乾燥肌ケア
運動不足で乾燥肌になる?40代女性の肌とうるおい・運動の関係

運動不足だけで乾燥肌になるとは断定できませんが、運動習慣は角層の水分量や肌構造と関係する可能性があります。保湿と無理のない運動を組み合わせることが大切です。
運動不足は乾燥肌の原因になる?
「きちんと保湿しているのに、夕方になると頬がつっぱる」「40代に入ってから、肌のごわつきや粉ふきが増えた」。そんな変化を感じると、化粧品だけでなく生活習慣も気になってきます。仕事や家事で一日中座りっぱなしになり、「最近ほとんど運動していない」と気づく方もいるでしょう。
ただし、現在の研究からは「運動不足そのものが乾燥肌を起こす」とまでは断定できません。乾燥肌には、空気の乾燥、洗いすぎ、加齢、紫外線、皮膚疾患など多くの要因が関係するからです。
一方で、人を対象にした研究では、身体活動量が多い人ほど角層の水分量が高いという関連や、運動を始めることで角層水分量が改善する可能性が報告されています。運動は乾燥肌の「治療」ではありませんが、肌の状態を支える生活習慣の一つとして考える価値があります。
運動量と肌の水分量には関係がある?
2021年に日本で行われた横断研究では、慢性の皮膚疾患がない20〜62歳の86人(女性72人)を対象に、普段の身体活動量と前腕の角層水分量、水分蒸散量(TEWL)を調べました。
その結果、活動量が「低い・中程度・高い」と上がるほど、角層水分量は有意に高くなりました。低活動群と高活動群の差は大きな効果量を示しました。一方で、TEWLには活動量による有意差はありませんでした。
重要なのは、この研究が「同じ時点で活動量と肌状態を比べた観察研究」だという点です。活動量の高い人は食事や睡眠など別の生活習慣も違う可能性があるため、この結果だけで「運動すれば乾燥肌が治る」とは言えません。
参考文献:The association between activity levels and skin moisturising function in adults
運動を始めると肌のうるおいは変わる?
さらに2023年には、30〜64歳で運動習慣のなかった成人を対象に、8週間の運動による変化を調べた研究が発表されています。運動群9人は週600MET・分以上の中等度以上の活動を続け、対照群28人は普段どおりの生活を送りました。
年齢や性別などを調整した主要解析では、8週間後の角層水分量は運動群で高い「傾向」がありましたが、統計学的な有意差には届きませんでした(p=0.083)。また、TEWLには差がありませんでした。決められた運動量を実際に達成できた人に限った追加解析では、角層水分量は運動群で有意に高くなりました。
つまり、定期的な運動が肌の水分保持を助ける可能性はありますが、参加人数が少なく、非ランダム化の研究でもあります。現時点では「運動不足が乾燥肌を起こす」と断定するより、「運動習慣が肌のうるおい維持に関係する可能性がある」と理解するのが適切です。
参考文献:Effects of regular exercise on skin moisturizing function in adults
運動はなぜ肌に影響する可能性がある?
運動と乾燥肌をつなぐ仕組みは、まだ完全には解明されていません。
ただ、研究からはいくつかの手がかりがあります。
2015年の研究では、普段から運動している成人と座りがちな成人の皮膚を比較し、さらに65〜86歳の運動習慣のない高齢者10人に3か月間の有酸素運動を行ってもらいました。運動後には角層や表皮の構造、真皮のコラーゲン量、皮膚のミトコンドリアに変化がみられました。研究では、運動で増えるIL-15という物質が、皮膚細胞のミトコンドリア機能に関わる可能性も細胞・動物実験で検討されています。
ただし、これは主に「皮膚の加齢変化や構造」を見た研究で、40代女性の乾燥肌を直接治療した研究ではありません。運動による全身の変化が皮膚にも影響しうるという仕組みを示した研究として捉える必要があります。
参考文献:Exercise-stimulated interleukin-15 is controlled by AMPK and regulates skin metabolism and aging
40代女性の肌にも運動のメリットはある?
40代に近い女性を対象にした研究もあります。2023年の無作為化研究では、運動習慣のない41〜59歳の日本人女性61人を有酸素運動群と筋力トレーニング群に分け、16週間、週2回の運動を行いました。解析できたのは56人でした。
その結果、どちらの運動でも肌の弾力と真皮上部の構造が有意に改善し、筋力トレーニング群では真皮の厚さも改善しました。研究中はスキンケア習慣を変えないよう指示されていたため、運動そのものと皮膚構造の変化を検討しやすい設計です。
ただし、この研究で主に測られたのは弾力や真皮構造であり、乾燥肌の改善そのものではありません。それでも、40〜50代の女性において「有酸素運動だけでなく筋トレも肌の構造に影響しうる」という興味深い人のデータです。
乾燥肌対策として運動をどう始める?
乾燥肌のために、いきなり激しい運動を始める必要はありません。肌の研究だけを見ても「何分、何歩なら乾燥肌に最適」という基準は確立されていません。そこで、全身の健康づくりとして確立されている公的な運動基準を目安にしながら、続けられる量から始めるのが現実的です。
まずは今より10分多く動く
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、成人に対して「今よりも少しでも多く身体を動かす」ことを基本にしています。具体的には、歩行または同等以上の身体活動を1日60分以上、筋力トレーニングを週2〜3日行うことなどが示されています。
これは乾燥肌治療のための基準ではありません。忙しい40代女性なら、まずは「昼休みに10分歩く」「エスカレーターの代わりに階段を使う」「夕食後に近所を歩く」など、今より少し増やすことからで十分です。
参考文献:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」成人版
座りっぱなしをこまめに中断する
デスクワークやスマートフォンで長く座る日には、「運動の時間を取る」ことだけでなく、座り続ける時間を短くすることも意識しましょう。厚生労働省のガイドでも、座位時間が長くなりすぎないよう、できるだけ頻繁に中断することが勧められています。
1時間に一度立って飲み物を取りに行く、コピーや電話の際に立つ、家事の合間に軽く足踏みするなど、特別なウェアや道具がなくても実践できます。
参考文献:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」成人版
有酸素運動と筋トレはどう組み合わせる?
人の皮膚を調べた16週間の研究では、有酸素運動と筋力トレーニングの両方で肌の弾力や真皮上部の構造が改善しました。乾燥肌だけを目的とした研究ではありませんが、片方に偏る必要はないことを示す材料になります。
たとえば、週の多くの日は歩く時間を少し増やし、週2回ほどスクワットや壁腕立てなど自宅でできる筋トレを加える方法なら取り入れやすいでしょう。痛みや持病がある場合は、運動量を増やす前に医師へ相談してください。
運動後の汗はどうケアする?
運動直後は汗によって角層水分量が一時的に増えるため、「汗をかけば肌がうるおう」と感じることがあります。しかし、これは長期的な保湿効果とは別です。
102人を対象に顔の皮膚を測った研究では、運動による発汗中に角層水分量や皮脂、皮膚表面pHが変化しました。60人のアスリートを調べた別研究でも、45分間の運動後に角層水分量やpHなどが変化しています。つまり、汗は肌環境を一時的に変えるため、乾燥しやすい方は汗を長時間そのままにせず、やさしく洗い流す・押さえるように拭くなどのケアが無難です。
参考文献:Influence of sportive activity on skin barrier function: a quantitative evaluation of 60 athletes
運動後も保湿した方がよい?
はい。乾燥肌では、運動の有無にかかわらず外側からの保湿が基本です。平均年齢約55歳の軽〜中等度の乾燥肌24人を対象にした二重盲検の比較試験では、左右のすねにセラミド配合保湿剤と親水性クリームを塗り分けました。
28日間、1日2回使用した結果、セラミド配合側では皮膚水分量やTEWLなどが比較対照より良好に改善しました。ただし、顔ではなくすねを調べた研究なので、すべての顔用化粧品に同じ効果があるとは言えません。
運動後にシャワーを浴びた場合は、肌を強くこすらず、入浴後に刺激の少ない乳液やクリームなどで水分が逃げにくい状態をつくることを意識してください。
ツバメの巣は乾燥肌にどう関わる?
運動や保湿を整えたうえで、「内側からの美容習慣にも関心がある」という方には、研究が進められている食品素材の一つとしてツバメの巣があります。ここでは、実際に確認されている研究の範囲だけを紹介します。
2021年の研究では、食用ツバメの巣の水抽出物と酵素消化物をヒト由来の培養角化細胞(HaCaT細胞)に加え、肌のバリアや保湿に関わるたんぱく質を調べました。その結果、フィラグリンとフィラグリン2の遺伝子・たんぱく質発現が増加しました。マウス皮膚を体外で培養した実験でも、フィラグリン発現の増加が確認されています。
フィラグリンは角層の保湿機能に関わる重要なたんぱく質ですが、この研究は培養細胞とマウス皮膚による基礎研究です。ツバメの巣を食べた40代女性の乾燥肌が改善したことを証明した臨床試験ではありません。
また、紫外線を照射した21匹の雌マウスにツバメの巣抽出物を10週間毎日与えた研究では、高用量群で紫外線照射部位の皮膚水分量が対照群より有意に高く、表皮の細胞死も少ない結果でした。
この結果も動物実験であり、人の乾燥肌への有効性を確定するものではありません。現段階では、ツバメの巣は「肌の保湿やバリアに関わる仕組みについて基礎研究が行われている食品素材」と捉えるのが適切です。運動や保湿の代わりではなく、あくまで日々の美容習慣の選択肢の一つです。
ツバメの巣ゼリーを取り入れるなら?
乾燥肌対策でまず優先したいのは、低刺激の洗浄、毎日の保湿、紫外線対策などの基本ケアです。そこに無理のない運動を加え、さらに食生活の中にも美容習慣を取り入れたい方は、ツバメの巣を検討してみてもよいでしょう。
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食品は医薬品ではなく、乾燥肌や皮膚疾患を治療するものではありません。強いかゆみ、赤み、ひび割れ、痛み、じゅくじゅくした湿疹などが続く場合は、運動や美容食品で様子を見るのではなく皮膚科を受診してください。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 運動不足だけで乾燥肌になるのですか?
いいえ。運動不足だけが乾燥肌の原因になると示されているわけではありません。
乾燥肌には、低湿度、加齢、洗浄による刺激、皮膚バリア機能の低下、皮膚疾患など、さまざまな要因が関係しています。乾皮症(xerosis cutis)についてまとめた専門家のポジションペーパーでも、原因や悪化要因は一つではなく、複数の要因を考える必要があるとされています。
一方、運動習慣と肌の水分状態との関係を示す研究はあります。
日本の成人86人を対象に活動量と肌状態を調べた研究では、活動量が高い人ほど角層水分量が有意に高いという関連が認められました。ただし、この研究は横断研究のため、「運動したから肌がうるおった」という因果関係までは示せません。
さらに、30〜64歳の運動習慣がない人を対象に8週間運動してもらった介入研究では、運動群で対照群より角層水分量が高くなる傾向がみられましたが、統計学的有意差には達しておらず(p=0.083)、経皮水分蒸散量(TEWL)にも差はありませんでした。
したがって現時点では、運動不足を乾燥肌の原因と断定することはできないものの、定期的な身体活動が肌の水分保持機能と関連する可能性はある、と考えるのが適切です。
参考文献
Oizumi R, Sugimoto Y, Aibara H. The association between activity levels and skin moisturising function in adults. Dermatol Reports. 2021;13(1):8811.
Oizumi R, Sugimoto Y, Aibara H. Effects of regular exercise on skin moisturizing function in adults. Dermatol Reports. 2023;15(4):9711.
Augustin M, Wilsmann-Theis D, Körber A, et al. Diagnosis and treatment of xerosis cutis – a position paper. J Dtsch Dermatol Ges. 2019;17 Suppl 7:3-33.
2026/08/28 出口詩朋子
Q2. 乾燥肌のためには毎日どのくらい運動すればよいですか?
乾燥肌の改善だけを目的とした「最適な運動時間・強度」は、現在の研究では確立されていません。
肌の水分状態を調べた8週間の介入研究はありますが、参加者数が少なく、「週○分運動すれば乾燥肌が改善する」という基準を示した研究ではありません。
そのため、運動量については肌だけではなく、まず全身の健康づくりの基準を参考にするとよいでしょう。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人について、歩行またはそれと同等以上の身体活動を1日60分以上(約8,000歩以上)、息が弾み汗をかく程度以上の運動を週60分以上、筋力トレーニングを週2〜3日行うことを推奨しています。
ただし、これは「乾燥肌改善のための運動量」ではなく、健康全般を目的とした目安です。
また厚生労働省は、現在の活動量が少ない人については、いきなり目標を達成しようとするのではなく、「今より10分多く体を動かす」ことから始めることも勧めています。
そのため、運動習慣がない方は、まずウォーキングなどで今より10分多く体を動かし、無理なく続けられる範囲から始めるとよいでしょう。
参考文献
厚生労働省. 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023.
厚生労働省 e-ヘルスネット. 「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」推奨シート:成人版.
Oizumi R, Sugimoto Y, Aibara H. Effects of regular exercise on skin moisturizing function in adults. Dermatol Reports. 2023;15(4):9711.
2026/08/28 出口詩朋子
Q3. ウォーキングだけでも肌に意味がありますか?
ウォーキングだけを行って「乾燥肌が改善するか」を直接検証した臨床研究は、現時点ではありません。
ただし、有酸素運動によって人の皮膚に変化が起こることを示した研究があります。
運動習慣のない41〜59歳の日本人女性61人を対象とした研究では、有酸素運動群と筋力トレーニング群に分け、週2回、16週間運動を行いました。
その結果、解析対象となった56人では、有酸素運動・筋力トレーニングの両方で皮膚の弾力と真皮上層の構造が改善しました。さらに筋力トレーニング群では真皮の厚みにも改善が認められました。
ただし、この研究の有酸素運動はエアロバイクを最高心拍数の65〜70%の強度で30分行うもので、「ゆっくりしたウォーキングだけ」を調べた研究ではありません。また、共著者に化粧品会社(ポーラ化成工業)の研究者が含まれています。
そのため、「ウォーキングだけで乾燥肌が改善する」とは言えませんが、運動習慣のない方にとって、歩く時間を増やすことは全身の健康のためにも始めやすい身体活動です。まず無理のないウォーキングから習慣化していくのはよい方法でしょう。
参考文献
Nishikori S, Yasuda J, Murata K, Takegaki J, Harada Y, Shirai Y, Fujita S. Resistance training rejuvenates aging skin by reducing circulating inflammatory factors and enhancing dermal extracellular matrices. Sci Rep. 2023;13(1):10214.
厚生労働省. 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023.
2026/08/28 出口詩朋子
Q4. 汗をたくさんかけば肌はうるおいますか?
汗をかくことで一時的に角層水分量が増えることはありますが、それを長期的な保湿効果と考えることはできません。
5〜60歳の102人を対象に、運動による発汗前・発汗開始時・大量発汗時・発汗1時間後の顔の皮膚を測定した研究では、発汗開始時や大量発汗時に、額と頬の角層水分量が増加しました。
一方、同じ研究では発汗に伴って皮脂量や皮膚表面のpHにも変化がみられました。つまり、汗をかくと皮膚表面の状態は一時的に変化しますが、「汗をかけばかくほど肌の保湿力が高まる」と単純に考えることはできません。
また、アスリート60人の皮膚を評価した研究では、発汗を伴う運動が皮膚バリア機能に影響しうることが示されています。運動や発汗による皮膚の変化は、必ずしも保湿にとってプラスの方向だけではありません。
したがって、汗は保湿剤の代わりにはなりません。乾燥しやすい方は、運動後に汗を長時間そのままにせず、必要に応じてやさしく洗い流したり拭き取ったりし、その後に保湿するとよいでしょう。
参考文献
Wang S, Zhang G, Meng H, Li L. Effect of exercise-induced sweating on facial sebum, stratum corneum hydration, and skin surface pH in normal population. Skin Res Technol. 2013;19(1):e312-e317.
Luebberding S, Kolbe L, Kerscher M. Influence of sportive activity on skin barrier function: a quantitative evaluation of 60 athletes. Int J Dermatol. 2013;52(6):745-749.
2026/08/28 出口詩朋子
Q5. 運動と保湿はどちらを優先すればよいですか?
乾燥肌そのものへの直接的な対策としては、まず保湿を優先するのが適切です。
乾皮症について専門家がまとめたポジションペーパーでは、肌の水分量を高め、皮膚バリア機能を回復させるために、水分を保持する成分と脂質を補う成分を組み合わせた保湿ケアが基本的な対策として位置づけられています。
米国皮膚科学会(AAD)も、乾燥肌に対して保湿剤を1日に複数回使用し、とくに入浴後の肌がまだ湿っているうちに塗ることを勧めています。
一方、運動については、活動量が高い人ほど角層水分量が高かった研究や、運動習慣によって肌の水分量が改善する可能性を示した研究がありますが、運動を乾燥肌の治療として保湿の代わりに使えるほどのエビデンスはありません。
したがって、乾燥肌への直接的なケアは保湿、肌を含む全身の健康を支える生活習慣として運動、と分けて考えると分かりやすいでしょう。
保湿を続けても強い乾燥、かゆみ、赤み、ひび割れなどが改善しない場合は、アトピー性皮膚炎など別の皮膚疾患が関係している可能性もあるため、皮膚科に相談しましょう。
参考文献
Augustin M, Wilsmann-Theis D, Körber A, et al. Diagnosis and treatment of xerosis cutis – a position paper. J Dtsch Dermatol Ges. 2019;17 Suppl 7:3-33.
American Academy of Dermatology Association. Dermatologists’ top tips for relieving dry skin.
Oizumi R, Sugimoto Y, Aibara H. Effects of regular exercise on skin moisturizing function in adults. Dermatol Reports. 2023;15(4):9711.
2026/08/28 出口詩朋子
著者情報
出口 詩朋子(でぐち しほこ)
乾燥肌・シワ研究チーム 研究員
ツバメの巣研究所 研究員
ATHENA株式会社(HESTIAP 美容リサーチャー)



