乾燥肌ケア
保湿してもすぐ乾くのはなぜ?40代の「しぼんだ肌」にうるおいとハリを守るケア

保湿してもすぐ乾き、肌がしぼんで見える背景には、角層の水分保持力やバリア機能の低下、紫外線、加齢による皮膚構造の変化などが重なっています。
なぜ保湿してもすぐ乾くように感じるのでしょうか?
朝は化粧水やクリームでしっかり保湿したはずなのに、昼には頬がつっぱる。
夕方になると肌が薄くしぼんだように見え、ファンデーションの細かな筋まで気になる。
40代になると、そんな「保湿しているのに足りない」という感覚に戸惑う方がいます。
ここで大切なのは、肌のうるおいは「水分を与えた量」だけで決まらないことです。
肌の一番外側にある角層には、水分を抱え込み、逃がしにくくする働きがあります。
この仕組みがうまく働かないと、化粧水を重ねても、時間がたつと乾きを感じやすくなります。
肌のうるおいはどのように守られているのでしょうか?
角層は、よく「レンガとモルタル」にたとえられます。
角層細胞がレンガ、そのすき間を埋める脂質がモルタルのように並び、体内から水分が必要以上に逃げるのを防いでいます。さらに角層細胞の中には、天然保湿因子(NMF)と呼ばれる、水分を抱え込む成分があります。
皮膚の水分保持機構をまとめたレビューでは、角層の水分保持には、天然保湿因子と細胞間脂質の両方が重要であり、角層の水分状態は肌の柔らかさやなめらかさだけでなく、正常な角化や酵素の働きにも関係すると説明されています。
参考文献:Skin hydration: a review on its molecular mechanisms(PubMed)
40代になると肌の水分量は必ず減るのでしょうか?
「40代になると肌の水分が一気に減る」と説明されることがありますが、研究結果はそこまで単純ではありません。2022年のシステマティックレビュー・メタ解析では、健康な成人の角層水分量を機器で測定した19研究が選ばれ、身体の12部位について検討されました。若年者と中年者を比較した解析では、角層水分量に統計的な有意差は確認されませんでした。
また、18〜80歳の健康な女性150人を5つの年代群に分けて調べた研究でも、角層水分量と経皮水分蒸散量は年齢との相関が小さい一方、皮脂分泌量は年齢とともに有意に低下しました。つまり、40代の乾燥感を「年齢だけで水分量が減った」と決めつけるのは適切ではありません。皮脂、バリア機能、環境、スキンケアなど複数の要因を考える必要があります。
年齢とともに肌のバリア機能はどう変わるのでしょうか?
年齢を重ねた皮膚では、角層の構造、脂質の合成や処理、角層の水分保持、刺激を受けた後の回復など、バリアに関わる複数の機能が変化することがレビューで報告されています。ただし、すべての人で同じ程度に低下するわけではなく、測定項目によって加齢の影響は異なります。
参考文献:Aging of the skin barrier(PubMed)
紫外線はうるおいとハリ不足に関係するのでしょうか?
紫外線は、シワや弾力低下などの光老化に関係する代表的な外的要因です。
903人の成人を約4.5年間追跡したランダム化比較試験では、日焼け止めを毎日使った群は、必要に応じて使った群より、評価された皮膚老化の進行が24%少ないという結果でした。この試験は「40代女性の乾燥」だけを対象にしたものではありませんが、将来の肌のハリを守るうえで、日常的な紫外線対策を続ける根拠になります。
参考文献:Sunscreen and prevention of skin aging: a randomized trial(PubMed)
肌が「しぼんだように見える」のは水分不足だけなのでしょうか?
肌がしぼんだように見える感覚には、乾燥による表面の細かな凹凸だけでなく、加齢に伴う真皮のコラーゲンや弾力構造の変化なども関係すると考えられます。そのため、化粧水で水分を補えばすべて元に戻る、というものではありません。
特に閉経前後の女性では、エストロゲンの変化と皮膚のコラーゲンや弾力との関連が報告されています。ただし個人差が大きく、40代のすべての女性に同じ変化が起こるわけではありません。
参考文献:Skin and menopause(PubMed)
保湿しても乾く肌には、どんなケアを優先するとよいのでしょうか?
まず試したいのは、「水分を足す」だけでなく、「水分を逃がしにくい状態をつくる」ことです。保湿剤の働きをまとめた2023年のレビューでは、保湿剤には、水分を引き寄せる保湿成分、角層のすき間を補う油性成分、表面を覆って蒸発を抑える成分などがあり、それぞれ異なる仕組みで皮膚バリアを支えると整理されています。
参考文献:The Skin Barrier and Moisturization: Function, Disruption, and Mechanisms of Repair(PubMed)
・洗顔後の保湿はどのように行うとよいのでしょうか?
洗顔後はこすらず水分を押さえ、肌が乾き切る前に保湿剤を使います。化粧水だけで乾きを感じる場合は、乳液やクリームなどを重ね、水分が蒸発しにくい状態をつくります。何層も重ねることより、自分の肌に合うものを毎日続けることを優先してください。
・洗いすぎを防ぐには何に気をつければよいのでしょうか?
熱いお湯、強い摩擦、必要以上の洗浄は、乾燥しやすい肌では負担になる可能性があります。メイクや汚れを落とす必要はありますが、「落とす力が強いほどよい」とは限りません。洗顔後につっぱる状態が続くなら、洗い方や製品の見直しを考えましょう。
・日中の乾燥には何を見直すとよいのでしょうか?
空調の効いた室内では乾きを感じる方もいます。肌を触ったりこすったりする回数を減らし、必要に応じて保湿を補います。ミストだけでかえってつっぱる場合は、乳液やクリームなど水分の蒸発を抑えるケアも組み合わせるとよいでしょう。
・紫外線対策は一年中必要なのでしょうか?
紫外線量には季節差がありますが、光老化を抑える観点では日常的な紫外線対策が大切です。日焼け止めに加え、帽子や日傘、日陰を使うなど、無理なく続けられる方法を組み合わせてください。
・食事や睡眠も肌のうるおいに関係するのでしょうか?
健康な皮膚を保つには、特定の食品だけに頼るのではなく、十分なエネルギーとたんぱく質、ビタミンやミネラルを含むバランスのよい食事、休養を整えることが基本です。特定の食品を食べれば乾燥肌が治る、と断定できるものではありません。
内側からの美容ケアとしてツバメの巣は研究されているのでしょうか?
外側の保湿や紫外線対策を続けたうえで、「内側からの美容習慣にも目を向けたい」と考える方もいるでしょう。その選択肢の一つとして研究されている食品素材が、食用ツバメの巣です。
最初に明確にしておくと、ツバメの巣を食べれば「乾燥肌が治る」「40代のしぼんだ肌が元に戻る」と確認した研究はありません。ここでは、人を対象とした研究と、細胞・動物を使った基礎研究を分けて見ていきます。
ツバメの巣のヒト試験では何が確認されているのでしょうか?
2022年のランダム化二重盲検プラセボ対照試験では、40〜60歳の女性86人を、ツバメの巣抽出物100mgを1日1回摂取する群とプラセボ群に43人ずつ分け、12週間比較しました。シワ、弾力、水分量などを機器で測定しています。論文では、シワに関する指標の改善が報告されました。
一方で、弾力については12週時点でツバメの巣群の値がプラセボ群より有意に低下したと報告されており、うるおいやハリに関する全項目が一貫して良好だったわけではありません。したがって、この研究を根拠に「ツバメの巣で肌のハリや水分量が必ず上がる」と表現することは適切ではありません。
ツバメの巣と保湿に関する基礎研究では何が分かっているのでしょうか?
2021年の研究では、ヒト由来の培養角化細胞などにツバメの巣の水抽出物や酵素分解物を加え、角層のバリアや保湿に関わるフィラグリン、フィラグリン2の発現を調べました。研究では、これらの遺伝子・たんぱく質発現の増加が確認され、酵素分解物のほうが強い反応を示した項目もありました。
ただし、これは細胞やex vivoモデルを使った基礎研究です。人がツバメの巣を食べたときに同じ変化が起こることや、乾燥感やハリ不足が改善することを直接証明した研究ではありません。
また、UVBを照射した細胞とヘアレスマウスを用いた研究では、標準化ツバメの巣抽出物がヒアルロン酸合成やセラミド合成に関わる経路、コラーゲン関連経路などに影響し、光老化に関わる指標を抑えたことが報告されています。こちらも動物・細胞研究であり、人の肌で同じ効果が確認されたという意味ではありません。
ツバメの巣ゼリーはどのように取り入れるとよいのでしょうか?
保湿しても乾きを感じる場合、まず優先したいのは、洗いすぎを避けること、保湿剤で水分を逃がしにくくすること、そして紫外線対策です。ツバメの巣は、それらのケアに置き換わるものではありません。
そのうえで、毎日の美容習慣を内側からも見直したい方は、研究されている食品素材の一つとしてツバメの巣を知っておくのも一つの考え方です。
製品を選ぶ際は、原料や配合内容、品質管理、続けやすさなどを確認し、自分に合うかを判断してください。
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よくある質問(FAQ)
Q1.化粧水を何度も重ねても乾く場合は、どうすればよいでしょうか?
化粧水を何度も重ねても乾燥を感じる場合は、水分を与えるだけでなく、その水分を角層に保持し、蒸発しにくくするケアを加えることが大切です。
保湿剤には、グリセリンや尿素など水分を引き寄せて保持するヒューメクタントと、ワセリンや油性成分など皮膚表面からの水分の蒸散を抑える閉塞性成分(オクルーシブ)などがあります。
乾皮症についての近年のレビューでも、保湿剤はこうした異なる働きを持つ成分を組み合わせることで、角層水分量と皮膚バリア機能を改善するとされています(なお、これらのレビューは皮膚科向け化粧品メーカーの資金提供を受けています)。
そのため、化粧水だけでつっぱる場合は、化粧水や美容液で水分を補ったうえで、乳液やクリームなどで水分を逃しにくくする、という使い方を試してみるとよいでしょう。
ただし、製品を増やせば増やすほどよいわけではありません。赤み、ヒリつき、かゆみなどがある場合は、新しい美容液を次々追加するより、使用する製品数を減らし、刺激の少ない洗浄とシンプルな保湿に切り替える方法もあります。
参考文献
Wehr RF, Krochmal L. Considerations in selecting a moisturizer. Cutis. 1987;39(6):512-515.
Fluhr JW, Muguet V, Christen-Zaech S. Restoring Skin Hydration and Barrier Function: Mechanistic Insights Into Basic Emollients for Xerosis Cutis. Int J Dermatol. 2025;64 Suppl 1:5-12.
Wollenberg A, Barbarot S, Torrelo A. Basic Emollients for Xerosis Cutis in Atopic Dermatitis: A Review of Clinical Studies. Int J Dermatol. 2025;64 Suppl 1:13-28.
2026/08/21 出口詩朋子
Q2.40代になると、肌の水分量は急に減ってしまうのでしょうか?
「40代になった途端に、肌の水分量が急激に減る」と示した根拠はありません。
2022年に発表された、健康な成人の角層水分量についてまとめたシステマティックレビュー・メタ解析では、19研究のデータを統合して、体の部位、年齢、性別による違いを調べました。
その結果、若年者と中年者の角層水分量には統計学的に有意な差が確認されませんでした。また、顔は体のほかの部位より水分量が高く、顔の中でも部位差があることが確認されています。
一方、加齢に伴って皮膚がまったく変化しないわけではありません。角層の脂質構成、皮脂分泌、角層の厚さ、コラーゲン、皮膚バリア機能などには年齢に伴う変化が報告されています。また、その変化は顔・腕・脚などの部位によっても異なります。
そのため、「40代だから水分量が一気に減る」というより、「加齢に伴う皮脂・角層脂質・皮膚構造など複数の変化や、紫外線・環境などが重なり、乾燥を感じやすくなる人がいる」と考えるほうが正確です。
40代という年齢だけで判断するのではなく、つっぱり、粉ふき、かゆみなど、現在の肌の状態に合わせて保湿ケアを調整しましょう。
参考文献
Samadi A, Yazdanparast T, Shamsipour M, et al. Stratum corneum hydration in healthy adult humans according to the skin area, age and sex: a systematic review and meta-analysis. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2022;36(10):1713-1721.
Boireau-Adamezyk E, Baillet-Guffroy A, Stamatas GN. Age-dependent changes in stratum corneum barrier function. Skin Res Technol. 2014;20(4):409-415.
2026/08/21 出口詩朋子
Q3.肌のハリ不足は、保湿だけで改善できるのでしょうか?
保湿によって肌の水分量が増えると、乾燥によるごわつきや細かな線が目立ちにくくなり、肌がなめらかで弾力のあるように感じられることがあります。
実際、健康な女性を対象にした無作為化比較試験では、保湿クリームを1日2回、4週間使用したところ、無処置の場合と比較して、角層水分量、皮膚バリア機能、シワの評価だけでなく、Cutometerで測定した弾力の指標にも改善が認められました。
ただし、「肌のハリ」は角層の水分量だけで決まるものではありません。加齢した真皮では、コラーゲン線維の量が減少・断片化し、弾性線維などにも変化が起こります。こうした真皮の構造変化は、シワや弾力低下の一因になります。
そのため、乾燥による一時的なハリ不足は保湿によって改善する可能性がある一方、加齢による真皮の構造変化は保湿だけですべて元に戻すことが難しい、と分けて考えると分かりやすいでしょう。
また、紫外線は皮膚老化の重要な外的要因です。903人を約4.5年間追跡した無作為化比較試験では、毎日日焼け止めを使用した群は、必要に応じて使用した群より皮膚老化の進行が24%少なかったと報告されています。
したがって、ハリ対策では保湿と日常的な紫外線対策を基本にするとよいでしょう。
参考文献
Nisbet S, Mahalingam H, Gfeller CF, et al. Cosmetic benefit of a biomimetic lamellar cream formulation on barrier function or the appearance of fine lines and wrinkles in randomized proof-of-concept clinical studies. Int J Cosmet Sci. 2019;41(1):1-11.
Hughes MCB, Williams GM, Baker P, Green AC. Sunscreen and prevention of skin aging: a randomized trial. Ann Intern Med. 2013;158(11):781-790.
2026/08/21 出口詩朋子
Q4.水をたくさん飲めば、乾燥肌は改善するのでしょうか?
水をたくさん飲めば乾燥肌が必ず改善する、とは言えません。
水分不足や脱水を避けることは健康維持のために重要ですが、乾燥肌は単に「体の水分が足りない」ことで起こるわけではありません。
2018年に発表されたシステマティックレビューでは、水分摂取と肌の状態を調べた研究のうち、基準を満たしたのはわずか6研究でした。
追加で水を飲むことで角層水分量がわずかに増加する可能性はあり、特にそれまでの水分摂取量が少なかった人で変化がみられる傾向がありました。一方、研究数が少なく、いずれもバイアスのリスクが高いため、エビデンスの質は弱いと評価されています。
また、経皮水分蒸散量(TEWL)、皮脂量、皮膚表面pHなどへの影響については、結果が明確ではありませんでした。
つまり、普段あまり水分をとっていない人が適切な水分摂取をすることは大切ですが、「1日2L、3Lと大量に飲めば、その分だけ肌もうるおう」という根拠はありません。
乾燥肌では、水分摂取だけに頼らず、角層の水分保持力と皮膚バリアを支える外側からの保湿も大切です。
参考文献
Akdeniz M, Tomova-Simitchieva T, Dobos G, Blume-Peytavi U, Kottner J. Does dietary fluid intake affect skin hydration in healthy humans? A systematic literature review. Skin Res Technol. 2018;24(3):459-465.
2026/08/21 出口詩朋子
Q5.ツバメの巣は、肌のうるおいやハリに効果があるのでしょうか?
ツバメの巣については、現在では肌のうるおいを高める可能性を示したヒト介入試験が報告されています。ハリ・弾力についても改善を示すデータがありますが、研究数はまだ限られているため、すべてのツバメの巣製品で同じ結果が得られるとまでは言えません。
2022年に40〜60歳の女性を対象として行われた無作為化二重盲検プラセボ対照試験では、ツバメの巣抽出物100mgを1日1回、12週間摂取しました(105人が登録され、解析対象は各群43人ずつの計86人)。この試験ではシワの指標に改善が認められましたが、肌の水分量などすべての指標でプラセボ群に対する明確な優位性が確認されたわけではありませんでした。
一方、2026年には別の無作為化ヒト介入試験が発表されています。健康な成人をツバメの巣群と対照群に分けた試験で、ツバメの巣群では角層水分量が対照群より有意に高くなり、摂取前と比べて30日後に10.85%、90日後には26.19%増加しました。
さらに、目元の皮膚の弾力を示すR2値も30日後に5.80%、90日後に8.70%増加し、各時点では対照群より高い値を示しました。ただし、弾力については群と時間の交互作用が統計学的に有意ではなかったため、「ツバメの巣が弾力を改善すると確立した」とまでは言わないほうが慎重です。
また、この2026年の研究では真皮コラーゲン密度の超音波指標やシワの面積などにも変化が報告されています。ただし、この試験にはプラセボが設定されておらず(評価者側のみを盲検化)、対象人数も限られ、ツバメの巣を扱う企業から資金提供を受けています。
したがって現時点では、「ツバメの巣の摂取によって角層水分量が増加したヒト試験があり、弾力などにも改善を示すデータがある。ただし、研究数はまだ限られ、すべての製品への一般化はできない」と表現するのが最も適切です。
毎日の保湿と紫外線対策を基本にし、そのうえでツバメの巣を内側からの美容習慣の補助的な選択肢として考えるとよいでしょう。
参考文献
Kim HM, Lee YM, Kim EH, et al. Anti-Wrinkle Efficacy of Edible Bird’s Nest Extract: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled, Comparative Study. Front Pharmacol. 2022;13:843469.
Zhang W, Wang D, Zhang Y, et al. Dietary edible bird’s nest improves skin hydration by upregulating EGFR-AQP5 pathway. J Funct Foods. 2026;140:107266.
2026/08/21 出口詩朋子
※本記事は美容・健康に関する一般的な情報提供を目的としたもので、診断や治療を目的とするものではありません。強い赤み、かゆみ、痛み、皮むけなどが続く場合や、急な皮膚変化がある場合は皮膚科などの医療機関にご相談ください。
著者情報
出口 詩朋子(でぐち しほこ)
乾燥肌・シワ研究チーム 研究員
ツバメの巣研究所 研究員
ATHENA株式会社(HESTIAP 美容リサーチャー)



