シワケア
肌をこするとシワが増える?40代の小じわを防ぐ「摩擦レス」ケア

肌をこする習慣は、角層のバリアを傷つけて水分を逃がし、乾燥による小じわを目立たせる一因になります。40代は特に「こすらないケア」が大切です。
「毎日のお手入れ」が小じわを目立たせることもある?
朝、鏡を見たときに「目元の細かい線が増えた気がする」「ファンデーションが小じわに入り込む」。
そんな変化が気になり始める40代。乾燥や紫外線には気をつけていても、意外と見落としやすいのが、洗顔やクレンジング、タオル、コットンなどによる“摩擦”です。
一度の摩擦ですぐに深いシワができるわけではありません。
ただ、肌を繰り返しこすると、肌のいちばん外側にある角層がダメージを受け、水分を保ちにくくなることが研究で示されています。乾いて柔軟性を失った肌では、浅い線やちりめん状の小じわが目立ちやすくなります。
摩擦で肌の中では何が起こる?
肌の表面にある「角層」は、外からの刺激を防ぎ、体内の水分が逃げすぎないように守るバリアです。ところが、タオルやコットンなどで繰り返しこすると、この角層に物理的な負担がかかります。
2018年に報告された研究では、健康な成人6人の前腕を、片側は石けんのみ、もう片側は石けんとナイロンタオルで1日2回、2週間洗いました。摩擦を加えた側では、皮膚から逃げる水分量を示すTEWL(経皮水分蒸散量)が有意に増え、角層の天然保湿因子(NMF)、セリン、乳酸が低下しました。つまり、繰り返す摩擦は、肌の“水分を守る仕組み”に負担をかける可能性があります。
さらに、健康な成人40人を対象に、前腕へ「引っかき」と「摩擦」を80回まで段階的に加えた2021年の研究では、どちらもTEWLが有意に上昇し、摩擦のほうが水分蒸散の増加が大きい結果でした。この研究は顔のシワを直接調べたものではありませんが、摩擦が角層バリアを乱しうることをヒトで示しています。
参考文献:Effect of scratching and friction on human skin in vivo. Skin Res Technol. 2021.
摩擦が「小じわ」に関係するのはなぜ?
ここは少し慎重に考える必要があります。現時点では、「毎日の洗顔やタオルの摩擦が、何年後の顔のシワを何本増やす」と直接証明した長期のヒト試験は十分ではありません。
ただし、摩擦によって角層バリアが乱れ、水分が逃げやすくなることは複数の研究で確認されています。肌表面の水分が不足すると、角層はしなやかさを失い、もともとある細かな凹凸や線が目立ちやすくなります。そのため、特に「乾燥で目立つ浅い小じわ」を考えるとき、不要な摩擦を減らすことは理にかなったケアです。
また、皮膚は外からの力を感じ取り、それに応じて細胞の働きを変える組織です。2023年のレビューでは、摩擦が角化細胞、線維芽細胞などに影響し、サイトカイン産生や細胞内シグナルを変化させることが整理されています。ただし、このレビューも「美容上の顔のシワ」を直接証明した研究ではない点には注意が必要です。
どんな習慣が肌の摩擦を増やす?
摩擦は、特別なことをしたときだけ起こるものではありません。毎日の美容習慣の中に、小さな「こする動作」が重なっていることがあります。
- クレンジングを落とそうとして、指に力を入れて何度も往復する
- 洗顔料を十分に泡立てず、指が直接肌をこする
- タオルで水分を拭き取るときに、左右へ動かしてこする
- 化粧水をコットンで何度もパッティング・拭き取りする
- 目元のメイクを落とすために、まぶたや目尻を強くこする
- 花粉症や目の疲れで、無意識に目の周りをこする
この中に当てはまるものがあっても、すべてを急にやめる必要はありません。大切なのは、「落とす・拭く・塗る」という動作を、肌が動かない程度のやさしい力に変えることです。
今日からできる「摩擦レス」ケアは?
1.クレンジングは「こする」より「なじませる」
クレンジング剤は、使用量が少ないほど指と肌の間のクッションが減り、摩擦が起こりやすくなります。製品に表示された適量を使い、指先で何度もこすらず、顔全体にやさしく広げてメイクとなじませます。落ちにくいポイントメイクは、顔全体と同じ動作で強くこするより、専用リムーバーを使って短時間で落とすほうが負担を減らしやすくなります。
2.洗顔は「泡を転がす」感覚にする
洗顔料はよく泡立て、指ではなく泡が肌に触れるように洗います。洗う時間を必要以上に長くせず、ぬるめの水ですすぎ残しがないようにします。洗浄そのものも皮脂や角層成分を減らすことがあるため、「強く洗えば洗うほど清潔になる」と考えないことが大切です。
3.タオルは「拭く」のではなく「押さえる」
洗顔後は、清潔でやわらかいタオルを顔にそっと当て、水分を吸わせます。左右に動かす必要はありません。洗浄と乾燥方法を比べたヒト研究でも、洗浄後にはTEWLが上がり、繰り返し洗浄でさらに増える傾向が確認されています。摩擦だけの影響を切り分けた研究ではありませんが、洗顔後の肌をいたわる理由の一つになります。
4.保湿は洗顔後なるべく早く
摩擦を減らしても、肌が乾燥したままでは小じわは目立ちやすくなります。洗顔後は時間を空けすぎず、化粧水や乳液、クリームなど、自分の肌に合う保湿剤をやさしくなじませましょう。塗るときも、マッサージのように肌を大きく動かす必要はありません。手のひらで包むように広げるだけで十分です。
5.「こすらない」を続けやすい環境にする
摩擦対策は、意識だけで続けるより、道具や手順を変えるほうが簡単です。やわらかいタオルを洗面所に置く、クレンジングの使用量を守る、目元用リムーバーを用意するなど、「こすらなくても済む仕組み」をつくると続けやすくなります。
内側からのケアとしてツバメの巣はどう考える?
摩擦対策の基本は、あくまで外からの刺激を減らし、保湿と紫外線対策を続けることです。そのうえで、食事や栄養から肌を支える「内側からのケア」に関心がある方には、食用ツバメの巣(Edible Bird’s Nest:EBN)について興味深い研究があります。
2022年に発表された無作為化・二重盲検・プラセボ対照試験では、40〜60歳の女性86人(解析対象)が、加水分解したツバメの巣エキスを含む試験食品またはプラセボを1日1回、12週間摂取しました。12週後、機器で測定した複数のシワ指標は、ツバメの巣群でプラセボ群より有意に低下しました。一方、肌水分量や弾力、TEWLなどの副次評価では、群間に有意差が確認されなかった項目もあります。
つまり、この研究からは「特定のツバメの巣エキスを12週間摂取した条件で、シワ指標の改善が確認された」とはいえますが、「ツバメの巣を食べれば誰でも摩擦による小じわが治る」「保湿効果が確実に高まる」とまでは言えません。また、研究資金には原料関連企業が含まれており、1施設・86人の試験である点も踏まえて受け止める必要があります。
さらに2021年の研究では、ツバメの巣エキスを用いた細胞実験とマウス実験で、紫外線B波による酸化ストレス下におけるヒアルロン酸合成、セラミド合成関連、コラーゲン関連の経路などが検討されました。結果は興味深いものですが、これはヒトの摂取試験ではありません。細胞や動物で得られた結果を、そのまま人の美容効果として断定しないことが重要です。
なお、2024年のレビューでも、ツバメの巣の皮膚への可能性について、細胞・動物・初期の臨床研究は有望である一方、効果と安全性を確立するには、さらにヒトでの研究が必要と整理されています。
参考文献:The potential cutaneous benefits of edible bird’s nest. Arch Dermatol Res. 2024.
ツバメの巣を毎日の美容習慣に取り入れるには?
摩擦を減らす、やさしく洗う、きちんと保湿する。まずは、この基本を毎日の習慣にすることが小じわ対策の土台です。そのうえで、内側からの美容習慣にも関心がある方は、ツバメの巣を取り入れる選択肢を調べてみてもよいでしょう。
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摩擦から小じわを守るポイントは?
肌への摩擦は、角層バリアを乱し、水分を逃がしやすくすることがヒト研究で示されています。毎日の洗顔やクレンジングで「こする回数」を減らし、洗顔後にきちんと保湿することは、乾燥による小じわを目立ちにくくするための現実的な対策です。
40代の肌は、何かをたくさん足すよりも、まず「余計な刺激を減らす」ことが大切な場合があります。今日から、タオルでこすらない、目元を引っ張らない、クレンジングを急がない。その小さな変化から始めてみてください。
よくあるご質問(FAQ)
Q1.顔をこすると、本当にシワが増えるのですか?
現時点では、日常的に顔をこすることが将来の顔のシワを直接増やすと示した長期的なヒト研究は十分ではありません。
一方、摩擦によって皮膚バリアがダメージを受けることは、人を対象とした研究で確認されています。
健康な40人の前腕に「こする」「ひっかく」という刺激を繰り返し加えた研究では、どちらでも経皮水分蒸散量(TEWL)が有意に増加し、とくに摩擦刺激ではより大きなバリア機能の低下が認められました。また、皮膚表面の粗さや落屑も増加しました。
さらに、摘出したヒトの角層を用いた実験でも、摩擦の回数や力が増えるほど角層細胞の損傷が大きくなり、皮膚バリアの透過性が高まることが示されています。ただし、こちらは生体の顔でシワの形成を追跡した研究ではありません。
また、乾燥した肌では細かな線が目立ちやすくなり、保湿剤によって肌の水分量やバリア機能を改善すると、細かな線やシワの見た目が改善したという無作為化比較試験もあります。
したがって、「顔をこすると必ずシワが増える」と断定はできないものの、繰り返す強い摩擦は皮膚バリアを傷めるため、不要な摩擦を減らすことは肌を守るうえで合理的、と考えるのが適切です。
参考文献
Fei C, Xu Y, Cao T, et al. Effect of scratching and friction on human skin in vivo. Skin Res Technol. 2021;27(6):1049-1056.
Kikuchi K, Shigeta S, Numayama-Tsuruta K, Ishikawa T. Vulnerability of the skin barrier to mechanical rubbing. Int J Pharm. 2020;587:119708.
Nisbet S, Mahalingam H, Gfeller CF, et al. Cosmetic benefit of a biomimetic lamellar cream formulation on barrier function or the appearance of fine lines and wrinkles in randomized proof-of-concept clinical studies. Int J Cosmet Sci. 2019;41(1):1-11.
2026/08/25 出口詩朋子
Q2.洗顔は手で触れないほうがよいですか?
いいえ。顔にまったく触れずに洗う必要はありません。
大切なのは「触れること」そのものより、強くこする、何度も往復させる、長時間洗い続けるといった刺激を避けることです。
米国皮膚科学会(AAD)は、洗顔では低刺激で研磨性のない洗顔料を使用し、ぬるま湯で濡らした顔に指先でやさしく洗顔料を広げることを勧めています。洗顔タオルやメッシュスポンジなどは刺激になる可能性があり、こすることも避けるよう推奨しています。
また、アトピー性皮膚炎の女性35人を対象とした研究では、メイク落としの際に必要な摩擦力を減らせる洗浄剤に変更したところ、4週間後に乾燥、落屑、刺激感、赤み、かゆみが改善し、TEWLも低下しました。
そのため、指先でやさしく洗う、強くこすらない、必要以上に長時間洗わない、ということを意識するとよいでしょう。
「泡を立てれば絶対に摩擦がゼロになる」という意味ではないため、泡の量そのものより、指で肌を強く動かさないことを意識するほうが大切です。
参考文献
American Academy of Dermatology Association. Face washing 101.
Hosokawa K, Taima H, Kikuchi M, et al. Rubbing the skin when removing makeup cosmetics is a major factor that worsens skin conditions in atopic dermatitis patients. J Cosmet Dermatol. 2021;20(6):1915-1922.
2026/08/25 出口詩朋子
Q3.タオルで顔を拭くときは、どのようにすればよいですか?
洗顔後は、清潔でやわらかいタオルを使い、肌を強くこすらずに水分を取るのがよいでしょう。
米国皮膚科学会(AAD)は、洗顔後にはやわらかいタオルで軽く押さえるように乾かすこと(pat dry)を勧めています。
ただし、「押さえて拭く方法が、やさしくこする方法より必ず皮膚バリアに優れている」と示されているわけではありません。
健康な人の前腕で、洗浄方法とタオルによる乾燥方法を比較した小規模な研究では、洗浄を繰り返すことでTEWLが増加しました。一方、軽く押さえる方法がやさしい摩擦による拭き方より明確に優れているという結果は得られませんでした。
したがって、「絶対に押さえて拭かなければならない」というよりも、ゴシゴシと何度も往復させない、やわらかく清潔なタオルを使う、必要な水分だけをやさしく取る、ということが重要です。
特に乾燥や赤みがある肌では、強い摩擦を避けるようにしましょう。
参考文献
Voegeli D. The effect of washing and drying practices on skin barrier function. J Wound Ostomy Continence Nurs. 2008.
American Academy of Dermatology Association. Face washing 101.
2026/08/25 出口詩朋子
Q4.摩擦を減らせば、できてしまった小じわは消えますか?
摩擦を減らすだけで、すでにできた小じわが消えると示した臨床研究はありません。
ただし、小じわの目立ち方には肌の乾燥状態が影響します。
健康な女性を対象とした無作為化比較試験では、保湿クリームを1日2回、4週間使用した結果、無処置の場合と比較してTEWLが低下し、角層水分量が増加するとともに、シワの評価にも改善が認められました。
そのため、強い摩擦などによって皮膚バリアが乱れ、乾燥による浅い線が目立っている場合には、摩擦を減らしたうえで保湿を続けることで、線が目立ちにくくなる可能性はあります。
一方、表情を戻しても深く残るシワや、長年の紫外線・加齢による真皮の構造変化を伴うシワは、保湿や摩擦対策だけでなくすことは困難です。
したがって、乾燥による浅い小じわには摩擦を減らして保湿すること、深く定着したシワには紫外線対策なども行い、必要なら皮膚科・美容皮膚科に相談すること、と考えると分かりやすいでしょう。
参考文献
Nisbet S, Mahalingam H, Gfeller CF, et al. Cosmetic benefit of a biomimetic lamellar cream formulation on barrier function or the appearance of fine lines and wrinkles in randomized proof-of-concept clinical studies. Int J Cosmet Sci. 2019;41(1):1-11.
American Academy of Dermatology Association. Dermatologists’ top tips for relieving dry skin.
2026/08/25 出口詩朋子
Q5.ツバメの巣はシワ対策に役立ちますか?
ツバメの巣については、シワの改善を示したヒト臨床研究が複数報告されています。ただし、研究数はまだ限られており、「ツバメの巣を食べればシワが消える」とまでは言えません。
2022年に40〜60歳の女性を対象として行われた無作為化二重盲検プラセボ対照試験では、ツバメの巣抽出物100mgを1日1回、12週間摂取しました(105人が登録され、解析対象は各群43人ずつの計86人)。その結果、ツバメの巣群ではプラセボ群と比較して、シワの指標に有意な改善が認められました。
一方、この2022年の試験では、肌の水分量などすべての評価項目にプラセボ群との差が認められたわけではありません。
その後、2026年には別のヒト介入試験が発表されました。健康な成人が90日間ツバメの巣を摂取した研究では、対照群と比較して角層水分量、皮膚の弾力、光沢などが改善し、目元のシワについても改善が報告されています。ただし、この試験にはプラセボが設定されておらず(評価者側のみを盲検化)、対象人数も限られ、ツバメの巣を扱う企業から資金提供を受けています。
また、2022年と2026年では、使用されたツバメの巣製品、摂取方法、対象者などが異なります。これらの研究はいずれも「顔をこすることでできるシワ」を対象にした試験ではありません。
したがって現時点では、「ツバメの巣の経口摂取でシワの指標の改善を示したヒト試験はある。ただし、すべての製品やすべての種類のシワに同じ効果があると確立した段階ではない」と表現するのが適切です。
紫外線対策、保湿、強い摩擦を避けるなど基本的なスキンケアを行ったうえで、ツバメの巣は内側からの美容習慣の補助的な選択肢として考えるとよいでしょう。
参考文献
Kim HM, Lee YM, Kim EH, et al. Anti-Wrinkle Efficacy of Edible Bird’s Nest Extract: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled, Comparative Study. Front Pharmacol. 2022;13:843469.
Zhang W, Wang D, Zhang Y, et al. Dietary edible bird’s nest improves skin hydration by upregulating EGFR-AQP5 pathway. J Funct Foods. 2026;140:107266.
2026/08/25 出口詩朋子
※本記事は美容・健康に関する一般的な情報提供を目的としたもので、医療上の診断・治療を目的とするものではありません。赤み、痛み、かゆみ、湿疹などが続く場合は皮膚科を受診してください。
著者情報
出口 詩朋子(でぐち しほこ)
乾燥肌・シワ研究チーム 研究員
ツバメの巣研究所 研究員
ATHENA株式会社(HESTIAP 美容リサーチャー)



