シワケア
酸化ストレスでシワは増える?活性酸素がコラーゲン・エラスチンに与える影響をわかりやすく解説

酸化ストレスが過剰になると、コラーゲンを分解する酵素が増え、合成も低下しやすくなります。紫外線などが重なると、シワにつながる変化が進みます。
「最近、目元や口元の線が戻りにくくなった」「抗酸化成分をとれば、シワは防げるの?」。40代になると、こうした疑問を持つ方は少なくありません。SNSでは“活性酸素は美容の大敵”と断言する情報がある一方、「活性酸素は体に必要だから気にしなくていい」という説明も見かけます。
結論から言うと、活性酸素そのものがすべて悪いわけではありません。ただし、活性酸素の産生が増えすぎ、体の防御力とのバランスが崩れた「酸化ストレス」の状態は、皮膚のコラーゲンや弾性線維の変化に関わります。ここでは、ヒト皮膚の研究、細胞研究、臨床試験を分けて見ながら、どこまでわかっているのかを整理します。
酸化ストレスでシワは増える?
はい。酸化ストレスは、シワ形成に関わる重要な要因の一つです。ただし、「酸化ストレスだけでシワができる」という意味ではありません。加齢、紫外線、喫煙、乾燥、表情による機械的な動きなど、複数の要因が重なって皮膚の構造は変化します。
特に科学的な根拠が蓄積しているのが、紫外線による光老化です。紫外線は皮膚内で活性酸素を増やし、細胞の情報伝達を変化させることが知られています。その結果、コラーゲンを分解するMMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)という酵素が増えたり、コラーゲンを作る働きが弱まったりする方向に傾きます。
参考文献
Rinnerthaler M, Bischof J, Streubel MK, Trost A, Richter K. Oxidative stress in aging human skin. Biomolecules. 2015;5(2):545-589.
酸化ストレスとは?
活性酸素(ROS)は、酸素から生じる反応性の高い分子の総称です。スーパーオキシドや過酸化水素などが含まれます。私たちの体では、呼吸やエネルギー産生の過程でも生じますし、免疫や細胞内の情報伝達にも利用されています。
参考文献
Sies H, Jones DP. Reactive oxygen species (ROS) as pleiotropic physiological signalling agents. Nat Rev Mol Cell Biol. 2020;21(7):363-383.
一方で、活性酸素の産生が増えすぎたり、抗酸化酵素などによる処理が追いつかなくなったりすると、タンパク質、脂質、DNAなどが酸化されやすくなります。この“つくる側”と“守る側”のバランスが崩れた状態が酸化ストレスです。皮膚では紫外線が代表的な外的要因ですが、喫煙なども皮膚の酸化ストレスや細胞外マトリックスの変化に関係します。
参考文献
Wagener FA, Carels CE, Lundvig DM. Targeting the redox balance in inflammatory skin conditions. Int J Mol Sci. 2013;14(5):9126-9167.
コラーゲンはどうなる?
シワを理解するうえで重要なのは、「コラーゲンが減る」だけではなく、「分解が増えること」と「新しく作る力が落ちること」が同時に起こり得る点です。
紫外線でコラーゲン分解は増える?
ヒト皮膚を使った代表的な研究があります。Fisherらは21~58歳の59人を対象に、臀部の皮膚へ紫外線を照射し、照射部位と非照射部位を比較しました。紫外線照射後には、コラーゲナーゼなど複数のMMPが増え、I型コラーゲンの分解指標は非照射皮膚より58%増加しました。複数回照射ではMMP活性の上昇が持続しました。
参考文献
Fisher GJ, Wang ZQ, Datta SC, Varani J, Kang S, Voorhees JJ. Pathophysiology of premature skin aging induced by ultraviolet light. N Engl J Med. 1997;337(20):1419-1428.
この研究は「紫外線によってヒト皮膚のコラーゲン分解系が実際に動く」ことを示した研究です。ただし、この研究だけで“活性酸素だけが原因”と証明したわけではありません。紫外線には複数の作用があるため、そこは分けて理解する必要があります。
活性酸素でコラーゲン合成は落ちる?
培養したヒト真皮線維芽細胞に活性酸素を発生させた実験では、コラーゲン産生が低下しました。また、カタラーゼやα-トコフェロール(ビタミンE)を加えると、その変化が抑えられました。これは細胞実験であり、人の顔のシワ改善を直接示すものではありませんが、活性酸素がコラーゲン合成に影響し得る仕組みを支持しています。
参考文献
Tanaka H, Okada T, Konishi H, Tsuji T. The effect of reactive oxygen species on the biosynthesis of collagen and glycosaminoglycans in cultured human dermal fibroblasts. Arch Dermatol Res. 1993;285(6):352-355.
さらに皮膚老化の研究では、ROSがMMPの発現を増やす方向に働くだけでなく、TGF-βというコラーゲン合成に関わる経路を弱める可能性も整理されています。つまり、酸化ストレスが続くと「壊す側が優位になり、作る側も弱くなる」という状態が生じやすいと考えられています。
参考文献
Shin JW, Kwon SH, Choi JY, Na JI, Huh CH, Choi HR, et al. Molecular Mechanisms of Dermal Aging and Antiaging Approaches. Int J Mol Sci. 2019;20(9):2126.
エラスチンはどうなる?
エラスチンは、皮膚のしなやかさや戻る力に関わる弾性線維の主要成分です。ここは「酸化ストレスでエラスチンが減る」と単純化しないほうが正確です。光老化した皮膚では、正常な弾性線維が乱れる一方、異常な弾性物質が蓄積する「日光弾性線維症(solar elastosis)」がみられます。
16人の皮膚を調べた研究では、日光にさらされた前腕の皮膚で、弾性線維の骨組みとなるフィブリリンに富む微細線維が、日光から守られた部位より減少していました。これは、光老化で弾性線維ネットワークが再構築・損傷されることを示します。
参考文献
Watson RE, Griffiths CE, Craven NM, Shuttleworth CA, Kielty CM. Fibrillin-rich microfibrils are reduced in photoaged skin. Distribution at the dermal-epidermal junction. J Invest Dermatol. 1999;112(5):782-787.
また、ヒト皮膚へUVA1を照射した研究では、エラスチン分解活性を持つMMP-12の発現と酵素活性が増加しました。培養ヒト真皮線維芽細胞では、ROSによってエラスチンmRNAが増えた研究もあり、光老化では「作られる量」と「分解・組み立ての異常」が同時に起こり、結果として機能しにくい弾性線維が蓄積する可能性があります。
参考文献
Tewari A, Grys K, Kollet J, Sarkany R, Young AR. Upregulation of MMP12 and its activity by UVA1 in human skin: potential implications for photoaging. J Invest Dermatol. 2014;134(10):2598-2609.
Kawaguchi Y, Tanaka H, Okada T, Konishi H, Takahashi M, Ito M, et al. Effect of reactive oxygen species on the elastin mRNA expression in cultured human dermal fibroblasts. Free Radic Biol Med. 1997;23(1):162-165.
活性酸素はすべて悪いもの?
いいえ。ここは美容情報で誤解されやすいポイントです。活性酸素は、病原体への防御や細胞の情報伝達にも使われています。問題なのは、活性酸素を“ゼロにすること”ではなく、必要以上に増えて防御機構を上回る状態が続くことです。
そのため、「抗酸化成分を多くとればとるほど若返る」とは言えません。体内の酸化還元バランスは複雑で、単一の成分だけで一律にコントロールできるものではないからです。
参考文献
Ron-Doitch S, Kohen R. The Cutaneous Physiological Redox: Essential to Maintain but Difficult to Define. Antioxidants (Basel). 2020;9(10):942.
「抗酸化すればシワが消える」は本当?
「酸化ストレスがシワに関係する」ことと、「抗酸化サプリを飲めばシワが消える」ことは同じではありません。ここを混同すると、研究結果を過大に受け取ってしまいます。
903人の55歳未満の成人を対象とした4.5年間の無作為化比較試験では、毎日日焼け止めを使った群は、必要なときだけ使った群より皮膚老化の進行が24%少なかった一方、β-カロテン30mg/日のサプリメントには皮膚老化全体への有意な効果が確認されませんでした。
参考文献
Hughes MC, Williams GM, Baker P, Green AC. Sunscreen and prevention of skin aging: a randomized trial. Ann Intern Med. 2013;158(11):781-790.
一方、2025年に公表された無作為化比較試験40件の系統的レビューでは、コラーゲン、フラバノール、その他のポリフェノールなど一部の経口成分で、弾力や光老化関連指標への改善が報告されました。ただし、成分・期間・評価法が異なるため、「抗酸化サプリなら何でも有効」とまとめることはできません。
参考文献
Yang Q, Li H, Zhang H, Ma L, Zhang X, Wu J. Effectiveness of dietary supplements for skin photoaging in healthy adults: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Front Med (Lausanne). 2025;12:1582946.
40代から何を優先する?
酸化ストレスを意識するなら、“抗酸化成分を足すこと”だけに目を向けるより、まず酸化ストレスを増やす要因を減らし、臨床研究のあるケアを組み合わせるほうが現実的です。
紫外線対策は?
最優先にしたいのは、毎日の紫外線対策です。前述の903人を対象とした無作為化試験では、広範囲UVを防ぐ日焼け止めを毎日使用した群で、4.5年間の皮膚老化の進行が抑えられました。紫外線を浴びてから抗酸化成分で“帳消し”にする発想より、そもそものUV負荷を減らすほうが根拠は明確です。
参考文献
Hughes MC, Williams GM, Baker P, Green AC. Sunscreen and prevention of skin aging: a randomized trial. Ann Intern Med. 2013;158(11):781-790.
レチノイドは?
光老化による細かいシワには、外用レチノイドの臨床試験があります。251人の軽度~中等度の光老化を対象にした二重盲検比較試験では、0.05%トレチノインを24週間使用した群で79%に全体的な改善がみられ、基剤群は48%でした。細かいシワ、色むら、ざらつき、たるみも対照群より改善しました。
参考文献
Weinstein GD, Nigra TP, Pochi PE, Savin RC, Allan A, Benik K, et al. Topical tretinoin for treatment of photodamaged skin. A multicenter study. Arch Dermatol. 1991;127(5):659-665.
ただし、トレチノインなどの医療用レチノイドは、赤み、皮むけ、刺激感などが出ることがあります。使用を検討する場合は、自己判断で高濃度を使うのではなく、皮膚科などで相談してください。
ビタミンCは?
外用ビタミンCにも臨床研究があります。光老化のある健康な女性を対象とした二重盲検試験では、5%ビタミンCクリームを6か月使用した部位で、対照の基剤と比べ、臨床評価や皮膚表面の深い溝に改善がみられました。研究規模は大きくないため、日焼け止めの代わりではなく、補助的な選択肢と考えるのが適切です。
参考文献
Humbert PG, Haftek M, Creidi P, Lapière C, Nusgens B, Richard A, et al. Topical ascorbic acid on photoaged skin. Clinical, topographical and ultrastructural evaluation: double-blind study vs. placebo. Exp Dermatol. 2003;12(3):237-244.
喫煙は?
喫煙している場合は、肌のためにも見直す価値があります。喫煙者47人と非喫煙者51人の皮膚を比較した研究では、喫煙者でI型・III型コラーゲンの合成指標がそれぞれ18%、22%低く、MMP-8は100%高い結果でした。観察研究なので因果関係を完全に証明するものではありませんが、喫煙と皮膚マトリックス代謝の不利な変化との関連を示しています。
参考文献
Knuutinen A, Kokkonen N, Risteli J, Vähäkangas K, Kallioinen M, Salo T, et al. Smoking affects collagen synthesis and extracellular matrix turnover in human skin. Br J Dermatol. 2002;146(4):588-594.
ツバメの巣と酸化ストレスの関係は?
ツバメの巣(Edible Bird’s Nest)についても、酸化ストレスや光老化との関係を調べた研究があります。ただし、現時点で確認できる主な研究は細胞や動物を用いた前臨床研究です。「人が食べればシワが改善する」と結論づける段階ではありません。
ツバメの巣研究から何がわかっている?
2021年の研究では、UVBを週3回、8週間照射した雄のヘアレスマウスを用い、標準化ツバメの巣抽出物(BNE-PK)を10、20、40mg/kg体重で摂取させました。BNE-PK群では、UVBのみの群と比べ、皮膚の形態変化やシワ形成が抑えられ、SOD、カタラーゼ、GPxなどの抗酸化酵素活性が高まりました。また、MMPに関わる経路の抑制と、I型プロコラーゲンに関わる経路の活性化が報告されています。
参考文献
Kim OK, Kim D, Lee M, Park SH, Yamada W, Eun S, et al. Standardized Edible Bird’s Nest Extract Prevents UVB Irradiation-Mediated Oxidative Stress and Photoaging in the Skin. Antioxidants (Basel). 2021;10(9):1452.
2023年の研究では、酵素分解したツバメの巣をヒト由来HaCaT角化細胞と3次元表皮モデルに用い、乾燥環境とUVAを組み合わせた刺激を与えました。ツバメの巣処理群では、細胞内ROS、細胞死、DNA二本鎖切断の指標が抑えられました。こちらも人が摂取した臨床試験ではなく、企業所属の著者を含む研究です。
参考文献
Wang D, Shimamura N, Mochizuki M, Nakahara T, Sunada K, Xiao L. Enzyme-Digested Edible Bird’s Nest (EBND) Prevents UV and Arid Environment-Induced Cellular Oxidative Stress, Cell Death and DNA Damage in Human Skin Keratinocytes and Three-Dimensional Epithelium Equivalents. Antioxidants (Basel). 2023;12(3):609.
これらの研究から、「特定のツバメの巣抽出物が、実験条件下で酸化ストレスや光老化に関わる指標へ作用する可能性」は示されています。一方で、研究に使われた抽出物と市販製品は同一ではなく、配合量や加工法も異なります。そのため、研究結果をそのまま特定商品の効果として置き換えることはできません。
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※食品は医薬品ではなく、シワの治療や改善を保証するものではありません。紫外線対策や適切なスキンケアを基本に、食生活全体の中で取り入れてください。
まとめるとどう考える?
酸化ストレスが過剰になると、コラーゲンを分解するMMPが増えたり、コラーゲン合成が低下したりし、シワ形成に関わる皮膚構造の変化が進みやすくなります。エラスチンについては単純な減少ではなく、分解や異常な蓄積、弾性線維の骨組みの乱れが光老化に関係します。
ただし、活性酸素は体に必要な働きも持っています。大切なのは“ゼロにする”ことではなく、紫外線や喫煙など過剰な酸化ストレスにつながる要因を減らすことです。40代からのシワ対策では、毎日の紫外線対策を土台にし、必要に応じて臨床研究のある外用成分や医療的ケアを検討するのが合理的です。
よくあるご質問(FAQ)
Q1.活性酸素はすべて肌に悪いのですか?
A.いいえ。活性酸素は免疫や細胞の情報伝達にも必要です。問題は産生が過剰になり、防御機構とのバランスが崩れる「酸化ストレス」です。
参考文献
Sies H, Jones DP. Reactive oxygen species (ROS) as pleiotropic physiological signalling agents. Nat Rev Mol Cell Biol. 2020;21(7):363-383.
2026/09/18 出口詩朋子
Q2.酸化ストレスだけがシワの原因ですか?
A.いいえ。酸化ストレスは一因ですが、加齢、紫外線、喫煙、乾燥、表情の動きなど複数の要因が関係します。特に紫外線によるコラーゲン分解はヒト皮膚で確認されています。
参考文献
Fisher GJ, Wang ZQ, Datta SC, Varani J, Kang S, Voorhees JJ. Pathophysiology of premature skin aging induced by ultraviolet light. N Engl J Med. 1997;337(20):1419-1428.
2026/09/18 出口詩朋子
Q3.抗酸化サプリを飲めばシワを予防できますか?
A.一概には言えません。成分ごとに結果が異なり、β-カロテンでは皮膚老化全体への効果が確認されなかった長期試験もあります。日焼け止めの代わりにはなりません。
参考文献
Hughes MC, Williams GM, Baker P, Green AC. Sunscreen and prevention of skin aging: a randomized trial. Ann Intern Med. 2013;158(11):781-790.
2026/09/18 出口詩朋子
Q4.日焼け止めは酸化ストレスによる肌老化対策になりますか?
A.はい。紫外線は皮膚の酸化ストレスを増やす主要因です。903人の無作為化試験では、毎日日焼け止めを使った群で4.5年間の皮膚老化の進行が少なくなりました。
参考文献
Hughes MC, Williams GM, Baker P, Green AC. Sunscreen and prevention of skin aging: a randomized trial. Ann Intern Med. 2013;158(11):781-790.
2026/09/18 出口詩朋子
Q5.ツバメの巣は酸化ストレスによるシワを改善しますか?
A.現時点では、人でのシワ改善は確立していません。細胞・動物研究では酸化ストレスやMMP関連指標への作用が報告されていますが、ヒト臨床試験による確認が必要です。
参考文献
Kim OK, Kim D, Lee M, Park SH, Yamada W, Eun S, et al. Standardized Edible Bird’s Nest Extract Prevents UVB Irradiation-Mediated Oxidative Stress and Photoaging in the Skin. Antioxidants (Basel). 2021;10(9):1452.
2026/09/18 出口詩朋子
著者情報
出口 詩朋子(でぐち しほこ)
乾燥肌・シワ研究チーム 研究員
ツバメの巣研究所 研究員
ATHENA株式会社(HESTIAP 美容リサーチャー)
編集方針:研究結果は、ヒト臨床試験・ヒト皮膚研究・動物研究・細胞研究を区別して記載しています。研究で使用された特定の原料・製剤の結果を、別の製品へそのまま当てはめないよう配慮しています。



