シワケア
更年期になるとシワが増える?40代後半から知っておきたい女性ホルモンと肌の関係

更年期にシワが目立ちやすくなる一因は、エストロゲンの低下です。肌のコラーゲンや弾力、うるおいが減りやすくなり、乾燥小ジワや深いシワにつながります。
更年期になると、なぜ急にシワが気になる?
「最近、笑っていないときも目元の線が残る」「ほうれい線が急に深くなった気がする」。40代後半になると、これまでと同じスキンケアをしているのに、肌の変化を感じる女性は少なくありません。
もちろん、シワは更年期だけで決まるものではありません。紫外線、乾燥、表情のくせ、喫煙、加齢など、いくつもの要因が重なって進みます。ただ、更年期に大きく変化する「エストロゲン」は、肌のコラーゲンや厚み、弾力、保水に関わるため、この時期にシワが目立ちやすくなる理由の一つと考えられています。
エストロゲンが減ると肌はどうなる?
エストロゲンは、女性の月経や生殖だけに関わるホルモンではありません。皮膚にもエストロゲン受容体があり、表皮の細胞や、コラーゲンをつくる線維芽細胞などに影響します。閉経前後にエストロゲンが低下すると、皮膚は薄くなりやすく、コラーゲン量や弾力、うるおいが低下し、乾燥やシワが増えやすい方向へ変化します。
コラーゲンはどのように変わる?
皮膚の真皮では、コラーゲンが肌の強度やハリを支えています。更年期に伴うエストロゲン不足と皮膚コラーゲンの減少には強い関連があることが、複数の研究をまとめたレビューで報告されています。コラーゲンが減ると、肌を内側から支える力が弱くなり、表情を戻したあとにも線が残りやすくなります。
肌のうるおいはどう変わる?
更年期の肌では、乾燥も目立ちやすくなります。エストロゲン不足は皮膚の水分保持やバリア機能の変化と関係し、乾燥した肌では細かなシワがより目につきやすくなります。米国皮膚科学会も、更年期には肌が水分を保持する力が低下しやすいとして、低刺激の洗浄と保湿を勧めています。
参考文献:American Academy of Dermatology. Caring for your skin in menopause.
更年期のシワは女性ホルモンだけが原因?
いいえ。更年期は「シワが急にゼロから生まれる時期」ではなく、それまでに蓄積した紫外線ダメージや乾燥、加齢による変化に、ホルモン変化が重なりやすい時期と考えるのが自然です。つまり、エストロゲンだけを見ればよいのではなく、紫外線と乾燥を減らし、必要に応じて医療的な選択肢も検討することが現実的です。
更年期のシワ対策は何から始める?
最初に意識したいのは、「高価なものを一つ足す」ことより、シワを進める要因を毎日少しずつ減らすことです。40代後半から始めやすく、研究でも根拠を確認しやすい方法を順番に紹介します。
紫外線対策は毎日する?
はい。シワ対策の土台として優先度が高いのが紫外線対策です。オーストラリアで行われた無作為化比較試験では、55歳未満の成人903人を約4.5年間追跡し、日焼け止めを毎日使った群は、自由に使った群より皮膚老化の進行が24%少なかったと報告されています。これは更年期女性だけを対象にした研究ではありませんが、紫外線による肌老化を抑える方法として質の高い根拠の一つです。
顔だけでなく、首や手の甲まで、広範囲を守ることが大切です。米国皮膚科学会は、更年期の肌にもSPF30以上の広範囲防御型の日焼け止めを毎日使用するよう勧めています。
参考文献:Hughes MCB, et al. Sunscreen and prevention of skin aging: a randomized trial. Ann Intern Med. 2013.
保湿はどう見直す?
更年期の肌は、洗いすぎや摩擦で乾燥が目立ちやすくなります。まずは「落としすぎない」「洗ったら早めに保湿する」の2点から見直しましょう。強い洗浄力の石けんを避け、低刺激の洗浄料を使い、入浴・洗顔後は肌が乾ききる前に保湿剤をなじませます。
保湿剤は、グリセリンやヒアルロン酸など水分を抱え込む成分と、セラミドや油性成分など水分の蒸発を抑える成分を組み合わせたものが使いやすいでしょう。ただし、「特定の成分を塗れば更年期由来の深いシワが消える」とまでは言えません。保湿の主な役割は、乾燥を和らげ、乾燥による細かなシワを目立ちにくくすることです。
参考文献:American Academy of Dermatology. Caring for your skin in menopause.
レチノイドはシワに使える?
紫外線によるシワに対しては、ビタミンA誘導体であるレチノイドに比較的強い研究があります。2025年のメタ解析では、8件の無作為化試験、計1,361人をまとめた結果、外用トレチノインは基剤だけを塗った場合と比べ、細かいシワと深いシワの両方を有意に改善しました。
ただし、これは主に「光老化」に対する研究で、更年期そのものを治療する研究ではありません。また、トレチノインは赤み、乾燥、皮むけなどの刺激が出ることがあり、日本では医師の管理が必要となる場合があります。市販のレチノール製品を使う場合も、少量・低頻度から始め、刺激が続くときは中止してください。
ホルモン療法でシワは改善する?
更年期のホルモン療法(MHT)については、皮膚への変化を調べた研究があります。2024年の系統的レビュー・メタ解析では、45〜55歳の更年期女性を対象とした15研究、計1,589人を解析し、MHTは皮膚の弾力、厚み、コラーゲン量を有意に改善しました。一方、乾燥については統計学的に有意な改善は確認されませんでした。
ただし、ここは大切な点です。MHTは「シワを減らすためだけ」に自己判断で始める治療ではありません。国際的なガイドラインでも、老化した皮膚の第一選択治療としてMHTを使うことは勧められていません。ほてり、寝汗、睡眠の乱れなど更年期症状がつらい場合は、婦人科で自分の症状と持病、乳がん・血栓症などのリスクを含めて相談してください。
参考文献:Clinical Practice Guidelines: Management of Menopause 2022 — Menopausal Hormone Therapy and Skin.
内側からできることはある?
更年期の肌では、外側からの保湿や紫外線対策だけでなく、毎日の食事で必要な栄養を不足させないことも大切です。ただし、「特定の食品を食べればエストロゲンが戻る」「コラーゲンを食べればそのまま顔のコラーゲンになる」といった単純な仕組みではありません。
まずは、極端な食事制限を避け、たんぱく質、ビタミン類、ミネラルを含む食事を整えることを基本にしましょう。そのうえで、美容を意識した食品やサプリメントは「基本の生活を置き換えるもの」ではなく、補助として考えるのが安全です。
ツバメの巣は更年期のシワに役立つ?
ツバメの巣は、シアル酸を含む糖たんぱく質などを含む食品です。美容素材として研究されていますが、最初に結論を言うと、現時点で「ツバメの巣がエストロゲン低下を補い、更年期由来のシワを治療する」と証明した人での臨床研究は確認できません。したがって、ホルモン療法の代わりとして紹介することはできません。
人を対象にした研究ではどうだった?
一方で、肌そのものへの作用を調べた人の研究はあります。2022年に報告された無作為化・二重盲検・プラセボ対照試験では、40〜60歳の女性86人を2群に分け、ツバメの巣抽出物100mgまたはプラセボを1日1回、12週間摂取しました。研究では機器測定と専門家評価を用いてシワ、弾力、水分などを追跡し、ツバメの巣抽出物群でシワ指標の改善が報告されました。
ただし、この研究は更年期女性だけを対象にしたものではなく、対象人数も86人と大規模ではありません。また、弾力など一部の評価指標は解釈に注意が必要です。そのため、「更年期のシワに効く」と断定するのではなく、40〜60歳女性の肌に関する初期的な臨床データがある、と捉えるのが適切です。
更年期に近い動物モデルではどうだった?
2011年には、卵巣を摘出して女性ホルモンが低下した状態をつくったラットにツバメの巣抽出物を与えた研究が報告されています。摂取群では皮膚の厚みが増加しましたが、血中エストラジオール濃度は変化しませんでした。
この結果は、「ツバメの巣がエストロゲンを増やした」という意味ではありません。また、動物実験の結果をそのまま人の更年期のシワ改善に置き換えることもできません。更年期に近い条件で皮膚への影響が研究されている、という補助的な情報として見る必要があります。
ツバメの巣はどの位置づけで考える?
更年期のシワ対策で優先したいのは、紫外線対策、保湿、刺激を避けたスキンケア、必要に応じた皮膚科・婦人科への相談です。その土台を整えたうえで、「内側からの美容習慣も続けたい」という方が補助的に取り入れる選択肢の一つとして、ツバメの巣を考えるのが現実的でしょう。
2024年に発表されたツバメの巣の皮膚研究レビューも、細胞実験・動物実験・初期の臨床試験には有望な結果がある一方で、皮膚への有効性と安全性を確立するには、さらに人での臨床研究が必要だとまとめています。
参考文献:Wang J, et al. The potential cutaneous benefits of edible bird’s nest. Arch Dermatol Res. 2024.
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よくあるご質問(FAQ)
Q1. 更年期になると必ずシワが増えますか?
いいえ。更年期になったからといって、すべての女性のシワが同じように増えるわけではありません。
更年期にはエストロゲンが低下し、それに伴って皮膚のコラーゲン量や弾力、水分量などが低下することが報告されています。そのため、更年期はシワや乾燥などの皮膚変化が目立ちやすくなる時期の一つと考えられています。
ただし、肌の老化は女性ホルモンだけで決まるものではありません。長期間の紫外線曝露は光老化の最も大きな原因とされており、そのほか加齢、遺伝的要因、喫煙などさまざまな要因が関係します。
つまり、更年期はシワが目立ちやすくなる要因の一つではありますが、「更年期になれば必ずシワが増える」と考える必要はありません。
参考文献
Calleja-Agius J, Brincat M. The effect of menopause on the skin and other connective tissues. Gynecol Endocrinol. 2012;28(4):273-277.
Thornton MJ. Estrogens and aging skin. Dermatoendocrinol. 2013;5(2):264-270.
Tsai J, Kang S. Photoaging: Update on Pathogenesis, Prevention, and Treatment. Ann Dermatol. 2026;38(3):167-176.
2026/09/4 出口詩朋子
Q2. 更年期のシワは保湿だけで改善できますか?
保湿は大切ですが、更年期に目立つシワをすべて保湿だけで改善できるとは言えません。
保湿剤を使用した臨床研究では、角層の水分量やバリア機能が改善し、細かい線やシワの見た目が改善したことが報告されています。そのため、乾燥によって強調されている細かなシワには、保湿が役立つ可能性があります。
一方、更年期にはエストロゲンの低下に伴い、真皮のコラーゲン量や皮膚の厚み、弾力などにも変化が起こります。また、紫外線による光老化では真皮のコラーゲンが減少・断片化することが知られており、こうした構造的な変化による深いシワまで保湿だけで元に戻せるとは言えません。
そのため、更年期のシワ対策では、保湿だけに頼るのではなく、毎日の紫外線対策なども組み合わせることが大切です。
参考文献
Nisbet S, Mahalingam H, Gfeller CF, et al. Cosmetic benefit of a biomimetic lamellar cream formulation on barrier function or the appearance of fine lines and wrinkles in randomized proof-of-concept clinical studies. Int J Cosmet Sci. 2019;41(1):1-11.
Calleja-Agius J, Brincat M. The effect of menopause on the skin and other connective tissues. Gynecol Endocrinol. 2012;28(4):273-277.
Yaar M, Gilchrest BA. Photoageing: mechanism, prevention and therapy. Br J Dermatol. 2007;157(5):874-887.
2026/09/4 出口詩朋子
Q3. 女性ホルモンを補えばシワはなくなりますか?
女性ホルモンを補えば、シワがすべてなくなるとは言えません。
更年期ホルモン療法(MHT、ホルモン補充療法/HRTとも呼ばれます)と皮膚について調べたシステマティックレビュー・メタ解析(45〜55歳の女性を対象とした15研究、計1,589人)では、MHTによって皮膚の弾力、厚み、コラーゲン量が改善することが示されました。著者らは、これらの変化を通じてシワの程度が軽くなると結論づけています。
ただし、統合解析の対象になったのは弾力・厚み・コラーゲン量・乾燥の4項目で、シワそのものが直接の解析項目になっているわけではありません。また、皮膚の乾燥については有意な改善が認められておらず、研究間のばらつきも大きいと報告されています。MHTは「シワを完全になくす治療」ではありません。
また、MHTは更年期のほてり・のぼせ・発汗などの症状に対して行われる治療であり、一人ひとりの状態や治療の利益・リスクを評価したうえで、医師と相談して進める医療です。シワだけを理由に自己判断で女性ホルモンを使用するものではありません。
更年期症状がつらく、MHTに関心がある場合は、シワ対策だけで考えるのではなく、婦人科で自分に適した治療かどうか相談しましょう。
参考文献
Pivazyan L, Avetisyan J, Loshkareva M, Abdurakhmanova A. Skin Rejuvenation in Women using Menopausal Hormone Therapy: A Systematic Review and Meta-Analysis. J Menopausal Med. 2023;29(3):97-111.
Shah MG, Maibach HI. Estrogen and skin. An overview. Am J Clin Dermatol. 2001;2(3):143-150.
日本産科婦人科学会. 更年期障害(一般の皆様へ/産科・婦人科の病気).
日本女性医学学会. HRTガイドブック―ホルモン補充療法の正しい理解をすすめるために.
2026/09/4 出口詩朋子
Q4. 更年期のシワ対策は何歳から始めるとよいですか?
「○歳から始めればよい」という明確な年齢基準はありません。紫外線対策や保湿などの基本的なスキンケアは、更年期を迎えてから始めるものではなく、日頃から続けることが大切です。
特に紫外線対策については、903人の成人を対象にした無作為化比較試験で、日焼け止めを毎日使用したグループは、必要に応じて使用したグループと比べて、約4.5年間の追跡で皮膚老化の進行が24%少なかったことが報告されています。
つまり、「40代後半だからもう遅い」ということはありません。これまで十分な対策をしていなかった場合でも、今日から紫外線対策や保湿を見直し、これから受ける肌への負担を減らしていくことには意味があります。
参考文献
Hughes MCB, Williams GM, Baker P, Green AC. Sunscreen and prevention of skin aging: a randomized trial. Ann Intern Med. 2013;158(11):781-790.
Nisbet S, Mahalingam H, Gfeller CF, et al. Cosmetic benefit of a biomimetic lamellar cream formulation on barrier function or the appearance of fine lines and wrinkles in randomized proof-of-concept clinical studies. Int J Cosmet Sci. 2019;41(1):1-11.
2026/09/4 出口詩朋子
Q5. ツバメの巣を食べれば更年期のシワは改善しますか?
現時点では、ツバメの巣を食べることで「更年期によるシワ」が改善すると断定できる十分な臨床エビデンスはありません。
一方、40〜60歳の女性を対象に行われた無作為化二重盲検プラセボ対照試験では、ツバメの巣抽出物100mgを1日1回、12週間摂取したグループで、プラセボ群と比較してシワの指標に改善が認められました(105人が登録され、解析対象は86人)。
更年期と重なる年代の女性が対象になっている点は興味深いところですが、この研究は「更年期女性」や「閉経後女性」に限定して参加者を集めた試験ではありません。また、女性ホルモンの状態とツバメの巣によるシワ改善との関係を調べた研究でもありません。
そのため、この研究から「更年期によるシワにツバメの巣が有効」とまでは言えません。
紫外線対策や保湿などの基本的なケアを続けたうえで、毎日の美容を内側から支える補助的な選択肢の一つとして考えるのが適切でしょう。
参考文献
Kim HM, Lee YM, Kim EH, et al. Anti-Wrinkle Efficacy of Edible Bird’s Nest Extract: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled, Comparative Study. Front Pharmacol. 2022;13:843469.
2026/09/4 出口詩朋子
まとめ:更年期のシワは「ホルモンだけ」で考えない
更年期にはエストロゲンが低下し、皮膚のコラーゲン、厚み、弾力、うるおいが変化しやすくなります。これは40代後半にシワが目立ってくる理由の一つです。
ただし、シワは紫外線や乾燥など複数の要因が重なって生じます。まずは毎日の紫外線対策とやさしい保湿を土台にし、必要に応じてレチノイドなどの皮膚科的ケアや、更年期症状について婦人科へ相談することが大切です。ツバメの巣は、その基本を置き換えるものではなく、内側からの美容習慣を考える方の補助的な選択肢として捉えるのが、現時点の研究に沿った位置づけです。
著者情報
出口 詩朋子(でぐち しほこ)
乾燥肌・シワ研究チーム 研究員
ツバメの巣研究所 研究員
ATHENA株式会社(HESTIAP 美容リサーチャー)



