ひじ・ひざ・かかとが乾燥するのはなぜ?40代後半女性の部分乾燥の原因と正しいケア

ひじ・ひざ・かかとの乾燥は、加齢による肌のバリア機能の変化に、摩擦・圧力・角質の厚みが重なって起こりやすくなります。保湿と刺激を減らすケアが基本です。

「顔は毎日きちんと保湿しているのに、ひじだけ白く粉をふく」「ひざがざらついて、スカートをはくと気になる」「かかとが硬くなり、ストッキングが引っかかる」。40代後半になると、こうした“部分だけの乾燥”が急に目につくことがあります。

この乾燥は、単に「保湿が足りない」だけで説明できるものではありません。肌そのものの年齢変化に加え、ひじ・ひざ・かかと特有の摩擦や圧力が重なるためです。まず原因を整理し、今日からできるケアを順番に見ていきましょう。

ひじ・ひざ・かかとは、なぜ乾燥しやすい?

乾燥肌は、肌のいちばん外側にある「角層」の水分が少なくなり、外からの刺激を防ぎながら水分を逃がさない“バリア機能”が十分に働きにくくなった状態です。年齢を重ねた肌では、角層の脂質量や脂質をつくる働きが低下し、乾燥やかゆみにつながりやすいことがレビューで整理されています。

参考文献:Fluhr JW, et al. A global perspective on the treatment and maintenance of mature skin using gentle cleansers and moisturizers. Int J Dermatol. 2024.

さらに、肌の水分量は全身どこでも同じではありません。健康な男性5名の23部位を測定したパイロット研究では、体の部位によって水分量に差があり、機械的な摩耗や外的刺激を受けやすい部位では水分量が低い傾向が示されています。ひじやひざは衣類・床・机などとの接触が多く、かかとは歩行時に体重を受け続けます。

参考文献:Cortés H, et al. Comprehensive mapping of human body skin hydration: A pilot study. Skin Res Technol. 2019.

摩擦や圧力が繰り返されると、皮膚はその刺激に適応するように角質が厚くなり、ざらつきや胼胝(たこ)が生じることがあります。特にかかとは、歩行による圧力とずれの力を受けやすく、硬く乾いた角質に亀裂が入ると、痛みや出血につながることもあります。

参考文献:Phillips S, et al. Pressure and Friction Injuries in Primary Care. Prim Care. 2015.

40代後半になると、肌はどう変わる?

40代後半では、暦年齢による変化に加えて、更年期前後のホルモン変化が重なる女性もいます。閉経期の皮膚についてまとめたレビューでは、エストロゲン低下とともにコラーゲンや弾力の低下、水分保持の変化、乾燥などがみられることが報告されています。ただし、乾燥の程度や時期には個人差が大きく、「40代後半だから必ず乾燥する」という意味ではありません。

参考文献:Viscomi B, et al. Managing Menopausal Skin Changes: A Narrative Review of Skin Quality Changes, Their Aesthetic Impact, and the Actual Role of Hormone Replacement Therapy in Improvement. J Cosmet Dermatol. 2025.

つまり40代後半の部分乾燥は、「年齢によって乾きやすくなった肌」に、「その場所だけにかかる摩擦や圧力」が上乗せされて目立っている、と考えると理解しやすくなります。だからこそ、顔と同じ保湿剤をただ塗るだけではなく、部位ごとに“刺激を減らす”視点も大切です。

乾燥を悪化させやすい習慣は?

部分乾燥では、日常の小さな刺激の積み重ねを見直すことが重要です。特に次のような行動が重なると、乾燥や角質の厚みを目立たせる可能性があります。

・ひじを机につく、頬杖のように体重を預ける習慣が長い

・床にひざをつく作業や、正座・ひざ立ちの姿勢が多い

・かかとが靴の中で擦れる、硬い靴やサイズの合わない靴を長時間はく

・軽石・やすり・スクラブで角質を頻繁に強く削る

・洗浄力の強い洗浄料や、タオルでの強いこすり洗いを続ける

圧力や摩擦による皮膚障害では、その力を取り除く・減らすことが予防と回復の基本とされています。部分乾燥でも同じ考え方が役立ちます。

参考文献:Phillips S, et al. Pressure and Friction Injuries in Primary Care. Prim Care. 2015.

今日から、どうケアする?

お風呂上がりは、いつ保湿する?

できるだけ早く塗るのがおすすめです。健康な成人女性8名で入浴後5分以内と90分後などを比較した研究では、入浴後5分以内に塗った部位は12時間後も無塗布部位より角層水分量が高い結果でした。さらに乾燥肌の成人女性24名を8週間調べた検討では、1日2回塗布した部位で無塗布部位より角層水分量が有意に高くなりました。

参考文献:Ueda Y, et al. Optimal application method of a moisturizer on the basis of skin physiological functions. J Cosmet Dermatol. 2022.

入浴後に全身を保湿するのが負担なら、「ひじ・ひざ・かかとだけ先に塗る」と決めると続けやすくなります。洗面所や寝室に保湿剤を1本ずつ置くのも、習慣化には有効です。

どんな保湿成分を選ぶ?

まずは、水分を抱え込む成分と、水分が逃げるのを防ぐ成分を組み合わせる考え方が実用的です。乾燥肌の成人51名を対象にした無作為化二重盲検クロスオーバー試験では、グリセリンは角層水分量の増加に、ワセリン(ペトロラタム)は経皮水分蒸散量の低下に寄与することが示されました。

参考文献:Vaillant L, et al. Combined effects of glycerol and petrolatum in an emollient cream: A randomized, double-blind, crossover study in healthy volunteers with dry skin. J Cosmet Dermatol. 2020.

ざらつきや硬さが目立つかかとには、尿素を含む保湿剤も選択肢です。糖尿病患者40名の足を左右で比較した無作為化二重盲検試験では、10%尿素+4%乳酸配合剤は基剤のみより4週間後の足の乾燥スコアを有意に改善しました。対象が糖尿病患者であるため一般の方へそのまま数値を当てはめることはできませんが、足の乾燥に対する尿素系保湿剤の臨床データの一つです。

参考文献:Pham HT, et al. A prospective, randomized, controlled double-blind study of a moisturizer for xerosis of the feet in patients with diabetes. Ostomy Wound Manage. 2002.

ひび割れや赤み、ヒリつきが強い部分は、角質を柔らかくする成分がしみることがあります。その場合は無理に続けず、まず刺激の少ない保湿剤を使い、必要に応じて皮膚科で相談してください。

摩擦と圧力は、どう減らす?

ひじは机に直接つかず、柔らかいアームレストや布をはさむ。ひざを床につく作業ではクッションやサポーターを使う。かかとはサイズの合う靴と靴下で擦れを減らす。こうした“保湿剤を塗らない時間の工夫”が、部分乾燥では意外に重要です。

参考文献:Phillips S, et al. Pressure and Friction Injuries in Primary Care. Prim Care. 2015.

角質は削ったほうがいい?

硬い角質を見ると、すぐに削りたくなりますが、強く・頻繁に削るケアはおすすめできません。部分乾燥では「角質を取る」より、「保湿して柔らかくする」「摩擦を減らす」を先に行いましょう。削る場合も、入浴後にふやけた角質を無理にこすり続けず、痛みや出血が出る前にやめることが大切です。

食事や水分補給だけで改善する?

食事と水分は健康な皮膚を保つ土台ですが、「水を多く飲めば、ひじ・ひざ・かかとの乾燥が治る」とまでは言えません。部分乾燥では、まず外側からの保湿と摩擦・圧力への対策を優先してください。そのうえで、極端な食事制限を避け、たんぱく質・脂質・ビタミン類を含むバランスのよい食事を続けるのが現実的です。

ツバメの巣は、部分乾燥にどう関係する?

ここまでのケアが基本ですが、「外側からの保湿に加えて、内側からの美容習慣も考えたい」という方に、研究が進められている素材の一つが食用ツバメの巣です。ただし、ツバメの巣を“ひじ・ひざ・かかとの乾燥を治す食品”と考えるのは、現時点のエビデンスからは適切ではありません。

まず、皮膚の水分保持に関わる「フィラグリン」に注目した研究があります。2021年の研究では、ヒト角化細胞(HaCaT細胞)と皮膚組織を用いて食用ツバメの巣の水抽出物・酵素消化物を調べ、フィラグリンおよびフィラグリン2のmRNA・タンパク質発現が増加しました。これは、皮膚バリアや水分保持に関係する仕組みにツバメの巣が影響する可能性を示した基礎研究です。

参考文献:Lai P, et al. Edible Bird’s Nest, an Asian Health Food Supplement, Possesses Moisturizing Effect by Regulating Expression of Filaggrin in Skin Keratinocyte. Front Pharmacol. 2021.

一方、人を対象にした試験では、結果を慎重に読む必要があります。40〜60歳の女性86名を、ツバメの巣抽出物100mg/日群とプラセボ群に分け、12週間摂取した無作為化二重盲検試験では、目元のシワ指標の一部はツバメの巣群でプラセボ群より有意に改善しました。しかし、肌水分量と経皮水分蒸散量には群間の有意差がありませんでした。

参考文献:Kim HM, et al. Anti-Wrinkle Efficacy of Edible Bird’s Nest Extract: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled, Comparative Study. Front Pharmacol. 2022.

したがって、現段階では「ツバメの巣には皮膚バリアに関わる基礎研究があり、ヒト試験ではシワ指標への効果が報告されている。ただし、乾燥や肌水分を改善する効果はまだ確立していない」と理解するのが、研究結果に忠実です。日々の保湿や摩擦対策を置き換えるものではなく、内側からの美容習慣の選択肢として考えるのがよいでしょう。

ツバメの巣を毎日の美容習慣に取り入れる

ツバメの巣そのものの研究内容を確認したうえで、日々の美容習慣として取り入れてみたい方は、スティックタイプのツバメの巣ゼリーという方法もあります。まずは外側の保湿と摩擦対策を基本にし、そのうえで無理なく続けられる内側のケアを選んでください。

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皮膚科に相談したほうがよいのは?

保湿を続けても改善しない、強いかゆみや赤みがある、深い亀裂から出血する、片側だけ極端に悪化する、ジュクジュクする、といった場合は、単純な乾燥以外の皮膚疾患が隠れていることがあります。また、糖尿病などで足の感覚が低下している方は、かかとの亀裂を自己判断で削らず、医療機関へ相談してください。

よくあるご質問(FAQ)

Q1. ひじ・ひざ・かかとが同時に乾燥するのは、年齢のせいですか?

A. 年齢だけが原因ではありません。年齢に伴うバリア機能の変化に、各部位の摩擦・圧力などが重なると乾燥が目立ちます。
参考文献:成熟肌の乾燥レビュー 
2026/09/11 出口詩朋子

Q2. かかとの乾燥には尿素クリームを使ってもよいですか?

A. はい、硬くざらつく乾燥には選択肢です。足の乾燥を対象に、尿素配合剤の改善効果を示した比較試験があります。ひび割れや刺激感が強い場合は医師へ相談してください。
参考文献:足の乾燥と尿素のRCT 
2026/09/11 出口詩朋子

Q3. お風呂上がりは、いつ保湿するのがよいですか?

A. できるだけ早く塗るのがおすすめです。入浴後5分以内の保湿で、遅れて塗る場合より角層水分量が高かった研究があります。
参考文献:保湿剤の塗布タイミング研究 
2026/09/11 出口詩朋子

Q4. かかとの角質は、やすりで削ったほうがよいですか?

A. 削りすぎはおすすめしません。まず保湿で角質を柔らかくし、摩擦・圧力を減らすことを優先してください。痛みや出血がある場合は削らず受診しましょう。
参考文献:圧力・摩擦による皮膚障害レビュー 
2026/09/11 出口詩朋子

Q5. ツバメの巣を食べると、乾燥肌は改善しますか?

A. 現時点では断定できません。細胞研究ではフィラグリン発現増加が報告されていますが、40〜60歳女性の臨床試験では肌水分量にプラセボとの有意差はありませんでした。
参考文献:ツバメの巣の臨床試験 
2026/09/11 出口詩朋子

著者情報

出口 詩朋子(でぐち しほこ)

乾燥肌・シワ研究チーム 研究員

ツバメの巣研究所 研究員

ATHENA株式会社(HESTIAP 美容リサーチャー)

※本記事は美容・スキンケアに関する一般的な情報提供を目的としたもので、医師の診断や治療に代わるものではありません。

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