乾燥肌ケア
「インナードライ肌」って本当にあるの?皮脂が多いのに乾燥する肌を科学的根拠から解説

「インナードライ肌」は医学的な診断名ではありません。ただし、皮脂が多くても角層の水分量が少ない状態は研究で確認されており、現象としては存在します。
テカるのに乾燥するのは、私の肌がおかしいから?
「朝はつっぱるのに、昼になるとTゾーンがテカる」「保湿するとベタつくのに、頬はカサつく」。40代に入ると、こうした“乾燥と皮脂が同時にある感じ”に戸惑う方は少なくありません。
そこでよく目にするのが「インナードライ肌」という言葉です。一方で、SNSでは「そんな肌質は存在しない」「化粧品会社が作った言葉」といった反対意見も見かけます。どちらが正しいのでしょうか。
結論からいうと、言葉と肌状態を分けて考えると整理しやすくなります。「インナードライ」という名称には医学的に統一された診断基準がありません。しかし、皮脂量と角層の水分量は別々に測定でき、皮脂が多いのに水分が少ない人がいることは、複数の研究で確認されています。
「インナードライ肌」とは?
一般に「インナードライ肌」は、肌表面に皮脂がありベタつきやテカリを感じる一方で、角層の水分量が少なく、つっぱり・カサつき・細かな乾燥感を伴う状態を指す美容上の呼び方です。
皮膚科学では、肌状態を「皮脂が多いか少ないか」だけで決めるのではなく、角層水分量、皮脂量、経皮水分蒸散量(TEWL)などを別々の指標として評価します。そのため、「脂っぽい=水分も十分」という関係ではありません。
参考文献:Ezerskaia et al., 2016:皮脂と水分を独立して測定する研究(PubMed)
本当に「皮脂が多いのに乾燥する」ことはある?
はい。少なくとも「皮脂量が多い」と「角層水分量が少ない」が同時に起こることは、実測研究で確認されています。
2019年の研究では、健康なタイ人女性62人を、本人が認識する脂性肌群と乾燥肌群に分け、顔の皮脂量と角層水分量を測定しました。脂性肌群は皮脂量が有意に多かった一方、角層水分量はむしろ乾燥肌群より低く、皮脂量と角層水分量には有意な負の相関もみられました。
参考文献:Kwon et al., 2019:脂性肌・乾燥肌女性の皮脂量と角層水分量の比較(PubMed)
さらに2024年の中国人女性を対象とした横断研究では、皮脂量が多い上位群かつ角層水分量が少ない下位群に当てはまる人を「oily and water-deficient(脂性・水分不足)」として分類しています。これは「インナードライ」という病名を証明する研究ではありませんが、皮脂が多いのに水分が少ない肌状態が実際に存在することを示す資料です。
参考文献:Scientific Reports, 2024:脂性肌を水分量・TEWLなどで細分類した研究
なぜ皮脂があっても肌は乾燥する?
理由は、皮脂と「角層が水分を保つ仕組み」が同じものではないからです。肌のいちばん外側にある角層では、天然保湿因子(NMF)が水を抱え込み、細胞間脂質が水分の蒸発を防ぐバリアとして働きます。
皮膚の水分保持についてまとめたレビューでは、角層の水分保持には、角質細胞内の天然保湿因子と、角質細胞の間に並ぶ脂質の両方が重要だと説明されています。バリアが乱れると、水分が逃げやすくなり、乾燥や刺激を感じやすくなります。
参考文献:Verdier-Sévrain & Bonté, 2007:皮膚の水分保持機構レビュー(PubMed)
日本皮膚科学会雑誌に掲載された研究では、20代男性17人と60代男性10人の下腿を調べたところ、角層水分量は皮脂量や脂質総量とは相関せず、セラミドの構成比との関連が示されました。対象が男性・下腿であるため顔や40代女性へそのまま当てはめることはできませんが、「皮脂量だけでは保水状態を説明できない」ことを示す重要な知見です。
参考文献:冨樫きょう子, 1993:「角層の保水機能と皮表および角質細胞間脂質の加齢による変化」
「乾燥すると皮脂が増える」は本当?
「肌が乾燥すると、それを補うために皮脂が過剰に出る」と説明されることがあります。しかし、現時点では「乾燥すれば誰でも反応として皮脂分泌が増える」と単純に断定できるほど強い根拠はありません。
皮脂分泌は、顔の部位、季節、年齢、ホルモンなど多くの影響を受けます。2005年の研究では、同じ人でも額・鼻・あごは頬より皮脂が多く、夏に皮脂分泌が高くなるなど、部位差と季節差が確認されました。
参考文献:Youn et al., 2005:顔の部位・季節による皮脂分泌の変化(PubMed)
「乾燥しているのにテカる」という体験があるため、そこから“乾燥への反応で皮脂が増えた”と説明されやすくなったと考えられます。ただし、実際には「皮脂が多いこと」と「角層水分量が少ないこと」が同時に起きているだけのケースもあり、原因と結果を入れ替えないことが大切です。
40代の肌ではどう考える?
40代では「若い頃より乾燥するのに、鼻や額だけはテカる」という変化が起こりやすくなります。ただし、顔全体が一律に同じ状態になるわけではありません。皮脂量、水分量、バリア機能は部位ごとに違うためです。
18〜80歳の健康な女性150人を調べた研究では、加齢とともに皮脂量が有意に低下しました。一方、角層水分量やTEWLの加齢変化は比較的小さく、複数の指標が同じ方向に動くわけではありませんでした。40代以降は「脂性肌か乾燥肌か」の二択ではなく、部位ごとの状態を見る方が実用的です。
参考文献:Luebberding et al., 2013:女性150人の年齢別バリア機能・皮脂量の評価(PubMed)
どんなスキンケアをするとよい?
基本は、「皮脂を全部落とす」よりも、角層の水分保持とバリア機能を守ることです。テカリが気になるからと洗浄を強くしすぎると、つっぱりや刺激感が出て、かえって肌に合わなくなることがあります。
- 洗顔は、必要以上に脱脂しない低刺激のものを選び、強くこすらない。
- 洗顔後は、ベタつきが気になる人でも保湿を省かず、続けやすい使用感の保湿剤を使う。
- 乾燥が強い頬と、皮脂が多いTゾーンで、塗る量やテクスチャーを変える。
- 赤み・強いかゆみ・湿疹・皮むけが続く場合は、自己流で「インナードライ」と決めつけず皮膚科を受診する。
保湿の有効性については、乾皮症患者80人を対象にした無作為化二重盲検試験で、4週間、1日2回の保湿剤使用により、いずれの保湿剤でも乾燥症状と皮膚の生理指標が有意に改善しました。研究者は、特定の処方の差より「継続的に保湿すること」の重要性を示しています。
参考文献:Shim et al., 2016:乾皮症に対する保湿剤の無作為化二重盲検試験(PubMed)
また、平均54.8歳の軽度〜中等度乾皮症24人を対象とした左右比較試験では、セラミド配合保湿剤を28日間使用した側で、角層水分量とTEWLなどが対照側より改善しました。顔の「インナードライ」を直接検証した研究ではありませんが、バリア機能を意識した保湿の根拠として参考になります。
参考文献:Draelos et al., 2019:セラミド配合保湿剤と乾皮症の比較試験(PubMed)
ツバメの巣は乾燥肌とどう関わる?
外側からの保湿が基本ですが、「内側からの美容習慣」に関心がある方には、食用ツバメの巣(Edible Bird’s Nest:EBN)についての研究も出てきています。ただし、研究ごとに製品・量・対象者が異なるため、結果をそのまますべてのツバメの巣食品に当てはめることはできません。
2026年の無作為化並行群比較試験では、25〜50歳の健康な成人70人を対照群とツバメの巣群に分け、90日間摂取して皮膚状態を評価しました。ツバメの巣群では、30日・90日後の角層水分量が対照群より有意に高く、90日後には開始時から26.19%増加したと報告されています。研究では、マウスや培養細胞を用いた実験も行われ、AQP5やEGFR関連経路との関係が検討されました。
参考文献:Zhang et al., 2026:食用ツバメの巣と皮膚水分量を検討したヒト・動物研究(Journal of Functional Foods)
一方、2022年の40〜60歳女性を対象にした二重盲検プラセボ対照試験(各群43人)では、12週間のツバメの巣エキス摂取でシワ指標はプラセボ群より改善しましたが、角層水分量とTEWLについては群間の有意差が確認されませんでした。つまり、ツバメの巣の保湿作用については肯定的な新しいデータがあるものの、結果はまだ一貫していません。
参考文献:Kim et al., 2022:ツバメの巣エキスの二重盲検プラセボ対照試験(Frontiers in Pharmacology)
また2021年の基礎研究では、ヒト角化細胞とマウス皮膚を用い、ツバメの巣抽出物・酵素分解物が、角層の水分保持に関わるフィラグリン/フィラグリン2の発現を増加させたと報告されています。ただし、これは細胞・組織レベルの研究であり、食べた人の乾燥肌改善を直接証明するものではありません。
参考文献:Lai et al., 2021:ツバメの巣とフィラグリン発現の基礎研究(PubMed)
ツバメの巣ゼリーを選択肢にするなら?
乾燥対策の第一選択は、洗いすぎを避け、肌に合う保湿を続けることです。そのうえで、食生活や睡眠などを整えながら、内側からの美容習慣にも関心がある方は、ツバメの巣食品を一つの選択肢として検討してもよいでしょう。
HESTIAPのツバメの巣ゼリーは、ツバメの巣エキスを毎日の習慣に取り入れやすいスティックタイプにした食品です。なお、上記の学術研究で使用されたツバメの巣製品とHESTIAPは同一製品ではないため、研究結果と同じ効果を保証するものではありません。
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結局、「インナードライ肌」は本当にある?
「インナードライ肌」という言葉そのものは、医学的に標準化された診断名ではありません。しかし、皮脂が多いのに角層水分量が少ない状態は研究で確認されており、現象まで「存在しない」とするのは正確ではありません。
大切なのは名前に振り回されることではなく、「皮脂が多いか」「角層の水分が足りているか」「バリア機能が保たれているか」を分けて考えることです。40代の肌は部位ごとの差も大きくなりやすいため、テカリだけを見て保湿をやめず、肌のつっぱりやカサつきも含めてケアを調整していきましょう。
よくあるご質問(FAQ)
Q1.「インナードライ肌」は病気ですか?
A.いいえ、医学的に標準化された診断名ではありません。ただし、皮脂が多いのに角層水分量が少ない状態は実測研究で確認されています。症状が強い場合は別の皮膚疾患との鑑別が必要です。
参考:Scientific Reports 2024
2026/09/14 出口詩朋子
Q2.肌がテカるなら、保湿しないほうがよいですか?
A.いいえ。テカリだけを理由に保湿をやめる必要はありません。皮脂量と角層水分量は別の指標です。ベタつきにくい保湿剤を選び、乾燥する部位は量を増やすなど調整してください。
参考:PubMed:皮脂と水分量の比較研究
2026/09/14 出口詩朋子
Q3.乾燥すると、肌を守るために皮脂が増えるのですか?
A.必ず増えるとは言えません。皮脂分泌は部位・季節・年齢・ホルモンなどの影響を受けます。「乾燥したから皮脂が増えた」と一方向の原因として断定するのは避けたほうが正確です。
参考:PubMed:顔の皮脂の部位差・季節差
2026/09/14 出口詩朋子
Q4.「インナードライ肌」は自分で見分けられますか?
A.目安にはできますが、見た目だけで確定はできません。研究では皮脂量、角層水分量、TEWLなどを機器で測定します。赤み・かゆみ・湿疹が続く場合は皮膚科で確認してください。
参考:PubMed:TEWLの系統的レビュー
2026/09/14 出口詩朋子
著者情報
出口 詩朋子(でぐち しほこ)
乾燥肌・シワ研究チーム 研究員
ツバメの巣研究所 研究員
ATHENA株式会社(HESTIAP 美容リサーチャー)



