シワケア
セラミドとは?シワ・乾燥肌にどう役立つのかをわかりやすく解説

セラミドは、肌の水分を逃がさないために欠かせない脂質です。50代以降は角層の脂質環境が変化しやすく、乾燥による細かなシワが目立つ一因になります。
セラミドはシワにどう関係する?
「セラミドは肌にいいらしい」「保湿化粧品でよく見る名前だけれど、結局何をしてくれるの?」。そんなふうに感じている方は少なくありません。特に50代になると、若いころと同じ化粧品を使っていても、目元や口元が乾きやすくなったり、細かな線が戻りにくくなったりすることがあります。
セラミドは、肌表面のうるおいを守るために重要な成分です。ただし、セラミドを使えばすべてのシワが改善するわけではありません。乾燥によって目立つ浅い小ジワには関係しやすい一方、紫外線や加齢によって真皮のコラーゲンなどが変化してできた深いシワは、保湿だけでは十分に対応できません。
この記事では、セラミドの正体、肌での働き、塗る場合と食べる場合の違い、選び方、注意点まで、研究で分かっている範囲に絞って整理します。
セラミドとはどんな成分?
セラミドは「脂質」の一種で、肌の一番外側にある角層に多く存在します。角層では、角層細胞のすき間をセラミド、コレステロール、脂肪酸などの脂質が埋めています。
よく「角層細胞がレンガ、セラミドなどの細胞間脂質がレンガのすき間を埋めるセメント」とたとえられます。このすき間がきれいに整っていると、肌内部の水分が逃げにくくなり、外からの刺激も入りにくくなります。
人の角層を調べた研究では、角層の透過バリアをつくるうえで、セラミド、コレステロール、脂肪酸が重要な役割を持つことが示されています。セラミドは単なる「美容成分」ではなく、もともと私たちの皮膚に存在するバリア成分です。
50代になるとセラミドは減る?
年齢とともに肌が乾きやすくなる背景の一つとして、角層脂質の変化があります。
女性の顔・手・脚から角層を採取し、年齢別に脂質量を調べた研究では、年齢が高くなるほど主要な角層脂質が減少し、とくにセラミドの減少が目立ちました。また、冬には春や夏より角層脂質が大きく減っていました。著者らは、こうした脂質量の低下が、年齢を重ねた肌でバリア機能が乱れやすく、乾燥しやすくなる一因と考察しています。
ただし、すべてのセラミドが一律に同じように減るわけではありません。近年の研究では、年齢によってセラミドの種類や脂肪酸の長さなど「組成」も変化することが示されています。大切なのは、「50代になるとセラミドがゼロになる」のではなく、角層の脂質環境全体が変化する、と考えることです。
参考文献:Stratum corneum lipids: the effect of ageing and the seasons
セラミドが不足すると肌はどうなる?
角層の脂質バランスが乱れると、水分が外へ逃げやすくなり、肌がつっぱる、粉をふく、カサつくといった乾燥症状が出やすくなります。
乾燥した肌では、肌表面の細かな凹凸が目立ちやすくなります。そのため、目元や口元などでは「細かいシワが増えた」と感じることがあります。ここでセラミドが関係するのは、主にこのような乾燥に伴う細かな線です。
一方、深いシワには、紫外線による光老化、コラーゲンや弾性線維の変化、長年の表情の動きなどが関係します。「セラミド不足=すべてのシワの原因」と考えるのは正確ではありません。
セラミドは飲んでも肌のうるおいに役立つ?
セラミドは化粧品だけでなく、食品として摂取する研究も行われています。
乾燥肌が気になる20〜60歳の男女を対象にした無作為化・二重盲検・プラセボ対照試験では、酢酸菌由来のジヒドロセラミド0.8mgを含む食品またはプラセボを12週間摂取しました。その結果、セラミドを摂取した群では角層の水分量が改善したと報告されています。
ただし、この研究の主要な焦点は肌の水分量であり、「飲むセラミドがシワを改善する」と直接結論づけた研究ではありません。食品に含まれるセラミドの種類や量も製品によって異なるため、研究結果をすべてのセラミド食品にそのまま当てはめることはできません。
塗るセラミドはどこで働く?
化粧品に配合されたセラミドは、主に肌の一番外側にある角層で働きます。角層の水分保持を助け、経皮水分蒸散量(TEWL:肌から逃げる水分量)を抑える方向に働くことが期待されます。
軽度から中等度の乾燥肌がある24人を対象とした二重盲検・無作為化比較試験では、平均年齢約55歳、参加者の約92%が女性でした。左右のすねに、セラミド1・3・6-IIを含む保湿剤と一般的な親水性クリームを塗り分け、28日間比較しました。
その結果、セラミド配合側では角層水分量、TEWL、皮膚pHなどが改善し、28日後にはシワや肌の質感を示す指標にも統計学的な改善が確認されました。さらに使用をやめた7日後にも、一部の指標でセラミド配合側が優れていました。
ただし、この研究は顔の深いシワを治療した試験ではなく、「すねの乾燥肌」を調べた小規模研究です。したがって、「セラミド入りクリームを塗れば顔のシワが消える」とまでは言えません。乾燥した角層を整えることで、乾燥に伴う見た目を改善できる可能性を示した研究と捉えるのが適切です。
食べるセラミドは肌に届く?
セラミドは、化粧品だけでなく食品やサプリメントとして摂る方法も研究されています。ただし、「食べたセラミドがそのまま肌のセラミドになる」と単純に考えるのは適切ではありません。消化・吸収されたあと、体内で代謝されながら作用すると考えられています。
乾燥肌が気になる20〜60歳の男女を対象とした無作為化・二重盲検・プラセボ対照試験では、酢酸菌由来のジヒドロセラミド0.8mgを含む食品またはプラセボを12週間摂取しました。その結果、セラミドを摂取した群では角層の水分量が有意に改善し、12週間の継続摂取で有害な影響は確認されませんでした。
一方、この研究の中心は「肌の水分量」です。深いシワを改善すると確認した試験ではありません。また、セラミドにはさまざまな由来や種類があるため、この結果をすべてのセラミド食品やサプリメントにそのまま当てはめることはできません。
塗るセラミドと食べるセラミドはどちらがいい?
どちらか一方が絶対に優れている、とは言えません。目的が違うからです。
今ある乾燥をできるだけ早く整えたい場合は、肌表面に直接使える保湿剤が取り入れやすい方法です。洗顔後や入浴後にセラミド配合の乳液やクリームを使えば、角層のうるおいを守るケアをすぐ始められます。
一方、食品やサプリメントは毎日の食習慣の一部として続ける方法です。経口セラミドには肌水分量を調べた人試験がありますが、即効性を期待するものではありません。
50代で乾燥とシワが気になる場合は、「外側からの保湿を基本にし、内側からのケアは補助として考える」という順番が分かりやすいでしょう。
セラミドはどんな化粧品を選ぶ?
化粧品を選ぶときは、「セラミド配合」という言葉だけで決める必要はありません。セラミドには複数の種類があり、製品ではヒト型セラミド、植物由来成分、セラミド類似成分など、さまざまな表現が使われています。
大切なのは、①毎日使って刺激を感じにくいこと、②乾燥する部分に十分な量を使えること、③継続できる価格であることです。乾燥が強い場合は、化粧水だけで終わらず、乳液やクリームなど油分を含む保湿剤を重ねる方法が向いています。
「高濃度」「高級だから」という理由だけで効果が決まるわけではありません。保湿剤を80人の乾燥肌患者で比較した無作為化二重盲検試験では、複数の保湿剤はいずれも乾燥症状を改善し、特定の処方だけが明確に優れる結果ではありませんでした。著者らは、乾燥肌では製品の細かな違い以上に、継続して保湿剤を使うことが重要と結論づけています。
セラミドは食べ物から摂れる?
セラミドやその関連成分は、米、とうもろこし、小麦、大豆、こんにゃく、パイナップルなど、さまざまな植物由来素材から利用されています。市販の機能性食品やサプリメントでは、米由来、こんにゃく由来、パイナップル由来などの素材が使われることがあります。
ただし、普通の食事で「セラミドを何mg摂れば肌が改善する」という基準は確立していません。セラミドだけを意識して特定の食品に偏るより、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルなどを含むバランスのよい食事を土台にする方が現実的です。
セラミドを使うときに注意することは?
セラミドは肌にもともと存在する成分ですが、「セラミド配合なら誰にでも合う」とは限りません。化粧品はセラミド以外にも香料、防腐剤、植物エキス、界面活性剤など多くの成分を含むため、製品全体として刺激やかぶれが起こる可能性があります。
新しい製品を使って赤み、かゆみ、ヒリつきが続く場合は使用を中止してください。乾燥が強く、ひび割れ、強いかゆみ、炎症、湿疹などが続く場合は、単なる乾燥肌ではなく皮膚疾患が隠れていることもあるため、皮膚科への相談をおすすめします。
経口セラミドについても、研究で安全性が確認された製品がある一方、原料や配合量は商品ごとに異なります。食物アレルギーがある方、薬を服用している方、通院中の方は、原材料を確認し、必要に応じて医師や薬剤師に相談してください。
セラミドだけでシワ対策は十分?
十分とは言えません。乾燥による細かなシワには保湿が重要ですが、50代以降のシワには紫外線による光老化の影響も大きく関わります。
55歳未満の成人903人を約4.5年間追跡した無作為化比較試験では、日焼け止めを毎日使用した群は、必要なときだけ使用した群より皮膚老化の進行が少なかったと報告されています。
そのため、セラミドで「守る」ケアに加えて、毎朝の日焼け止め、強い摩擦を避けること、十分な保湿を継続することを組み合わせるのが現実的です。
参考文献:Sunscreen and prevention of skin aging: a randomized trial
ツバメの巣はシワにどう関係する?
外側からセラミドでうるおいを守るケアに加えて、内側からの美容習慣にも関心がある方は、食用ツバメの巣の研究も参考になります。
40〜60歳の女性86人を対象とした無作為化・二重盲検・プラセボ対照試験では、43人ずつにツバメの巣エキス100mgまたはプラセボを毎日12週間摂取してもらい、目元のシワ、弾力、水分量などを測定しました。
12週間後、ツバメの巣エキス群では複数のシワ指標がプラセボ群より有意に改善しました。一方、肌の水分量はプラセボ群との間に統計学的な有意差がありませんでした。また、弾力についてもすべての指標が改善した研究ではありません。
したがって、この研究から言えるのは「特定のツバメの巣エキスを12週間摂取した条件で、シワ指標の改善が確認された」という範囲です。「ツバメの巣がセラミドを増やす」「乾燥肌が必ず改善する」とまでは言えません。
ツバメの巣ゼリーとセラミドを一緒に取り入れる?
HESTIAPのツバメの巣ゼリーには、ツバメの巣エキスに加えて、パイナップル果実抽出物由来のセラミドが配合されています。つまり、「ツバメの巣」と「セラミド」を一つの食品で取り入れられる設計です。
ただし、ここで注意したいのは、先ほど紹介した酢酸菌由来ジヒドロセラミド0.8mgの臨床試験と、HESTIAPに配合されているパイナップル由来セラミドは同じ原料ではないということです。そのため、臨床試験と同じ結果が得られると断定することはできません。
基本は、外側からの保湿と紫外線対策です。そのうえで、「毎日の食習慣からも美容を支えたい」と感じる方が、補助的な選択肢として検討するのが自然でしょう。
ツバメの巣ゼリーについて詳しく知る?
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よくあるご質問(FAQ)
Q1. セラミドを塗ればシワは消えますか?
セラミドを塗ることで、すべてのシワが「消える」とは言えません。ただし、セラミドを含む保湿剤によって乾燥状態や皮膚バリア機能が改善し、シワの指標にも改善がみられたヒト臨床試験があります。
乾燥肌の高齢者を対象とした二重盲検・左右比較の無作為化試験では、セラミド1、3、6-IIを含む保湿クリームを1日2回、28日間使用しました。
その結果、一般的な親水性クリームと比較して、角層水分量の増加や経皮水分蒸散量(TEWL)の改善に加え、28日後にはシワと肌表面のテクスチャーにも有意な改善が確認されました。
ただし、この研究で使用されたのはセラミドだけではなく、複数成分からなる完成した保湿クリームです。そのため、「セラミド単独でシワが減った」とまでは判断できません。
セラミドは本来、角層の細胞間脂質を構成し、皮膚から水分が失われるのを防ぐバリア機能に重要な脂質です。
したがって、セラミドは深いシワを消す成分というより、乾燥した角層の保湿とバリア機能を整え、その結果として乾燥による細かな線を目立ちにくくする可能性がある成分と考えるのが適切です。
参考文献
Lueangarun S, Tragulplaingam P, Sugkraroek S, Tempark T. The 24-hr, 28-day, and 7-day post-moisturizing efficacy of ceramides 1, 3, 6-II containing moisturizing cream compared with hydrophilic cream on skin dryness and barrier disruption in senile xerosis treatment. Dermatol Ther. 2019;32(6):e13090.
Coderch L, López O, de la Maza A, Parra JL. Ceramides and skin function. Am J Clin Dermatol. 2003;4(2):107-129.
2026/08/27 出口詩朋子
Q2. セラミドは何歳くらいから意識した方がよいですか?
「○歳になったらセラミドを使うべき」という明確な年齢基準はありません。
ただし、角層を構成する脂質やセラミドには、加齢による変化が報告されています。
女性の顔・手・脚の角層脂質を調べた研究では、年齢が高くなるにつれて主要な角層脂質が減少し、特にセラミドの減少が確認されました。また、冬には春や夏より角層脂質が大きく減少していました。
一方、別の研究では、加齢に伴ってセラミドの総量だけでなく、セラミドの種類ごとの構成比も変化することが示されています。
さらに、女性を年齢別に調べた研究でも、加齢に伴って角層の構造や脂質の量・配列に変化が起こることが確認されています。ただし、年齢による変化は部位によって異なり、すべての皮膚機能が単純に低下するわけではありません。
そのため、「40歳になったからセラミドが必要」と考えるより、つっぱる、粉をふく、カサつく、乾燥による細かな線が目立つ、といった変化を感じたときに、年齢にかかわらず保湿ケアを見直すほうが実用的です。
参考文献
Rogers J, Harding C, Mayo A, Banks J, Rawlings A. Stratum corneum lipids: the effect of ageing and the seasons. Arch Dermatol Res. 1996;288(12):765-770.
Denda M, Koyama J, Hori J, et al. Age- and sex-dependent change in stratum corneum sphingolipids. Arch Dermatol Res. 1993;285(7):415-417.
Boireau-Adamezyk E, Baillet-Guffroy A, Stamatas GN. Age-dependent changes in stratum corneum barrier function. Skin Res Technol. 2014;20(4):409-415.
2026/08/27 出口詩朋子
Q3. セラミドは化粧品と食品のどちらから取る方がよいですか?
一概にどちらが優れているとは言えません。塗る方法と食べる方法では、研究されている作用やエビデンスが異なります。
外用セラミドについては、角層に直接使用することで肌の水分量やバリア機能を改善する研究があります。乾燥肌の人を対象とした無作為化比較試験では、セラミド1、3、6-IIを含む保湿剤を28日間使用することで、肌の水分量の増加とTEWLの改善が確認されています。
一方、「食べるセラミド」についてもヒト臨床研究があります。ただし、食品研究ではセラミドそのものだけでなく、植物や酵母由来のグルコシルセラミド(GlcCer)やセラミドを含む抽出物が多く研究されています。
例えば、乾燥から非常に乾燥した肌の女性を対象とした二重盲検プラセボ対照試験では、セラミドを多く含む小麦抽出物350mgを3か月摂取した群で、腕と脚の肌の水分量がプラセボ群より有意に増加しました。
また、酵母由来グルコシルセラミドを4週間摂取した二重盲検クロスオーバー試験では、前腕のTEWLがプラセボより有意に低下しました。
さらに2024年には、日本人30人を対象に、ワイン粕由来のセラミド・グルコシルセラミドを12週間摂取した無作為化二重盲検プラセボ対照試験が報告されています。12週後にTEWLがプラセボより有意に低くなった一方、副次評価項目である肌の水分量やかゆみ、皮膚疾患関連QOLには有意差が認められませんでした。なお、この研究は素材を扱う企業(ファーマフーズ)の研究者による報告です。
したがって、化粧品のセラミドは角層へ直接使用して保湿とバリア機能を補うもの、食品由来のセラミドやグルコシルセラミドは経口摂取による肌の水分量やTEWLへの影響が研究されているもの、と分けて考えると分かりやすいでしょう。
乾燥肌への直接的な対策としては、まず外用の保湿ケアを基本にし、食品は補助的な選択肢として考えるのが適切です。
参考文献
Lueangarun S, Tragulplaingam P, Sugkraroek S, Tempark T. The 24-hr, 28-day, and 7-day post-moisturizing efficacy of ceramides 1, 3, 6-II containing moisturizing cream compared with hydrophilic cream on skin dryness and barrier disruption in senile xerosis treatment. Dermatol Ther. 2019;32(6):e13090.
Guillou S, Ghabri S, Jannot C, et al. The moisturizing effect of a wheat extract food supplement on women’s skin: a randomized, double-blind placebo-controlled trial. Int J Cosmet Sci. 2011;33(2):138-143.
Fukunaga S, Wada S, Sato T, et al. Effect of Torula Yeast (Candida utilis)-Derived Glucosylceramide on Skin Dryness and Other Skin Conditions in Winter. J Nutr Sci Vitaminol. 2018;64(4):265-270.
Sanjaya A, Ishida A, Li X, Kim Y, Yamada H, Kometani T, Yamashita Y, Kim YI. Efficacy and Safety of Oral Administration of Wine Lees Extract (WLE)-Derived Ceramides and Glucosylceramides in Enhancing Skin Barrier Function: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Study. Nutrients. 2024;16(13):2100.
2026/08/27 出口詩朋子
Q4. 乾燥による小ジワと深いシワはどう見分ければよいですか?
見た目だけで完全に区別するのは難しいですが、保湿によって変化するかどうかは一つの参考になります。
乾燥して角層の水分量が低下すると、肌表面が粗くなり、細かな線が目立ちやすくなります。
実際、健康な女性を対象とした無作為化試験では、保湿クリームを1日2回、4週間使用することで、角層水分量やバリア機能だけでなく、シワの評価にも改善が認められました。
また、セラミド配合保湿剤の研究でも、乾燥肌への28日間の使用によって肌の水分量・TEWLとともにシワの指標が改善しています。
そのため、乾燥によって目立つ細かな線は、十分に保湿すると目立ちにくくなる場合があります。
一方、深く刻まれたシワには角層の乾燥だけでなく、加齢や長年の紫外線曝露による真皮のコラーゲン・エラスチンなどの構造変化が関係します。光老化した皮膚では、真皮のコラーゲン減少や弾性線維の異常などが確認されています。
したがって、保湿後に目立ちにくくなる細かな線は乾燥の影響が大きい可能性、保湿しても深く残るシワは真皮などの構造変化も関係している可能性、という見方はできますが、これはあくまで目安です。
シワの種類や治療方法を正確に判断したい場合は、皮膚科や美容皮膚科で相談するとよいでしょう。
参考文献
Nisbet S, Mahalingam H, Gfeller CF, et al. Cosmetic benefit of a biomimetic lamellar cream formulation on barrier function or the appearance of fine lines and wrinkles in randomized proof-of-concept clinical studies. Int J Cosmet Sci. 2019;41(1):1-11.
Lueangarun S, Tragulplaingam P, Sugkraroek S, Tempark T. The 24-hr, 28-day, and 7-day post-moisturizing efficacy of ceramides 1, 3, 6-II containing moisturizing cream compared with hydrophilic cream on skin dryness and barrier disruption in senile xerosis treatment. Dermatol Ther. 2019;32(6):e13090.
Kaltchenko MV, Chien AL. Photoaging: Current Concepts on Molecular Mechanisms, Prevention, and Treatment. Am J Clin Dermatol. 2025;26(3):321-344.
2026/08/27 出口詩朋子
Q5. ツバメの巣とセラミドを一緒に取れば効果は高くなりますか?
現時点では、ツバメの巣とセラミドを組み合わせることで、それぞれ単独よりシワや乾燥肌への効果が高まると示したヒト臨床試験は確認できません。
セラミドについては、外用保湿剤だけでなく、経口の植物・酵母由来グルコシルセラミドなどにも、肌の水分量やTEWLへの影響を調べたヒト試験があります。例えば、酵母由来グルコシルセラミドを4週間摂取した二重盲検クロスオーバー試験では、プラセボと比較して前腕のTEWLが有意に低下しました。
一方、ツバメの巣にも別のヒト臨床研究があります。
2022年に40〜60歳の女性を対象として行われた無作為化二重盲検プラセボ対照試験では、ツバメの巣抽出物100mgを12週間摂取した群で、シワの指標がプラセボ群より有意に改善しました(105人が登録され、解析対象は各群43人ずつの計86人)。ただし、この試験では肌の水分量について群間の有意差は認められていません。
その後、2026年に行われた別のヒト介入試験では、健康な成人がツバメの巣を90日間摂取した結果、対照群と比較して角層水分量が有意に増加しました。皮膚の弾力や真皮コラーゲン密度などにも変化が報告されています。ただし、この試験にはプラセボが設定されておらず(評価者側のみを盲検化)、対象人数も限られ、ツバメの巣を扱う企業から資金提供を受けています。
しかし、これらはそれぞれ別々に行われた研究であり、「セラミドとツバメの巣を同時に摂取すると相乗効果が生まれる」ことを示したものではありません。
したがって現時点では、セラミドは外用・経口の両方で肌の保湿やバリア機能に関する研究があるもの、ツバメの巣はシワや肌の水分量などに関するヒト研究があるもの、両者の併用については相乗効果を直接確認した臨床研究がまだないもの、と整理するのが適切です。
両方を美容習慣として取り入れることは考えられますが、保湿や紫外線対策などの基本的なスキンケアを土台にし、それぞれを補助的な選択肢として考えるとよいでしょう。
参考文献
Fukunaga S, Wada S, Sato T, et al. Effect of Torula Yeast (Candida utilis)-Derived Glucosylceramide on Skin Dryness and Other Skin Conditions in Winter. J Nutr Sci Vitaminol. 2018;64(4):265-270.
Kim HM, Lee YM, Kim EH, et al. Anti-Wrinkle Efficacy of Edible Bird’s Nest Extract: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled, Comparative Study. Front Pharmacol. 2022;13:843469.
Zhang W, Wang D, Zhang Y, et al. Dietary edible bird’s nest improves skin hydration by upregulating EGFR-AQP5 pathway. J Funct Foods. 2026;140:107266.
2026/08/27 出口詩朋子
セラミドについて何を覚えておけばいい?
セラミドは、肌の一番外側にある角層で、水分を逃がしにくくし、外からの刺激を入りにくくするために重要な脂質です。50代以降では角層脂質の量や組成が変化し、乾燥しやすくなるため、保湿ケアでセラミドを意識することには意味があります。
一方、セラミドは「深いシワを消す成分」ではありません。乾燥による細かな線には関係しやすいものの、紫外線や加齢による真皮の変化には別の対策も必要です。
まずは毎日の保湿と紫外線対策を基本にし、必要に応じてセラミド配合化粧品や食品を補助的に取り入れる。そのくらいの距離感で付き合う方が、研究で分かっていることに沿った選び方です。
著者情報
出口 詩朋子(でぐち しほこ)
乾燥肌・シワ研究チーム 研究員
ツバメの巣研究所 研究員
ATHENA株式会社(HESTIAP 美容リサーチャー)



