アスタキサンチンはシワに効果がある?抗酸化作用と美容研究をわかりやすく解説

アスタキサンチンには抗酸化作用があり、肌の水分量や弾力を保つ可能性があります。ただし、現時点ではシワの深さを減らす効果は十分に証明されていません。

「アスタキサンチンは美容によいらしい」「抗酸化成分だからシワにもよさそう」。そんな言葉を目にしても、実際にどこまで研究で確かめられているのかは分かりにくいものです。特に50代になると、乾燥、紫外線、表情の積み重ねなどが重なり、ひとつの成分だけでシワを説明することはできません。

そこでこの記事では、アスタキサンチンが何なのか、肌でどのように働くと考えられているのか、人を対象にした研究では何が分かっているのかを分けて整理します。「期待できること」と「まだ分からないこと」の両方を知ったうえで、無理なく取り入れる方法を考えていきましょう。

アスタキサンチンとは?

アスタキサンチンは、カロテノイドという天然色素の一種です。サケやマス、エビ、カニなどの赤~オレンジ色に関わる成分で、人の体内ではつくれないため、食品やサプリメントなどから摂取します。サプリメントでは、微細藻類のヘマトコッカス(Haematococcus pluvialis)由来のものがよく利用されています。 [PMCレビュー]

カロテノイドの中でもアスタキサンチンは、活性酸素による酸化反応を抑える「抗酸化作用」をもつことが、細胞・動物・人を対象とした研究で検討されています。ただし、「抗酸化作用がある」という性質と、「人のシワが減る」という臨床効果は同じ意味ではありません。美容効果を判断するときは、人を対象にした比較試験の結果を見ることが大切です。 [皮膚に関する総説]

シワにはどう働く?

紫外線を浴びた皮膚では活性酸素や炎症反応が増え、コラーゲンを分解する酵素などが関わって、光老化が進むことがあります。アスタキサンチンは、こうした酸化ストレスや炎症に関わる反応を抑える可能性が、主に細胞や基礎研究で示されています。 [研究レビュー]

例えば、紫外線B波を当てた皮膚細胞を用いた研究では、アスタキサンチン処理によって炎症性サイトカインやMMP-1というコラーゲン分解に関わる酵素の分泌が抑えられました。これは「シワができる過程に関係する反応へ作用する可能性」を示す結果ですが、細胞実験だけで人のシワ改善を証明したことにはなりません。 [臨床試験を含む論文]

人の研究ではシワはどうなった?

現在の研究をまとめるうえで重要なのが、2021年に発表された系統的レビューとメタ解析です。ヒトを対象とした研究11件が検討され、その内訳は経口摂取の無作為化比較試験が9件、塗布または経口+塗布の前向き研究が2件でした。 [PubMed]

  • 経口摂取では、肌の水分量はプラセボより有意に改善しました。
  • 肌の弾力も、プラセボより有意に改善しました。
  • 一方、シワの深さについては、プラセボとの差は統計学的に有意ではありませんでした。

つまり、アスタキサンチンは「肌状態を支える可能性」はありますが、「飲めばシワが明確に浅くなる」と断定できる段階ではありません。レビュー自身も、研究数や参加人数が少ないこと、研究方法のばらつき、企業との利益相反がある研究が含まれることなどを限界として挙げています。 [PMC全文]

50代を含む女性の研究ではどうだった?

日本で行われた16週間の試験では、35~60歳の健康な女性65人がアスタキサンチン6mg、12mg、またはプラセボを摂取しました。研究期間は8月から12月で、乾燥や季節変化によって肌状態が悪化しやすい時期でした。プラセボ群ではシワ指標や肌水分量が悪化した一方、アスタキサンチン群では同様の有意な悪化がみられませんでした。 [PMC]

この結果は「シワを治した」というより、「環境による肌状態の悪化を抑えた可能性」を示しています。50代を含む女性を対象にした研究ではありますが、参加者数は多くなく、すべての人に同じ結果が出るとは限りません。

塗る?食べる?どちらがよい?

現時点では、人を対象にした比較試験の数は経口摂取のほうが多く、根拠は相対的に整っています。一方、アスタキサンチン配合化粧品の研究もありますが、無対照の試験や、経口摂取と塗布を同時に行った研究が含まれ、塗るだけの効果を切り分けにくいのが現状です。 [系統的レビュー]

食べ物から取り入れるなら?

普段の食事では、サケ、マス、エビ、カニなどがアスタキサンチンの供給源になります。まずはバランスのよい食事の中で魚介類を取り入れる方法が始めやすいでしょう。食品中の含有量は種類や養殖条件などで変わるため、「サケを何g食べれば美容試験と同じ量になる」と厳密に考える必要はありません。 [食品源に関するレビュー]

サプリメントから取り入れるなら?

皮膚を対象にしたヒト試験では、1日4~12mg程度が使われた試験があります。ただし、これは「シワ改善に必要な推奨量」が決まっているという意味ではありません。研究ごとに製品、期間、対象者が異なるため、まずは製品表示を守ることが基本です。 [臨床研究レビュー]

安全性について、欧州食品安全機関(EFSA)は、成人では食事からの摂取を含めてもサプリメント由来のアスタキサンチン8mg/日を安全と評価しています。これは安全性の評価であり、美容効果を得るための推奨量ではありません。 [EFSA]

化粧品から取り入れるなら?

アスタキサンチン配合の美容液やクリームは、スキンケアの選択肢のひとつです。ただし、配合濃度や処方によって使い心地や安定性は異なります。初めて使う製品は少量から試し、赤み・かゆみ・刺激が出た場合は使用を中止してください。

そして、シワ対策で優先したいのはアスタキサンチンだけではありません。紫外線による光老化を減らすための日焼け止め、乾燥を防ぐ保湿、肌をこすりすぎないケアなどを土台にし、その上で補助的に考えるのが現実的です。

取り入れるときの注意点は?

  • 「抗酸化作用が強い」という説明だけで、シワ改善効果まで保証されるわけではありません。ヒト試験では水分量・弾力に有望な結果がある一方、シワの深さはメタ解析で有意差が出ていません。 [メタ解析]
  • 研究は健康な成人を対象にしたものが中心で、長期間の摂取や持病のある人、服薬中の人での美容目的のデータは十分ではありません。治療中の方は、サプリメントを追加する前に医師・薬剤師へ相談してください。
  • サプリメントは「多いほどよい」とは限りません。美容効果のための標準量は確立していないため、表示量を超えて摂取しないようにしましょう。
  • 臨床研究の多くは規模が小さく、商業的な資金提供を受けた研究もあります。結果は期待材料のひとつとして読み、単一成分に頼りすぎないことが大切です。 [臨床研究レビュー]

ツバメの巣も内側からの美容ケアに役立つ?

アスタキサンチンとは別の素材ですが、ツバメの巣(Edible Bird’s Nest)についても、皮膚の状態を対象にした研究があります。2022年に発表された無作為化二重盲検プラセボ対照試験では、40〜60歳の女性86人が、ツバメの巣抽出物100mgまたはプラセボを1日1回、12週間摂取しました。 [PMC]

その結果、12週後の複数のシワ指標はツバメの巣抽出物群でプラセボ群より有意に低下しました。一方で、肌の弾力や水分量には群間で明確な有意差が確認されませんでした。また、この試験では有害反応は報告されていません。

ただし、これは特定の抽出物を用いた単一施設の試験です。2024年の皮膚科学レビューも、細胞・動物・初期のヒト試験は有望としつつ、効果と安全性を確立するにはさらに人での臨床研究が必要とまとめています。したがって、「ツバメの巣なら必ずシワが改善する」と一般化するのは適切ではありません。 [PubMedレビュー]

アスタキサンチンとツバメの巣はどう考える?

どちらも美容分野で研究されていますが、働き方や研究の蓄積は同じではありません。アスタキサンチンは抗酸化・抗炎症に関する研究が多く、経口摂取では水分量や弾力の改善が比較的よく検討されています。ツバメの巣は、特定の抽出物でシワ指標を検討した人試験があるものの、臨床研究の数はまだ限られています。

50代のシワ対策では、どちらかひとつの素材に頼るのではなく、紫外線対策、保湿、睡眠や食事などの基本を整えたうえで、自分が続けやすい内側からのケアを補助的に取り入れる考え方がよいでしょう。

ツバメの巣ゼリーを取り入れるなら?

ツバメの巣を毎日の美容習慣として取り入れてみたい方は、ゼリータイプの「HESTIAP(エスティアップ)」という選択肢もあります。商品内容や原材料、続け方を確認したうえで、ご自身に合うかどうかをご検討ください。 HESTIAP公式サイト(※広告です)

よくあるご質問(FAQ)

Q1.アスタキサンチンを飲めばシワは消えますか?

A.いいえ、シワが消えるとまでは確認されていません。メタ解析では肌の水分量と弾力は改善しましたが、シワの深さはプラセボとの差が有意ではありませんでした。
参考文献
Zhou X, Cao Q, Orfila C, Zhao J, Zhang L. Systematic Review and Meta-Analysis on the Effects of Astaxanthin on Human Skin Ageing. Nutrients. 2021;13(9):2917.
2026/09/17 出口詩朋子

Q2.アスタキサンチンは1日何mg摂ればよいですか?

A.美容目的の標準量は確立していません。皮膚研究では4~12mg/日などが使われています。EFSAは成人のサプリ8mg/日を安全と評価していますが、これは効果量の推奨ではありません。
参考文献
EFSA Panel on Nutrition, Novel Foods and Food Allergens (NDA). Safety of astaxanthin for its use as a novel food in food supplements. EFSA J. 2020;18(2):e05993.
2026/09/17 出口詩朋子

Q3.アスタキサンチンは食べ物から摂れますか?

A.はい、摂れます。サケ、マス、エビ、カニなどに含まれます。ただし含有量は食品や生育条件で変わるため、食事から研究と同じ摂取量を正確に再現するのは難しいです。
参考文献
Ambati RR, Phang SM, Ravi S, Aswathanarayana RG. Astaxanthin: sources, extraction, stability, biological activities and its commercial applications—a review. Mar Drugs. 2014;12(1):128-152.
2026/09/17 出口詩朋子

Q4.アスタキサンチンは化粧品とサプリメントのどちらがよいですか?

A.現時点では経口摂取の比較試験がより多くあります。塗布研究もありますが、無対照試験などが含まれます。どちらも紫外線対策や保湿の代わりではなく、補助的に考えましょう。
参考文献
Zhou X, Cao Q, Orfila C, Zhao J, Zhang L. Systematic Review and Meta-Analysis on the Effects of Astaxanthin on Human Skin Ageing. Nutrients. 2021;13(9):2917.
2026/09/17 出口詩朋子

Q5.アスタキサンチンは50代から始めても遅くないですか?

A.遅すぎるとはいえません。中高年を含むヒト試験でも皮膚状態が検討されています。ただしシワ改善を保証するものではなく、日焼け止めや保湿など基本のケアと組み合わせることが大切です。
参考文献
Ng QX, De Deyn MLZQ, Loke W, Foo NX, Chan HW, Yeo WS. Effects of Astaxanthin Supplementation on Skin Health: A Systematic Review of Clinical Studies. J Diet Suppl. 2021;18(2):169-182.
2026/09/17 出口詩朋子

まとめ:アスタキサンチンはシワに効果がある?

アスタキサンチンは抗酸化作用をもつカロテノイドで、ヒト試験では肌の水分量や弾力を保つ可能性が示されています。一方、現在のメタ解析ではシワの深さを有意に減らす効果までは確認されていません。したがって、「シワを消す成分」ではなく、紫外線対策や保湿を基本に、肌状態を支える補助的な選択肢として考えるのが、現時点の科学的根拠に合った捉え方です。 [メタ解析]

著者情報

出口 詩朋子(でぐち しほこ)

乾燥肌・シワ研究チーム 研究員

ツバメの巣研究所 研究員

ATHENA株式会社(HESTIAP 美容リサーチャー)

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