肌のバリア機能が低下すると乾燥するの?30代から知っておきたい「肌のうるおい」が逃げる仕組み

肌のバリア機能が低下すると、水分が外へ逃げやすくなり、乾燥しやすくなります。ただし乾燥の原因は一つではなく、保湿だけでなく洗い方や刺激の見直しも大切です。

乾燥するのは「水分が足りないだけ」?

「化粧水をたっぷりつけているのに、午後になると頬がつっぱる」「保湿した直後はしっとりするのに、しばらくするとまたカサついてくる」。30代を迎えたころから、これまでと同じスキンケアを続けているのに乾燥しやすくなった、と感じる方は少なくありません。

そんなとき、「もっと水分を与えればいいのかな」と化粧水を重ねたくなりますよね。ただ、乾燥肌を理解するうえで大切なのは、肌に水分を入れることだけではありません。肌にある水分を“逃がしにくくする力”も、同じくらい重要です。その役割を担っているのが、皮膚のいちばん外側にある角層のバリア機能です。

バリア機能が低下すると本当に乾燥する?

結論からお伝えすると、バリア機能の低下は、乾燥を起こしやすくする重要な要因です。皮膚のバリアが正常に働いているとき、角層は体の水分をしっかり保ち、外からの刺激物が入り込みにくい状態をつくっています。ところが角層の構造や脂質が乱れると、皮膚から蒸発する水分量が増え、うるおいを保ちにくくなってしまいます。

この「皮膚からどれくらい水分が逃げているか」を調べる代表的な指標が、TEWL(経皮水分蒸散量)です。一般に、バリアが傷んだ肌ではTEWLが高くなりやすく、乾燥や刺激を感じやすい状態につながると考えられています。

参考文献:Skin Lipid Barrier: Structure, Function and Metabolism (2024)

肌のバリア機能とは?

肌のいちばん外側にある角層は、よく「レンガとモルタル」にたとえられます。角層細胞がレンガ、そのすき間を満たす細胞間脂質がモルタルのように並び、水分が必要以上に逃げるのを防いでいます。とても薄い層ですが、うるおいを守る要になっている部分です。

この細胞間脂質の中心的な成分の一つが、セラミドです。また、角層細胞の中では、フィラグリンというたんぱく質から生じる天然保湿因子(NMF)などが、水分を抱え込む働きに関わっています。つまり肌のうるおいは、「水分」「角層細胞」「脂質」がそろって働くことで保たれているのです。

参考文献:Clinical significance of the water retention and barrier function-improving capabilities of ceramide-containing formulations (2022)

バリア機能が乱れると肌では何が起こる?

バリア機能が乱れたとき、まず起こりやすいのが「水分をつなぎとめにくくなること」です。角層の脂質、とくにセラミドなどが減ったり、構成のバランスが崩れたりすると、細胞間のすき間を埋める構造が不安定になり、水分が蒸発しやすくなります。

さらに、バリア機能には外部の刺激から肌を守る役割もあります。そのためバリアが弱った状態では、乾燥だけでなく、化粧品がしみる、赤みが出やすい、かゆみを感じるなど、刺激に敏感な状態を伴うことがあります。ただし、これらの症状には皮膚疾患など別の原因が隠れていることもあります。症状が強いときや長引くときは、自己判断だけで済ませず、皮膚科に相談すると安心です。

研究では:角層の細胞間脂質を減らす処置を行うと、角層水分量が下がり、TEWLが増えることが示されています。また、アトピー性皮膚炎などバリア障害を伴う皮膚では、セラミドの量や組成の異常が、TEWLの増加や水分保持の低下と関連していると報告されています。

参考文献:Stratum Corneum Ceramide Abnormalities in Atopic Dermatitis (2025)

乾燥すれば必ずバリア機能が低下している?

「乾燥している=必ずバリア機能が壊れている」と言い切ってしまうのは、正確ではありません。乾燥感は、気温や湿度、洗顔や入浴、加齢、皮脂の量、使っている化粧品、皮膚疾患など、さまざまな要因の影響を受けます。

とはいえ、角層の水分保持とバリア機能は密接に関係しています。乾燥が続いているときに「水分を足すこと」だけに目を向けるのではなく、水分を逃がしにくい角層環境を整えるという視点を持つことには、十分な根拠があります。

「化粧水をたくさん使えば解決する」は本当?

これは、少し単純化された考え方かもしれません。化粧水などで角層に水分を与えること自体は、乾燥した肌のケアとして意味があります。ただ、与えた水分が蒸発しやすい状態のままでは、うるおいを長く保つことは難しくなります。

そのため乾燥対策では、グリセリンのように水分を引き寄せる保湿成分と、ワセリンのように皮膚表面からの水分蒸発を抑える成分を、組み合わせて考えるのが合理的です。

研究では:乾燥肌のある健康な成人51人を対象にした無作為化・二重盲検・クロスオーバー試験では、グリセリンとワセリンを含むエモリエント製剤が、対照製剤よりTEWLを有意に低下させ、角層水分量も有意に増加させました。研究者は、ワセリンが水分蒸散を抑え、グリセリンが皮膚水分量を高める役割を担ったと結論づけています。

参考文献:Combined effects of glycerol and petrolatum in an emollient cream (2019)

セラミドを塗ればバリア機能は必ず改善する?

セラミドは角層のバリアを構成する重要な脂質ですから、セラミドを含む保湿剤が役立つ可能性は十分にあります。ただし、「セラミド配合なら、どんな保湿剤より必ず優れている」とまでは言えないのが現状です。

研究では:アトピー性皮膚炎を対象にした研究をまとめたシステマティックレビュー/メタ解析では、セラミド配合の保湿剤は、症状スコア(SCORAD)の改善において他の保湿剤より有意に優れていました。一方、TEWLについては、セラミド配合群のほうが低い傾向はあったものの、他の保湿剤との差は統計学的に有意ではありませんでした。

つまりセラミドは理にかなった選択肢ですが、配合量や処方全体、そして自分の肌との相性も大切だということです。「成分名が入っているかどうか」だけでなく、刺激なく続けられるかどうかまで含めて選びたいですね。

参考文献:The Efficacy of Moisturisers Containing Ceramide Compared with Other Moisturisers in the Management of Atopic Dermatitis (2023)

バリア機能を守るには何をすればいい?

乾燥が気になるときは、「足すケア」だけでなく「壊しすぎないケア」にも目を向けてみてください。次のような小さな習慣が、バリア機能の考え方に沿った対策になります。

・洗顔やクレンジングでは強くこすらない。摩擦を減らし、洗ったあとは早めに保湿する。

・熱すぎるお湯や長時間の入浴を避け、皮脂や角層の脂質を必要以上に落としすぎない。

・保湿剤は、水分を抱える成分と、水分の蒸発を抑える成分を組み合わせて考える。

・セラミドなど、角層の脂質を補うタイプの保湿剤も選択肢に入れる。

・赤み、強いかゆみ、ひび割れ、湿疹が続く場合は、乾燥肌だけと決めつけず皮膚科に相談する。

なお、保湿剤は処方によってバリアへの影響が変わる可能性があります。78人が7週間使用した無作為化比較試験では、試験された製剤のうち、ある製剤はTEWLを低下させた一方で、別の簡易的な処方ではTEWLが増えるという結果でした。「保湿剤ならどれでも同じ」ではなく、処方全体が重要であることを示す報告です。

参考文献:Changes in skin barrier function following long-term treatment with moisturizers (2007)

ツバメの巣と肌のバリア機能には関係がある?

ツバメの巣(Edible Bird’s Nest:EBN)についても、肌のうるおいやバリアに関わる基礎研究が行われています。注目されているのは、角層のバリアや天然保湿因子に関係するフィラグリンです。

2021年の研究では:ヒト由来の培養角化細胞(HaCaT細胞)とex vivoモデルを用いて、ツバメの巣の水抽出物および酵素分解物が調べられました。その結果、フィラグリンとフィラグリン2のmRNA・たんぱく質の発現が増加し、とくに酵素分解物で強い反応が確認されています。

ただし、ここで押さえておきたいのは、これが培養細胞や組織モデルを中心とした基礎研究だという点です。「ツバメの巣を食べれば、人の乾燥肌やバリア機能が改善する」と臨床的に証明した研究ではありません。現時点では、肌のバリアに関係する仕組みを考えるうえで興味深い結果が示されている、という位置づけが適切です。

参考文献:Edible Bird’s Nest, an Asian Health Food Supplement, Possesses Moisturizing Effect by Regulating Expression of Filaggrin in Skin Keratinocyte (2021)

また、2024年に発表された皮膚科学分野のレビューでは、ツバメの巣について、光老化、炎症、創傷治癒、皮膚バリアなどに関するin vitro(試験管内)、in vivo(動物など)、初期の臨床研究が整理されています。著者らはその可能性を評価する一方で、皮膚への有効性と安全性を確立するには、今後さらにヒト臨床研究が必要だと述べています。

参考文献:The potential cutaneous benefits of edible bird’s nest (2024)

ツバメの巣を毎日の美容習慣に取り入れる?

乾燥肌対策の基本は、まず洗いすぎや摩擦を減らし、自分の肌に合う保湿で角層を守ることです。そのうえで、ツバメの巣の成分や研究に興味があり、毎日の美容習慣の一つとして取り入れてみたいと感じた方は、食品として無理なく続けられる方法を選ぶのも一つの考え方です。

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よくあるご質問(FAQ)

Q1. バリア機能が低下すると必ず乾燥肌になりますか?

必ず乾燥肌になるとは言えませんが、バリア機能が低下すると、皮膚から水分が失われやすくなり、乾燥しやすい状態になります。
皮膚の最も外側にある角層には、体内の水分が必要以上に蒸発するのを防ぐ役割があります。このバリア機能が損なわれると、経皮水分蒸散量(TEWL)が増加しやすくなります。実際、TEWLが高いことは皮膚バリアの障害と結びつくことが知られています。
ただし、乾燥肌の原因はバリア機能だけではありません。低温・低湿度などの環境、洗浄などの生活習慣、加齢、皮膚疾患、全身疾患など、さまざまな要因が関係します。
そのため、「乾燥している=必ずバリア機能だけに問題がある」と考えるのではなく、生活環境やスキンケアなども含めて見直すことが大切です。
参考文献
Nolan K, Marmur E. Moisturizers: reality and the skin benefits. Dermatol Ther. 2012;25(3):229-233.
Akdeniz M, Gabriel S, Lichterfeld-Kottner A, Blume-Peytavi U, Kottner J. Transepidermal water loss in healthy adults: a systematic review and meta-analysis update. Br J Dermatol. 2018;179(5):1049-1055.
Augustin M, Wilsmann-Theis D, Körber A, et al. Diagnosis and treatment of xerosis cutis – a position paper. J Dtsch Dermatol Ges. 2019;17 Suppl 7:3-33.
2026/09/8 出口詩朋子

Q2. バリア機能が低下しているか自分でわかりますか?

肌のつっぱり、粉ふき、カサつき、刺激を感じやすいなどの症状は、乾燥やバリア機能の低下を疑う手がかりにはなります。ただし、見た目や自覚症状だけで、バリア機能がどの程度低下しているかを正確に判断することはできません。
研究では、皮膚バリア機能を評価する代表的な指標として経皮水分蒸散量(TEWL)が使われています。一般的にTEWLが高い場合は、皮膚から水分が逃げやすく、バリア機能が低下している可能性を示します。ただしTEWLは、測定する部位や年齢、環境条件などによっても変化します。
また、乾燥肌の診断はTEWLだけで決めるものではなく、皮膚の状態や症状、背景にある病気なども含めて総合的に判断されます。
乾燥や赤み、かゆみ、刺激などが強い場合や長期間続く場合は、単なる乾燥肌ではなく皮膚疾患が関係している可能性もあるため、皮膚科で相談することをおすすめします。
参考文献
Akdeniz M, Gabriel S, Lichterfeld-Kottner A, Blume-Peytavi U, Kottner J. Transepidermal water loss in healthy adults: a systematic review and meta-analysis update. Br J Dermatol. 2018;179(5):1049-1055.
Augustin M, Wilsmann-Theis D, Körber A, et al. Diagnosis and treatment of xerosis cutis – a position paper. J Dtsch Dermatol Ges. 2019;17 Suppl 7:3-33.
2026/09/8 出口詩朋子

Q3. 化粧水だけでもバリア機能は整いますか?

化粧水だけでバリア機能を十分に整えられるとは限りません。
乾燥肌の保湿では、単に水分を与えるだけではなく、水分を保持することと、皮膚から水分が逃げるのを防ぐことの両方が重要です。
乾燥肌のある健康な人51人を対象に、前腕へ塗布したあとの変化を12時間追跡した無作為化二重盲検クロスオーバー試験があります。この試験では、グリセリンを含む処方が主に皮膚の水分量を高め、ワセリン(petrolatum)を含む処方が経皮水分蒸散量(TEWL)を低下させました。両方を含む完全処方のクリームでは、基剤のみと比べてTEWLの低下と水分量の増加がどちらも有意に認められています。
この試験は化粧水そのものを調べたものではありませんが、乾燥しやすい肌では、グリセリンなど水分保持を助ける成分に加えて、ワセリンなど水分の蒸発を抑える成分を含んだ乳液やクリームを組み合わせる方法が合理的だと考えられます。
「化粧水をたっぷり使えば十分」というよりも、肌の乾燥状態に合わせて保湿剤を組み合わせることが大切です。
参考文献
Vaillant L, Georgescou G, Rivollier C, Delarue A. Combined effects of glycerol and petrolatum in an emollient cream: A randomized, double-blind, crossover study in healthy volunteers with dry skin. J Cosmet Dermatol. 2020;19(6):1399-1403.
Augustin M, Wilsmann-Theis D, Körber A, et al. Diagnosis and treatment of xerosis cutis – a position paper. J Dtsch Dermatol Ges. 2019;17 Suppl 7:3-33.
2026/09/8 出口詩朋子

Q4. セラミド配合の化粧品なら乾燥肌に必ず効果がありますか?

セラミドが配合されていれば、どの化粧品でも必ず乾燥肌に効果があるとは言い切れません。
セラミドは角層の細胞間脂質を構成する重要な成分の一つで、肌の水分保持やバリア機能に深く関わっています。セラミドを含む外用製品についての研究レビューでも、アトピー性皮膚炎などにおいて水分保持やバリア機能を改善する臨床的な意義があるとされています。
ただし、「セラミド配合=他の保湿剤より必ず優れている」というわけではありません。
例えば、軽症〜中等症のアトピー性皮膚炎の子ども53人を対象に、セラミド系保湿剤とパラフィン系保湿剤を比較した二重盲検無作為化試験では、どちらも症状を改善し、重症度スコア(SCORAD)やTEWLなどに大きな差は認められませんでした。
また、セラミドといっても種類があり、製品によって配合量やほかの脂質との組み合わせ、剤形なども異なります。
そのため、「セラミドという成分名だけ」で判断するのではなく、肌への刺激が少ないこと、十分に保湿できること、毎日無理なく続けられることなども含めて選ぶことが大切です。
参考文献
Kono T, Miyachi Y, Kawashima M. Clinical significance of the water retention and barrier function-improving capabilities of ceramide-containing formulations: A qualitative review. J Dermatol. 2021;48(12):1807-1816.
Gupta S, Ramam M, Sharma VK, Sethuraman G, Pandey RM, Bhari N. Evaluation of a paraffin-based moisturizer compared to a ceramide-based moisturizer in children with atopic dermatitis: A double-blind, randomized controlled trial. Pediatr Dermatol. 2023;40(4):627-632.
2026/09/8 出口詩朋子

Q5. ツバメの巣を食べるとバリア機能が改善しますか?

現時点では、ツバメの巣を食べることで人の乾燥肌や皮膚バリア機能が改善すると確立した臨床エビデンスは、十分ではありません。
一方、基礎研究では興味深い結果が報告されています。2021年の研究では、ツバメの巣の水抽出物と酵素分解物をヒト由来の培養角化細胞(HaCaT細胞)に作用させたところ、角層のバリア機能や水分保持に関係するフィラグリンとフィラグリン2について、mRNAとタンパク質の発現がいずれも増加しました。摘出皮膚を用いたex vivoモデルでも同様の変化が確認されています。
フィラグリンは角層の形成や天然保湿因子(NMF)に関わる重要なタンパク質であるため、ツバメの巣と皮膚バリアの関係を考えるうえで興味深い結果です。
ただし、この研究は人がツバメの巣を食べたときの乾燥肌やTEWLの変化を調べた臨床試験ではありません。培養細胞などで確認された作用が、そのまま経口摂取した人の肌でも起こるとは限りません。
2024年に発表されたツバメの巣と皮膚に関するレビューでも、皮膚バリアを含む研究結果に可能性がある一方、効果と安全性を確認するにはさらなるヒト臨床研究が必要とされています。
したがって現時点では、「ツバメの巣を食べればバリア機能が改善する」と断定するのではなく、皮膚バリアに関係する基礎研究はあるものの、経口摂取によるヒトでの効果については今後の研究が必要、と考えるのが科学的に適切です。
参考文献
Lai QWS, Guo MSS, Wu KQ, et al. Edible Bird’s Nest, an Asian Health Food Supplement, Possesses Moisturizing Effect by Regulating Expression of Filaggrin in Skin Keratinocyte. Front Pharmacol. 2021;12:685982.
Wang J, Patel P, Mineroff J, Jagdeo J. The potential cutaneous benefits of edible bird’s nest. Arch Dermatol Res. 2024;316(3):91.
2026/09/8 出口詩朋子

まとめ:乾燥肌は「水分を足す」だけで考えない

バリア機能が低下すると、肌の水分は外へ逃げやすくなり、乾燥を感じやすくなります。だからこそ乾燥対策では、「どれだけ水分を与えるか」だけでなく、角層の構造を守り、水分を逃がしにくい状態をつくるという視点が大切になります。

強く洗わない、こすらない、自分に合った保湿剤を使う。特別なことではありませんが、こうした基本を丁寧に続けることが、乾燥肌と向き合ううえで最も現実的な一歩です。そのうえで美容成分や食品については、研究でわかっていることと、まだ確認されていないことを分けて判断していきましょう。

著者情報
出口 詩朋子(でぐち しほこ)
乾燥肌・シワ研究チーム 研究員
ツバメの巣研究所 研究員
ATHENA株式会社(HESTIAP 美容リサーチャー)

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