の研究では、ツバメの巣の水抽出物と酵素消化物を、ヒト由来の角化細胞(HaCaT細胞)に加えて調べました。その結果、角層のバリアや保湿に関わるタンパク質であるフィラグリン、フィラグリン2の遺伝子・タンパク質発現が増加しました。また、マウスの皮膚を体外で培養した実験でも、フィラグリンの増加が確認されています。

ただし、これは細胞や摘出したマウス皮膚での研究です。実際に人がツバメの巣を食べたときに、乾燥肌やマスクによるバリア低下が改善することを直接証明した研究ではありません。

研究:Edible Bird’s Nest, an Asian Health Food Supplement, Possesses Moisturizing Effect by Regulating Expression of Filaggrin in Skin Keratinocyte (ヒト由来角化細胞とマウス皮膚のex vivo研究)

人が食べた研究ではどうだった?

2022年には、40〜60歳の女性86人をツバメの巣エキス群とプラセボ群に43人ずつ分け、1日100mgを12週間摂取する無作為化二重盲検比較試験が行われました。12週後、シワの測定値では、ツバメの巣群がプラセボ群より有意に改善した項目がありました。

一方で、肌の水分量はツバメの巣群で増加したものの、プラセボ群との間に統計学的な有意差はありませんでした。TEWLにも有意な群間差は確認されていません。したがって、この研究から「ツバメの巣は乾燥肌を改善する」と結論づけることはできません。

研究:Anti-Wrinkle Efficacy of Edible Bird’s Nest Extract: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled, Comparative Study (40〜60歳女性86人、1日100mg、12週間)

2024年の皮膚領域に関する総説でも、ツバメの巣には光老化、炎症、創傷治癒、皮膚バリアなどに関する基礎研究や予備的な臨床研究がある一方で、効果と安全性を確立するには、さらに人での臨床研究が必要だとまとめられています。

参考文献:The potential cutaneous benefits of edible bird’s nest (2024年の皮膚科学レビュー)

ツバメの巣ゼリーを取り入れるなら?

マスクによる乾燥への対策として優先したいのは、まず保湿と、摩擦を減らすことです。そのうえで、ツバメの巣の基礎研究に興味があり、毎日の美容習慣として内側からのケアも取り入れてみたい方は、原材料や続け方を確認したうえで選ぶとよいでしょう。

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※ツバメの巣は食品です。医薬品ではなく、乾燥肌や皮膚疾患の治療を目的とするものではありません。食物アレルギーがある方、治療中・服薬中の方は、必要に応じて医師にご相談ください。

どんなときは皮膚科を受診する?

保湿や摩擦対策を続けても、赤み、強いかゆみ、痛み、皮むけ、じゅくじゅくとした湿疹などが続く場合は、単なる乾燥だけではなく、刺激性接触皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎などが関係していることがあります。症状が繰り返す、悪化する、日常生活に支障が出るといった場合は、皮膚科に相談してください。

参考情報:Skin reactions to face masks – DermNet (マスク関連の皮膚症状と原因の整理)

結局、マスク乾燥で大切なことは?

  • マスク内の蒸れは、肌のバリアが保たれている証拠ではない
  • 長時間の着用、摩擦、圧迫が重なると、角層の水分保持力が乱れやすい
  • マスクをつける前と外したあとの保湿は、研究でも有用性が示されている
  • 洗いすぎ・こすりすぎを避け、毎日の小さな刺激を減らす
  • ツバメの巣は基礎研究では興味深い結果があるが、乾燥肌改善のヒトエビデンスはまだ十分ではない

仕事や外出でマスクを長時間つける日があっても、30代の肌は、毎日のケアを大きく変える必要はありません。まずは「守る・こすらない・保湿する」を丁寧に続けること。それが、マスクによる乾燥を増やさないための現実的な第一歩です。

よくあるご質問(FAQ)

Q1.マスクをつけると必ず乾燥肌になりますか?

いいえ。マスクをつけた人すべてが乾燥肌になるわけではありません。
ただし、長時間のマスク着用によって、肌の水分状態やバリア機能が変化することを示したヒト研究があります。
健康な女性21人を対象とした研究では、1週間にわたり毎日6時間以上マスクを着用しました。その結果、マスクで覆われていた部分では、マスクを外した15分後の角層水分量が低下し、テープストリッピングで刺激を加えた際の経皮水分蒸散量(TEWL)が増加するなど、角層バリアが弱くなっていることが確認されました。
また、敏感肌の韓国人女性20人がマスクを4時間着用した研究でも、着用後に赤みとTEWLが増加し、角層水分量が低下しました。
一方、こうした研究は比較的小規模で、肌質、着用時間、マスクの種類、気温・湿度などによって影響は変わります。
したがって、「マスクをすると必ず乾燥する」のではなく、長時間着用などによって乾燥やバリア機能の低下が起こる人がいる、と考えるのが適切です。特にもともと乾燥しやすい方や敏感肌の方は、肌の状態を確認しながら保湿を取り入れるとよいでしょう。
参考文献
Feng L, Zhang Q, Ruth N, et al. Compromised skin barrier induced by prolonged face mask usage during the COVID-19 pandemic and its remedy with proper moisturization. Skin Res Technol. 2023;29(1):e13214.
Yoo MA, Kim SH, Han HS, Byun JW, Park KH. The effects of wearing a face mask and of subsequent moisturizer use on the characteristics of sensitive skin. Skin Res Technol. 2022;28(5):714-718.
2026/09/10 出口詩朋子

Q2.マスクの中が蒸れているのに、なぜ乾燥するのですか?

マスクの中が蒸れていることと、皮膚のバリア機能が良好で長時間うるおっていることは、同じではありません。
マスクを長時間着けると、呼気や汗によってマスク内は高温・高湿度の環境になります。実際、長時間のマスク着用は、皮膚を高湿度の閉塞環境にさらすことが確認されています。
ところが、健康な女性21人を対象とした研究では、こうした高湿度環境に長時間さらされた後、マスクを外すと角層水分量の低下やバリア機能の弱まりが確認されました。つまり、「蒸れているから保湿されている」とは限りません。
さらにマスク着用中は、肌とマスクが接触する部分に摩擦や圧迫が加わります。摩擦は皮膚の角化細胞などに機械的刺激を与え、繰り返されると赤み、落屑、亀裂、皮膚炎などにつながる可能性があります。
そのため、高温・高湿度による長時間の閉塞に、摩擦や圧迫が重なることで角層の状態が乱れ、マスクを外したあとにつっぱりや乾燥を感じることがあります。
なお、「蒸れた角層からマスクを外した瞬間に急激に水分が蒸発することだけが乾燥の原因」とまでは示されていません。複数の要因が関係していると考えるのが正確です。
参考文献
Feng L, Zhang Q, Ruth N, et al. Compromised skin barrier induced by prolonged face mask usage during the COVID-19 pandemic and its remedy with proper moisturization. Skin Res Technol. 2023;29(1):e13214.
Hsieh CY, Tsai TF. Current understanding of frictional dermatoses: A review.
2026/09/10 出口詩朋子

Q3.マスクをつける前に保湿剤を塗ってもよいですか?

はい。マスク着用前の保湿が、マスクによる皮膚バリアへの影響を抑える可能性を示したヒト研究があります。
2024年に敏感肌の女性30人を対象として行われた左右顔比較研究では、マスク着用前に片側の顔へ保湿剤を使用し、3時間マスクを着用しました。その結果、保湿剤を使用した側では、使用しなかった側と比較してTEWLと赤みが有意に低く抑えられました。
また、健康な若い女性20人を6週間追跡した研究では、2週間マスクを着用した後、次の2週間は保湿剤を塗ってから不織布マスクを着用しました。マスクだけを使用した期間にはTEWLや赤みなどの日内変動が大きくなりましたが、保湿剤を使用すると、これらの変化がベースラインに近い状態まで改善しました。
したがって、乾燥肌や敏感肌の方は、洗顔後に保湿剤を十分になじませてからマスクを着用することは、取り入れやすい対策の一つです。
ただし、研究で使用された特定の保湿剤と、市販されているすべての保湿剤が同じ効果を示すわけではありません。自分の肌に合い、刺激の少ない製品を選びましょう。
参考文献
Zhong S, Lai Y, Na J, Wu Y. Mask wearing impacts skin barrier function and microbiome profile in sensitive skin. Sci Rep. 2024;14(1):24209.
Miyamoto K, Munakata Y, Yan X, Tsuji G, Furue M. Enhanced Fluctuations in Facial Pore Size, Redness, and TEWL Caused by Mask Usage Are Normalized by the Application of a Moisturizer. J Clin Med. 2022;11(8):2121.
Feng L, Zhang Q, Ruth N, et al. Compromised skin barrier induced by prolonged face mask usage during the COVID-19 pandemic and its remedy with proper moisturization. Skin Res Technol. 2023;29(1):e13214.
2026/09/10 出口詩朋子

Q4.不織布マスクと布マスクでは乾燥しやすさが違いますか?

マスクの種類によって皮膚への影響が異なる可能性はありますが、「不織布マスクは乾燥しやすい」「布マスクなら乾燥しにくい」と単純に決めることはできません。
マスクによる肌への負担は、素材だけでなく、密着度、サイズ、摩擦、通気性、マスク内の温度・湿度、着用時間など複数の条件に左右されます。
例えば、833人を対象とした調査では、外科用マスク使用者は布マスク使用者より、何らかの皮膚トラブルが起こる割合が高いという関連が報告されました。しかし、この研究は観察研究で、「乾燥だけ」を比較したものではありません。
一方、2025年にKF94、サージカルマスク、布マスクを長時間着用して比較した研究では、8時間後に顔面の皮膚温はいずれでも上昇しましたが、TEWLの有意な上昇は布マスクで確認されました。
つまり、研究結果は一方向ではありません。
また、マスク関連の皮膚トラブルを調べた37研究・29,557人のメタ解析では、マスクの種類以上に、長い着用時間が皮膚トラブルの重要なリスク要因として認められています。
そのため、肌への負担だけで素材を決めるのではなく、感染対策などで必要な防護性能を確保したうえで、自分の顔に合ったサイズ・フィットを選び、必要以上にこすれない状態にすることが大切です。
参考文献
Techasatian L, Lebsing S, Uppala R, et al. The Effects of the Face Mask on the Skin Underneath: A Prospective Survey During the COVID-19 Pandemic. J Prim Care Community Health. 2020;11:2150132720966167.
Justin LYS, Yew YW. Facial dermatoses induced by face masks: A systematic review and meta-analysis of observational studies. Contact Dermatitis. 2022;87(6):473-484.
Effect of Prolonged Use of Different Facemasks on Their Physical Performance and Physiological Impact on the Wearer. 2025.
2026/09/10 出口詩朋子

Q5.マスクによる乾燥で皮むけや赤みが続く場合はどうすればよいですか?

まずは、肌への刺激を減らし、やさしい洗浄と十分な保湿を行うことが基本です。
米国皮膚科学会(AAD)は、マスクによって乾燥や刺激が起きた場合、低刺激のスキンケアを行い、保湿剤を使用することを勧めています。また、肌が荒れている間は、ピーリングやスクラブなど刺激になりやすいケアを一時的に控えることも勧めています。
マスクに関連する皮膚トラブルは乾燥だけではありません。37件・29,557人の観察研究をまとめたメタ解析では、マスク使用者にニキビ、顔面の皮膚炎、かゆみ、圧迫による皮膚障害などが報告されています。また、着用時間が長いほど皮膚トラブルのリスクが高くなる傾向が確認されています。
そのため、赤みやかゆみが強い、湿疹が広がる、痛みがある、皮むけが続く、保湿しても改善しないといった場合は、単なる乾燥ではなく、接触皮膚炎やアトピー性皮膚炎の悪化など別の皮膚トラブルが関係している可能性があります。
AADも、セルフケアを行っても症状が改善しない、または悪化する場合には皮膚科医へ相談することを勧めています。
症状が続く場合は無理に新しい化粧品を追加せず、皮膚科で原因を確認するとよいでしょう。
参考文献
Justin LYS, Yew YW. Facial dermatoses induced by face masks: A systematic review and meta-analysis of observational studies. Contact Dermatitis. 2022;87(6):473-484.
American Academy of Dermatology Association. Face mask skin problems: DIY treatment.
American Academy of Dermatology Association. 10 ways to prevent face mask skin problems.
2026/09/10 出口詩朋子

著者情報
出口 詩朋子(でぐち しほこ)
乾燥肌・シワ研究チーム 研究員
ツバメの巣研究所 研究員
ATHENA株式会社(HESTIAP 美容リサーチャー)

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