家の中でも紫外線対策は必要?窓から入るUVAとシワの関係を科学的に解説

家の中でも、日当たりのよい窓際で長時間過ごすなら紫外線対策には意味があります。ただし、室内のどこにいても屋外と同じ対策が必要というわけではありません。

家の中なら紫外線は気にしなくていい?

外出しない日は、「今日は家にいるから日焼け止めはいらないかな」と思うことがありますよね。一方でSNSを見ると、「UVAは窓を通るから、朝起きたらすぐ日焼け止めを塗るべき」という情報も見かけます。シワが気になり始める40代では、少しでも老化につながることは避けたいと思う反面、家の中で一日中しっかり日焼け止めを塗る必要があるのか、迷う方も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、室内での紫外線対策は「いる場所」と「窓から入る日差しの量」によって考えるのが現実的です。窓から離れた場所で日差しがほとんど届かないなら、屋外と同じ強さの対策をする必要性は高くありません。一方、窓際で長時間仕事をする、南向きの大きな窓のそばで過ごす、車の運転時間が長いといった場合は、UVAへの対策を考える価値があります。

窓ガラスは紫外線を通す?

紫外線には主にUVAとUVBがあります。UVBは日焼けによる赤みなどを起こしやすい一方、UVAは波長が長く、皮膚のより深い部分まで届きやすい性質があります。

ガラスを通る紫外線量を調べた2009年の実験研究では、複数種類のガラスに紫外線を当て、どの程度UVA・UVBが透過するかを測定しました。その結果、すべてのガラスでUVBは遮断されましたが、一般的な透明ガラスではUVAの74.3%が透過しました。一方、合わせガラスや一部の着色ガラス、紫外線カットフィルムではUVAの透過が大きく抑えられました。

つまり「窓ガラスがあるから紫外線はゼロ」という理解は正確ではありません。ただし、透過率はガラスの種類や厚さ、コーティング、フィルムの有無などによって変わります。

参考文献:The role of glass as a barrier against the transmission of ultraviolet radiation: an experimental study(PubMed)

窓から入るUVAはシワに関係する?

紫外線による皮膚の老化は「光老化」と呼ばれます。長期間にわたる紫外線曝露は、皮膚のコラーゲンを分解する仕組みを活性化し、同時にコラーゲン産生を低下させることが知られています。こうした変化は、シワや弾力低下につながる要因の一つです。

2002年のレビューでは、ヒト皮膚における紫外線刺激によって、細胞外マトリックスを分解する酵素が増え、コラーゲン産生が低下する経路が整理されています。これは「窓越しのUVAだけで必ずシワになる」と証明した研究ではありませんが、紫外線が皮膚老化を進める生物学的な仕組みを示す根拠の一つです。

参考文献:UV-light-induced signal cascades and skin aging(PubMed)

さらに、窓越しに繰り返しUVAを浴びる影響を調べた2010年の研究では、車の運転などで顔の片側が長期間窓側になりやすい人を対象に、左右の顔の老化徴候を評価しました。研究では、窓側に当たりやすい側の顔で、シワや皮膚の粗さなど光老化に関連する所見が多い傾向が確認されました。ただし、これは生活環境の中での累積曝露を観察した研究であり、室内にいるすべての人に同じ程度の影響が起こることを示したものではありません。

参考文献:Assessment of cumulative exposure to UVA through the study of asymmetrical facial skin aging(PMC)

家の中では必ず日焼け止めを塗る?

ここで大切なのは、「UVAが窓を通る」ことと「室内にいる人は全員、毎日強い日焼け止めが必要」という主張を分けて考えることです。前者には実測データがあります。しかし後者については、窓からの距離、方角、日照時間、ガラスの種類、カーテンやブラインドの有無などで曝露量が大きく変わるため、全員に同じ対策を求める科学的根拠は十分ではありません。

「家の中でも絶対に日焼け止め」という情報が広まりやすい背景には、UVAが一般的なガラスを通過するという事実を、室内生活全体へ広げて解釈しているケースがあると考えられます。UVA透過という事実自体は研究で確認されていますが、室内で受ける量は環境によって違います。

そのため、シワ対策としては「家にいるか、外にいるか」だけで決めるのではなく、実際にどの程度、窓からの日差しを受けているかを見る方が合理的です。

室内でも紫外線対策をした方がいいのはどんな時?

次のような生活では、室内でもUVA対策を取り入れる意味があると考えられます。

  • 窓際のデスクで数時間以上仕事をする。
  • 南向き・西向きなど、強い日差しが入る部屋で長時間過ごす。
  • 大きな窓のすぐそばで家事や読書をする時間が長い。
  • 車を長時間運転することが多い。
  • 紫外線によるシワや色素沈着をできるだけ予防したい。

反対に、窓から離れた場所で過ごし、直射日光もほとんど入らない環境なら、「室内だから」という理由だけで高いSPFの日焼け止めを一日中塗り続ける必要性は高くないと考えられます。

シワ予防にはどんな紫外線対策が現実的?

紫外線対策は、日焼け止めだけに頼る必要はありません。窓際で過ごす時間が長いなら、カーテン、ブラインド、UVカットフィルムなどで窓から入る紫外線そのものを減らす方法もあります。肌へ何度も塗り直す負担を減らしたい方にも取り入れやすい方法です。

日焼け止めについては、日常的に使用することが光老化の進行を抑えるかを調べたランダム化比較試験があります。オーストラリアの903人の成人を対象に、毎日日焼け止めを使う群と、各自の判断で使用する群を約4.5年間追跡しました。その結果、毎日使用した群では皮膚老化の進行が有意に少なく、老化スコアの増加は比較群より24%低い結果でした。

この試験は「室内だけで過ごす人」を対象としたものではないため、室内での日焼け止め効果を直接証明する研究ではありません。ただし、紫外線を日常的に防ぐことが長期的な光老化予防につながるという、比較的強い臨床的根拠です。

参考文献:Sunscreen and prevention of skin aging: a randomized trial(PubMed)

40代のシワ対策は紫外線だけで十分?

紫外線対策は大切ですが、すでにできているシワが日焼け止めだけで元に戻るわけではありません。日焼け止めの主な役割は、これから加わる紫外線ダメージを減らすことです。

40代でシワが気になる場合は、紫外線対策に加えて、乾燥を防ぐ保湿、強い摩擦を避けること、十分な睡眠や栄養など、肌への負担を減らす生活を組み合わせることが現実的です。シワが急に増えた、深く刻まれて気になるなどの場合には、皮膚科や美容皮膚科で相談する方法もあります。

ツバメの巣とシワの研究は?

紫外線対策は「外から守る」ケアですが、美容を意識する方の中には、食生活や美容食品など内側からの習慣にも関心があるかもしれません。食用ツバメの巣(Edible Bird’s Nest)については、40~60歳の女性を対象にした臨床試験があります。

2022年に報告されたランダム化二重盲検プラセボ対照試験では、40~60歳の女性86人を、ツバメの巣抽出物100mgを1日1回摂取する群とプラセボ群に43人ずつ分け、12週間比較しました。その結果、目元などのシワに関する評価指標の一部で、ツバメの巣群がプラセボ群より有意に改善しました。

一方で、この試験だけで「ツバメの巣が紫外線によるシワを治す」「日焼け止めの代わりになる」とは言えません。研究で確認されたのは、特定のツバメの巣抽出物を一定量摂取した条件でのシワ指標の変化です。紫外線対策とは役割が異なるため、基本的なUV対策の代わりではなく、美容習慣を考える際の一つの研究情報として捉えるのが適切です。

参考文献:Anti-Wrinkle Efficacy of Edible Bird’s Nest Extract: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled, Comparative Study(PubMed)

ツバメの巣を美容習慣に取り入れる?

シワ対策では、まず毎日の紫外線対策や保湿など、研究の蓄積が多い基本ケアを続けることが大切です。そのうえで、食生活や美容習慣も見直したい方は、ツバメの巣という素材について、原料や配合成分、続けやすさなどを確認してみるのも一つの選択肢です。

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よくあるご質問(FAQ)

Q1.曇りの日でも家の中で紫外線対策は必要ですか?

窓際で長時間過ごす場合は、曇りの日でも紫外線対策を考える意味があります。
UVAはUVBに比べて雲の影響を受けにくく、曇っていても地表まで届きます。実際、雲がある条件でもUVA曝露が確認されており、条件によっては晴天時に近いUVA量になることもあります。
また、UVAは一般的な窓ガラスをある程度通過します。紫外線ランプを用いてガラスの種類を比較した実験では、一般的な透明ガラスでUVAの74.3%が透過した一方、合わせガラスではUVAがほぼ完全に遮断されました。なお、UVBはどの種類のガラスでも遮断されており、室内で問題になるのは主にUVAです。
日本化粧品工業会も、UVAは雲や窓ガラスを通過し、真皮まで到達してシワやたるみなどの光老化に関係すると説明しています。
ただし、室内で受けるUVA量は、窓の種類、日差しの向き、時刻、窓からの距離などによって大きく変わります。そのため、すべての人が室内でも屋外と同じ強さの紫外線対策をする必要があるとは言えません。
参考文献
Duarte I, Rotter A, Malvestiti A, Silva M. The role of glass as a barrier against the transmission of ultraviolet radiation: an experimental study. Photodermatol Photoimmunol Photomed. 2009;25(4):181-184.
Parisi AV, Turnbull DJ. Evaluation of the cloudy sky solar UVA radiation exposures. J Photochem Photobiol B. 2014;138:141-145.
日本化粧品工業会. 紫外線の肌への影響.
2026/09/1 出口詩朋子

Q2.レースカーテンだけでも紫外線対策になりますか?

レースカーテンでも、窓から入る紫外線をある程度減らすことは期待できます。ただし、「レースカーテンなら必ず十分な紫外線対策になる」とは言えません。
布を透過する紫外線量は、素材だけでなく、繊維の種類、織り方、布の密度、厚み、色、加工などによって大きく変化することが分かっています。
例えば、さまざまな布地の紫外線透過性を測定した研究では、同じ衣類用の生地でもUV防御性能に大きな差がありました。生地が紫外線を遮る性能には、とくに布の「目の詰まり方」が大きく影響します。
ただし、これらは衣類用の生地を調べた研究であり、家庭用レースカーテンを直接比較した研究ではありません。
そのため、窓際で長時間過ごす場合など、室内のUVAをしっかり減らしたいのであれば、UVカット性能が明示されたカーテンや窓用UVカットフィルムを選ぶと、目的がより明確です。窓用フィルムによってUVA透過を大きく低減できることも実験で確認されています。
参考文献
Saha B, Saha A, Das P, et al. A comprehensive review of ultraviolet radiation and functionally modified textile fabric with special emphasis on UV protection. Heliyon. 2024;10(22):e40027.
Davis S, Capjack L, Kerr N, Fedosejevs R. Clothing as protection from ultraviolet radiation: which fabric is most effective? Int J Dermatol. 1997;36(5):374-379.
Duarte I, Rotter A, Malvestiti A, Silva M. The role of glass as a barrier against the transmission of ultraviolet radiation: an experimental study. Photodermatol Photoimmunol Photomed. 2009;25(4):181-184.
2026/09/1 出口詩朋子

Q3.窓から離れていれば日焼け止めを塗らなくても大丈夫ですか?

窓から離れ、直接の日差しがほとんど届かない場所では、一般に窓際よりも太陽由来の紫外線曝露は少なくなります。
室内の紫外線量を波長ごとに測定した研究では、室内の太陽由来UV量は、窓の種類、太陽の角度、光の入射方向、窓からの距離などによって変化することが確認されています。特に窓付近では直接光の影響が大きく、距離が離れることで室内のUVは低下します。
ただし、「窓から○m離れれば日焼け止めは不要」という一律の距離基準はありません。窓の大きさや方角、ガラスの種類、季節、時刻などによって状況が異なるためです。
したがって、窓から離れた場所で一日中過ごし、直接の日差しもほとんど入らない場合には、室内にいるという理由だけで屋外用の高い紫外線防御性能を必ず使う必要性は高くありません。
一方、窓際で長時間過ごす場合や、途中で外出する場合には、その日の生活環境に合わせて紫外線対策を考えるとよいでしょう。
参考文献
Young CJ, Zhou S, Siegel JA, Kahan TF. Factors affecting wavelength-resolved ultraviolet irradiance indoors and their impacts on indoor photochemistry. Indoor Air. 2021;31(3):642-652.
Almutawa F, Vandal R, Wang SQ, Lim HW. Current status of photoprotection by window glass, automobile glass, window films, and sunglasses. Photodermatol Photoimmunol Photomed. 2013;29(2):65-72.
2026/09/1 出口詩朋子

Q4.SPFが高い日焼け止めほど室内のUVA対策に向いていますか?

SPFの数字だけでは、UVAへの防御力を判断することはできません。
日本化粧品工業会によると、SPF(Sun Protection Factor)は主としてUVBによる赤い日焼け(サンバーン)を防ぐ効果を示す指標です。
一方、PA(Protection Grade of UVA)はUVA防止効果を示す指標で、「PA+」から「PA++++」まで表示され、+の数が多いほどUVA防止効果が高いことを示します。
そのため、室内のUVA対策を目的に日焼け止めを選ぶ場合は、SPFの数字だけを高くするのではなく、PA表示も確認することが大切です。
また、日本化粧品工業会は、紫外線防止化粧品について「高ければ高いほど常に良い」という選び方ではなく、通勤・買い物・炎天下のレジャーなど、生活シーンに合わせてSPF・PAを選択することを勧めています。
室内中心の日は、UVA防御性能に加えて、乾燥しにくさや使用感なども考え、毎日無理なく続けられる製品を選ぶのが現実的です。
参考文献
日本化粧品工業会. 気になる紫外線用語CHECK!「SPF」と「PA」とは.
日本化粧品工業会. 紫外線防止の基本.
2026/09/1 出口詩朋子

Q5.すでにできたシワも紫外線対策で改善しますか?

紫外線対策の最も確立した役割は、これから加わる光老化を抑えることです。すでにできているシワが、日焼け止めを塗るだけですべて元に戻るとは言えません。
903人を対象に約4.5年間追跡した無作為化比較試験では、日焼け止めを毎日使用したグループは、必要に応じて使用したグループと比べて、皮膚老化の進行が24%少なかったことが報告されています。これは、日常的な紫外線対策によって光老化の進行を抑えられることを示す比較的強いエビデンスです。
一方、すでにある光老化についても報告があります。32人がSPF30の広範囲紫外線防御型日焼け止めを1年間毎日使用した研究では、肌の質感や色むらなどを含む光老化の複数の評価項目が、開始時より改善したとされています。
ただし、この研究には日焼け止めを使わない対照群がなく、参加者も32人と少数で、製品を扱う企業の研究者による報告です。そのため、「日焼け止めを塗れば既存の深いシワが治る」ことを示した研究ではありません。
したがって紫外線対策は、「今あるシワを消す治療」というより、これ以上の光老化をできるだけ増やさず、将来のシワの進行を抑えるための基本ケアと考えるのが適切です。
参考文献
Hughes MCB, Williams GM, Baker P, Green AC. Sunscreen and prevention of skin aging: a randomized trial. Ann Intern Med. 2013;158(11):781-790.
Randhawa M, Wang S, Leyden JJ, Cula GO, Pagnoni A, Southall MD. Daily Use of a Facial Broad Spectrum Sunscreen Over One-Year Significantly Improves Clinical Evaluation of Photoaging. Dermatol Surg. 2016;42(12):1354-1361.
2026/09/1 出口詩朋子

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、医療上の診断・治療に代わるものではありません。

著者情報
出口 詩朋子(でぐち しほこ)
乾燥肌・シワ研究チーム 研究員
ツバメの巣研究所 研究員
ATHENA株式会社(HESTIAP 美容リサーチャー)

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