乾燥肌ケア
保湿しすぎると肌が怠けるって本当?研究でわかったことを40代向けにわかりやすく解説

保湿で肌が怠けて乾燥しやすくなると示した研究は見当たりません。ただ、保湿剤の成分によって肌のバリアへの影響が違うことはわかっており、選び方が大切です。
「保湿しすぎると肌が怠ける」と聞いて、不安になっていませんか?
「保湿をしすぎると、肌が自分でうるおう力をなくしてしまう」「何もつけない“肌断食”をしたほうが、肌本来の力がよみがえる」。そんな話を、雑誌やSNSで見かけたことはありませんか。
40代になって乾燥が気になり、化粧水やクリームをていねいに重ねている方ほど、「もしかして、つけすぎてかえって肌を甘やかしているのかも」と不安になってしまいますよね。一方で、皮膚科では「乾燥肌にはしっかり保湿を」と言われることも多く、どちらを信じればよいのか迷ってしまうと思います。
この記事では、「保湿しすぎると肌が怠ける」という説が本当なのかについて、研究をもとに、やさしい言葉でお伝えします。そのうえで、40代の乾燥肌に合った、上手な保湿の方法もご紹介します。
保湿しすぎると肌が怠けるって本当?
結論からお伝えすると、保湿をすることで肌が「怠けて」、自分でうるおう力をなくし、乾燥しやすくなることを示した研究は、私たちが調べたかぎりでは見当たりませんでした。むしろ、乾燥肌や湿疹のある肌では、保湿剤を使うことで肌の状態がよくなることが、多くの研究で示されています。
ただし、健康な肌を対象にした研究では、保湿剤を長く使ったあと、刺激を受けやすくなっていたという結果もあります。そして、その影響は保湿剤の成分によって違い、反対に肌のバリアを強くする保湿剤もありました。
つまり、問題は「保湿のしすぎ」で肌が怠けることではなく、「どんな保湿剤を、どんな肌に使うか」だと考えられます。くわしく見ていきましょう。
保湿は肌にどう影響する?
乾燥肌や湿疹では保湿は役立つ?
2017年のコクラン・レビュー「Emollients and moisturisers for eczema」は、湿疹(アトピー性皮膚炎)の人に保湿剤を使った77の研究、あわせて6,603人の結果をまとめたものです(コクラン・レビューは、医療の研究を国際的な基準でまとめた、信頼性の高い総説です)。
その結果、保湿剤を使うと、使わない場合とくらべて、症状が悪くなる回数が少なくなり、症状が悪くなるまでの期間が長くなっていました(中央値で180日と30日)。また、ステロイドの塗り薬の量も少なくてすんでいました。著者らは、ほとんどの保湿剤に何らかのよい効果があるとしています。一方で、どの保湿剤がほかより優れているかについては、信頼できる根拠は見つからなかったとしています。
参考:van Zuuren EJ, et al. Emollients and moisturisers for eczema. Cochrane Database Syst Rev. 2017.
この研究は湿疹の人を対象にしたもので、多くの研究で証拠の質は低いとされています。それでも、保湿剤を使い続けることで、乾燥しやすい肌の状態が悪くなるのではなく、よい状態が長く保たれることを示す結果です。
保湿をやめるとどうなる?
2010年の研究「Treatment with a barrier-strengthening moisturizer prevents relapse of hand-eczema」は、治療で手湿疹がよくなった53人を、尿素5%入りの保湿剤を使うグループと、何も塗らないグループに分けてくらべたものです。その結果、湿疹が再発するまでの期間は、保湿剤のグループで20日、何も塗らないグループで2日(いずれも中央値)と、保湿剤のグループのほうが長くなっていました。著者らは、保湿剤を使うことで、湿疹が落ち着いている期間を長くできるようだとしています。
なお、この研究は保湿剤をつくる企業に所属する研究者によるもので、使った保湿剤も肌のバリアを強くすることがわかっているものでした。著者らも、ほかの保湿剤で同じ結果になるかはまだわからないとしています。
健康な肌では刺激を受けやすくなる?
一方で、「保湿しすぎると肌が怠ける」という説のもとになっているかもしれない研究もあります。1999年のデンマークの研究「Effect of long-term use of moisturizer on skin hydration, barrier function and susceptibility to irritants」は、健康な人に、片方の腕だけ保湿剤を1日3回、4週間塗ってもらったものです。その後、両方の腕に、肌への刺激物(洗浄成分の一種)を貼りつけて反応をくらべました。
その結果、保湿剤を塗っている間は、肌のうるおいがはっきりと高まっていました。しかし、刺激物を貼りつけたあとでは、保湿剤を塗っていた腕のほうが、肌から逃げる水分の量が多くなっていました。著者らは、健康な肌に保湿剤を長く使うと、刺激を受けやすくなる可能性があるとしています。
この研究は、乾燥肌ではない健康な肌を対象にしたもので、使われた保湿剤も1種類だけです。また、「肌が自分でうるおう力をなくした」ことを調べたものではありません。
保湿剤の成分によって結果は違う?
この疑問に答える研究があります。2007年のスウェーデンの研究「Changes in skin barrier function following long-term treatment with moisturizers, a randomized controlled trial」は、健康な78人を5つのグループに分け、それぞれ片方の腕に、成分の違う保湿剤を7週間塗ってもらったものです。使ったのは、成分をしぼったシンプルなクリーム3種類(うち1種類は尿素5%入り)、油分をふくまないジェル、そして尿素5%入りのふつうのクリーム(いくつもの成分を組み合わせた、一般的なつくりのもの)でした。
その結果、シンプルなクリームと油分のないジェルでは、肌から逃げる水分の量が増え、刺激物への反応も強くなっていました。一方で、尿素5%入りのふつうのクリームでは、反対に、肌から逃げる水分の量が減り、刺激物への反応も弱くなっていました。なお、どの保湿剤も、それ自体は肌への刺激にはなっていませんでした。著者らは、保湿剤は健康な肌のバリア機能に影響し、その影響は保湿剤の成分によって決まると結論づけています。
つまり、「保湿をすると肌が弱くなる」のではなく、「肌のバリアを弱める保湿剤もあれば、強める保湿剤もある」ということです。
どんな成分が肌のバリアに関わる?
2003年のスウェーデンの総説(多くの研究をまとめた論文)「Role of topical emollients and moisturizers in the treatment of dry skin barrier disorders」は、乾燥肌に使われる保湿剤の働きについてまとめたものです。この総説では、保湿剤の中には、肌の状態を悪くするものもあれば、見た目や肌のバリア機能をよくするものもあるとしています。
たとえば、成分を混ぜ合わせるために使われる「乳化剤」は、肌のバリアを弱めることがあるとしています。一方で、ワセリンは、脂質が失われた角層(肌のいちばん外側の層)のバリアをすぐに修復する働きがあり、尿素入りの保湿剤は、アトピー性皮膚炎や魚鱗癬(ぎょりんせん)の人で、肌から逃げる水分の量を減らしたとしています。また、尿素は、健康な肌やアトピー性皮膚炎の肌を、刺激物に反応しにくくするとしています。著者は、保湿剤は肌の状態に合わせて選ぶのが理想的だとしています。
なぜ「保湿しすぎると肌が怠ける」と言われる?
研究では、保湿によって肌が怠けることは示されていないのに、なぜこうした説が広まっているのでしょうか。研究で確かめられていることと、一つの見方とを分けてお伝えします。
健康な肌での研究結果が広まった?
先ほどのように、健康な肌に保湿剤を長く使うと、刺激を受けやすくなったという研究があることは事実です。これは研究で確かめられていることです。
ただ、ここからは一つの見方としてお読みください。この結果が、「保湿をすると肌が怠ける」というわかりやすい言葉に置きかえられて広まった可能性も考えられます。しかし、同じテーマを調べた別の研究では、成分によっては、反対に肌のバリアが強くなっていました。また、この研究は健康な肌が対象で、乾燥肌の人にそのまま当てはまるわけではありません。
ふたをすると肌の回復が遅れる?
これも研究に関係する話です。1992年のアメリカの研究「Effects of petrolatum on stratum corneum structure and function」によると、それ以前に行われたマウスの研究では、肌を空気を通さないものでおおうと、こわれた肌のバリアの回復が遅れることが示されていました。そのため、ワセリンのような油で肌をおおうと、肌のバリアの回復をじゃましてしまうのではないか、と考えられていました。
しかし、この研究で人の協力者の肌を調べたところ、ワセリンを塗った場所では、バリアの回復が遅れるのではなく、むしろ早まっていました。著者らは、ワセリンは肌の表面で水を通さない膜をつくるのではなく、角層のすき間全体に入りこみ、肌のバリアが正常に回復できるようにしていると結論づけています。
「肌をおおうと、肌が自分で回復しなくなる」というイメージが、「保湿で肌が怠ける」という説につながっている面もあるのかもしれません。
水分を与えすぎると肌に影響する?
これも研究で確かめられていることです。2019年の日本の研究「Impact of water exposure on skin barrier permeability and ultrastructure」は、10人の腕に水をふくませたシートを3時間貼りつけたものです。その結果、角層の水分は大きく増えましたが、角層の細胞のすき間のつくりが変わり、ほかの物質が肌に入りこみやすくなっていました。著者らは、肌が水分をふくみすぎると、刺激物やアレルギーのもとが肌に入りやすくなる可能性があるとしています。
この研究は、水のシートを3時間も貼りつけた特別な条件でのものです。ふだんの化粧水やクリームの使い方で同じことが起こるとはいえません。ただ、「水分を与えれば与えるほどよい」とはかぎらないことは、「保湿しすぎはよくない」という考えと重なる部分があるのかもしれません。
「肌断食」のブームも関係している?
ここからは、研究で確かめられたことではなく、一つの見方としてお読みください。「何もつけないほうが肌本来の力がよみがえる」という考え方は、「シンプルなケアがよい」「自然なままがよい」という気持ちに響きやすいのかもしれません。また、たくさんの化粧品を重ねて肌が荒れた経験のある人が、ケアを減らしたら落ち着いた、ということもあるでしょう。その場合、よくなった理由は「保湿をやめたから」ではなく、「肌に合わない成分を使わなくなったから」である可能性も考えられます。
研究を一覧でくらべると?
ここまでご紹介した研究を、「どんな研究か」「だれを対象にしたか」「どんな条件か」「どんな結果か」「どこに限界があるか」で一覧にしました。研究によって対象や条件が大きく違うことがわかります。
| 研究(発表年) | 研究のタイプ | 対象 | 条件 | 結果 | 限界・注意点 |
|---|---|---|---|---|---|
| van Zuuren ほか(2017) Cochrane Database Syst Rev | 研究のまとめ(コクラン・レビュー/77研究) | 湿疹(アトピー性皮膚炎)の人 6,603人 | 保湿剤を使う場合と使わない場合をくらべる | 症状が悪くなる回数が減り、悪くなるまでの期間が長くなった(中央値で180日と30日)。ステロイドの塗り薬の量も少なくてすんだ | 多くの研究で証拠の質は低い。どの保湿剤がより優れているかは、信頼できる根拠がない |
| Lodén ほか(2010) Acta Derm Venereol | ランダム化比較試験(オープン試験) | 治療で手湿疹がよくなった53人 | 尿素5%入りの保湿剤を塗るグループと、何も塗らないグループをくらべる | 再発までの期間は、保湿剤のグループで20日、何も塗らないグループで2日(いずれも中央値) | 保湿剤をつくる企業に所属する研究者による研究。ほかの保湿剤で同じ結果になるかはわからない |
| Held ほか(1999) Acta Derm Venereol | 人での比較試験(片方の腕だけに塗る) | 健康な人 | 保湿剤を片方の腕に1日3回・4週間塗り、そのあと両腕に刺激物(洗浄成分の一種)を貼る | 塗っている間は肌のうるおいが高まった。刺激物を貼ったあとは、塗った腕のほうが肌から逃げる水分の量が多かった | 健康な肌が対象で、保湿剤は1種類だけ。「肌が自分でうるおう力をなくした」ことを調べたものではない |
| Buraczewska ほか(2007) Br J Dermatol | ランダム化比較試験 | 健康な78人(5グループ) | 成分の違う保湿剤5種類のどれかを、片方の腕に7週間塗る | シンプルなクリームと油分のないジェルでは、水分が逃げやすく刺激にも反応しやすくなった。尿素5%入りのふつうのクリームでは、反対に水分が逃げにくく、刺激にも反応しにくくなった | 健康な肌が対象。乾燥肌の人にそのまま当てはまるとはかぎらない |
| Lodén(2003) Am J Clin Dermatol | 総説(研究をまとめた論文) | 乾燥肌に使われる保湿剤の研究 | 保湿剤の成分ごとの働きを整理 | 乳化剤は肌のバリアを弱めることがある。ワセリンは角層のバリアをすぐに修復し、尿素は肌から逃げる水分を減らして、刺激に反応しにくくする | 新しい実験ではなく、研究をまとめた解説。尿素は人によってしみることがある |
| Ghadially ほか(1992) J Am Acad Dermatol | 人の肌での実験 | 人の協力者(バリアをこわした肌) | 肌のバリアをこわしたあと、ワセリンを塗る | バリアの回復は遅れるのではなく、むしろ早まった。ワセリンは角層のすき間に入りこみ、正常な回復を助けていた | ワセリンについての結果。ほかの保湿剤にそのまま当てはまるとはかぎらない |
| Ogawa-Fuse ほか(2019) Contact Dermatitis | 人での実験 | 10人の腕 | 水をふくませたシートを3時間貼る | 角層の水分は大きく増えたが、細胞のすき間のつくりが変わり、ほかの物質が肌に入りこみやすくなった | 水のシートを3時間貼る特別な条件。ふだんの化粧水やクリームで同じことが起こるとはいえない |
| Engebretsen ほか(2016) J Eur Acad Dermatol Venereol | 総説(研究をまとめた論文) | 湿度・気温と肌のバリアに関する研究 | 湿度や気温の違い | 湿度が低く気温が低い環境では、肌のバリア機能が全体的に低下する | 環境の影響をまとめたもので、特定の保湿剤の効果を調べたものではない |
この表からわかることは、次の3つです。
- 湿疹や乾燥しやすい肌を対象にした研究では、保湿剤を使うことで、よい状態が長く保たれていました。
- 「刺激を受けやすくなった」という結果は、健康な肌に特定の保湿剤を使った研究で見られたものです。
- 同じ健康な肌でも、尿素5%入りのふつうのクリームでは、反対に肌のバリアが強くなっていました。結果を分けたのは「保湿の量」ではなく「保湿剤の成分」でした。
40代の乾燥肌に合った保湿の方法は?
ここからは、乾燥しやすい40代の肌のために、研究や皮膚科の専門家がすすめる保湿の方法をご紹介します。
保湿をやめる必要はある?
乾燥肌の方が、「怠けるのが心配だから」と保湿をやめる必要はないと考えられます。米国皮膚科学会(AAD)は、乾燥肌を治すうえで、保湿剤は大切な役割を果たすとし、1日に何回か保湿剤を塗るようすすめています。とくに、入浴後や手を洗ったあと、肌がまだしめっているうちに塗ることや、肌が乾いたと感じたときに塗ることをすすめています。
参考:American Academy of Dermatology. Dermatologists’ top tips for relieving dry skin.
どんな保湿剤を選ぶとよい?
先ほどの研究のように、保湿剤は成分によって肌のバリアへの影響が違います。AADは、乾燥肌には、ローションよりもうるおいを与える効果が高いクリームや軟膏を選び、次のような成分を1つ以上ふくむものを選ぶようすすめています。
- グリセリン、ヒアルロン酸、乳酸
- ホホバオイル、シアバター、ラノリン
- ジメチコン、ミネラルオイル、ワセリン
また、香料の入っていない製品を選ぶこともすすめています。
参考:American Academy of Dermatology. Dermatologists’ top tips for relieving dry skin.
研究で肌のバリアを強くする結果が出ている尿素入りの保湿剤も、選択肢の一つです。ただし、尿素は、人によってはしみるなどの刺激を感じることがあると、先ほどの総説で述べられています。
40代の乾燥肌は、肌の状態別にどの成分を選べばよい?
ここまでの研究と米国皮膚科学会(AAD)のすすめをもとに、40代の乾燥肌でよくある肌の状態ごとに、選びたい成分と注意点を表にまとめました。
| 肌の状態 | 選びたい成分・タイプ | 理由(根拠) | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 全体的にカサつく・つっぱる | グリセリン、ヒアルロン酸、乳酸などに加え、ワセリン、ミネラルオイル、ジメチコンなどをふくむクリームや軟膏 | AADは、乾燥肌にはローションよりクリームや軟膏を選び、これらの成分を1つ以上ふくむものをすすめている | 香料の入っていない製品を選ぶ |
| ガサガサ・ザラザラして、肌のバリアが気になる | 尿素入りの保湿クリーム | 健康な肌の研究で、尿素5%入りのふつうのクリームは肌から逃げる水分を減らし、刺激に反応しにくくしていた(Buraczewska 2007/Lodén 2003) | 人によってはしみるなどの刺激を感じることがある(Lodén 2003) |
| バリアが弱っている・荒れたあと | ワセリン | 人の肌の研究で、ワセリンはバリアの回復を遅らせず、むしろ早めていた(Ghadially 1992)。総説でも角層のバリアをすぐに修復するとされている(Lodén 2003) | ひりひり感や刺激がある場合は皮膚科医に相談する(AAD) |
| 刺激を感じやすい・新しい化粧品が不安 | 香料の入っていない製品を、数をしぼって使う | 乳化剤など肌のバリアを弱めることがある成分もあり(Lodén 2003)、製品を重ねるほど合わない成分にふれる機会が増えると考えられる | 新しい製品は腕の内側などに1日2回、7〜10日間塗って試してから使う(AAD) |
| 冬・空気が乾燥する季節 | クリームや軟膏(ワセリンなどをふくむもの)で、しっかり保湿 | 湿度が低く気温が低い環境では、肌のバリア機能が全体的に低下する(Engebretsen 2016) | 入浴後や手を洗ったあと、肌がまだしめっているうちに塗る(AAD) |
| 夏・ベタつきが気になる | グリセリンやヒアルロン酸などをふくむ、軽めのもの | 季節や肌の状態に合わせて保湿剤を選ぶのがよい(Engebretsen 2016) | 健康な肌の研究で、油分のないジェルを長く使うと水分が逃げやすくなっていた(Buraczewska 2007)。軽いものだけに頼りすぎない |
※この表は、記事内で紹介した研究と米国皮膚科学会の情報をもとに整理したものです。肌の状態には個人差があり、すべての方に同じ結果を約束するものではありません。ケアを続けても乾燥が続く場合は、皮膚科を受診してください。
化粧品を重ねすぎていない?
保湿は大切ですが、たくさんの化粧品を重ねればよいというわけではありません。先ほどの総説のように、保湿剤には肌のバリアを弱めることがある成分がふくまれる場合もあり、製品の数が増えるほど、肌に合わない成分にふれる機会も増えると考えられます。化粧水、美容液、乳液、クリームと何種類も重ねている方は、自分の肌に合うものにしぼってみるのも一つの方法です。
新しい保湿剤は肌に合うか試す?
AADは、新しいスキンケア製品を使う前に、腕の内側やひじの内側など、こすれたり洗い流されたりしにくい場所に、ふだんと同じ量を1日2回、7〜10日間塗って、肌に合うかを試すようすすめています。赤み、かゆみ、はれなどが出なければ、使い始めてよいとしています。
参考:American Academy of Dermatology. How to test skin care products.
季節や肌の状態に合わせて調整する?
肌の状態は、季節によって変わります。2016年の総説「The effect of environmental humidity and temperature on skin barrier function and dermatitis」は、湿度が低く気温が低い環境では、肌のバリア機能が全体的に低下すると結論づけています。冬はクリームや軟膏でしっかり保湿し、湿度の高い夏は軽めのものにするなど、季節や肌の状態に合わせて保湿剤を選ぶとよいでしょう。
また、AADは、保湿剤などを塗ってひりひり感や刺激がある場合は皮膚科医に伝えること、ケアを続けても乾燥肌が続く場合は皮膚科を受診することをすすめています。
参考:American Academy of Dermatology. Dermatologists’ top tips for relieving dry skin.
ツバメの巣は乾燥肌を内側から支える?
ここまでお伝えしたとおり、乾燥肌のケアでは、肌に合う保湿剤を選んで続けることが基本です。そのうえで、食生活など体の内側からのケアにも関心のある方に向けて、補足として食用ツバメの巣の研究をご紹介します。
保湿とツバメの巣を組み合わせた研究は、私たちが調べたかぎりではまだ見当たりません。ただ、肌が自分でうるおいを保つしくみに関わる「肌のバリア機能」や「肌の水分量」について、ツバメの巣でも研究が進められています。
肌のバリアに関わる研究は?
2021年の研究「Edible Bird’s Nest, an Asian Health Food Supplement, Possesses Moisturizing Effect by Regulating Expression of Filaggrin in Skin Keratinocyte」は、人の肌の細胞を使った実験です。ツバメの巣のエキスや、酵素で分解したものを細胞に加えたところ、角層のバリア機能に関わる「フィラグリン」と「フィラグリン2」というたんぱく質が大きく増えていました。とくに、酵素で分解したもののほうが、その働きが強く見られました。
この研究は細胞での実験で、人が食べたときに同じことが起こると確かめたものではありません。それでも、肌が自分でバリアをつくるしくみを内側から支えることに関わる研究として、注目したい結果です。
肌の水分量についての研究は?
2021年の研究「Standardized Edible Bird’s Nest Extract Prevents UVB Irradiation-Mediated Oxidative Stress and Photoaging in the Skin」は、毛のないマウスに紫外線(UVB)を当てながら、ツバメの巣のエキスをとらせたものです。その結果、ツバメの巣のエキスをとったマウスでは、うるおい成分の「ヒアルロン酸」をつくる働きや、「セラミド」をつくる酵素の働きが高まり、肌の水分量が増えていました。
これもマウスと細胞での研究です。ツバメの巣は保湿剤などの外側からのケアの代わりになるものではありませんが、外側からのケアに加えて、内側からも肌のうるおいを支えたい方にとって、研究が進められている食材の一つです。
ツバメの巣ゼリーを取り入れるなら?
HESTIAPのツバメの巣スティックゼリーは、毎日の食生活に取り入れやすい食品の選択肢の一つです。ただし、上の研究で使われた食品と同じものではなく、乾燥肌をよくすることを示すものでもありません。まずは肌に合う保湿剤でのケアを続け、成分や食べ方に納得したうえで選んでいただくのがよいと思います。
ツバメの巣ゼリーを続けている方の声
40代・Wさん
モニターを依頼されて、一日一本、2ヶ月摂取しました。
保湿やアンチエイジングに効果があると聞き、興味がありました。
(中略)
摂取を始めて2、3日後、肌がしっとりしていることを実感しました。
(後略)
40代・KTさん
(前略)
化粧水等つける時顔も手もガサガサ、ザラザラと傷つけ合ってるような引っかかる感触。
(中略)
2週間後(1日3本)
ガサガサ ザラザラ感治まってきて肌がやわらかくなってきたような♡
化粧水つける時も傷つけ合うような引っかかる感触はなくなりました。
(中略)
4週間後(1日2本)
もうかゆみもなし。ガサガサ ザラザラも気になりません♪
肌もすごくやわらかくなって化粧水つけると吸収して潤ってるって感じです♡
(後略)
※上記は個人の感想です。すべての方に同じ変化や実感が生じることを示すものではありません。
保湿などの外側からのケアに加えて、内側からのケアも試してみたいと感じた方は、商品の詳しい内容をこちらからご覧いただけます。
まとめ:保湿しすぎると肌が怠けるって本当?
保湿をすることで肌が「怠けて」、自分でうるおう力をなくし、乾燥しやすくなることを示した研究は、私たちが調べたかぎりでは見当たりませんでした。湿疹の人を対象にした研究のまとめでは、保湿剤を使うことで症状が悪くなる回数が減っていました。一方で、健康な肌に保湿剤を長く使うと刺激を受けやすくなったという研究もありますが、別の研究では、その影響は保湿剤の成分によって違い、尿素5%入りのふつうのクリームでは反対に肌のバリアが強くなっていました。つまり、大切なのは「保湿をやめること」ではなく、「肌に合った保湿剤を選ぶこと」です。乾燥肌の方は、グリセリンやワセリンなどが入った、香料の入っていないクリームを選び、肌がしめっているうちに塗りましょう。新しい製品は腕の内側などで試してから使い、季節や肌の状態に合わせて保湿の量や種類を調整してください。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 保湿しすぎると肌が自分でうるおう力をなくしますか?
A. そうしたことを示した研究は、私たちが調べたかぎりでは見当たりません。むしろ、湿疹の人を対象にした研究のまとめでは、保湿剤を使うことで、症状が悪くなる回数が減り、悪くなるまでの期間も長くなっていました。乾燥肌の方は保湿を続けましょう。
参考:van Zuuren EJ, et al. Emollients and moisturisers for eczema. Cochrane Database Syst Rev. 2017.
2026/10/20 乾燥肌・シワお悩み解決 中西 政文
Q2. 保湿剤を長く使うと肌が弱くなりますか?
A. 保湿剤の成分によって違います。健康な78人の研究では、シンプルなクリームや油分のないジェルを7週間使うと刺激に反応しやすくなりましたが、尿素入りのふつうのクリームでは反対に肌のバリアが強くなっていました。肌に合った保湿剤を選ぶことが大切です。
参考:Buraczewska I, et al. Changes in skin barrier function following long-term treatment with moisturizers, a randomized controlled trial. Br J Dermatol. 2007.
2026/10/20 乾燥肌・シワお悩み解決 中西 政文
Q3. 肌断食をすると乾燥肌はよくなりますか?
A. 肌断食で乾燥肌がよくなることを確かめた研究は、私たちが調べたかぎりでは見当たりません。米国皮膚科学会は、乾燥肌を治すうえで保湿剤は大切な役割を果たすとし、1日に何回か塗るようすすめています。化粧品が合わないと感じる場合は、皮膚科で相談しましょう。
参考:American Academy of Dermatology. Dermatologists’ top tips for relieving dry skin.
2026/10/20 乾燥肌・シワお悩み解決 中西 政文
Q4. ワセリンで肌をおおうと肌の回復が遅れますか?
A. 人の肌を使った研究では、遅れるのではなく早まっていました。1992年の研究では、肌のバリアをこわしたあとにワセリンを塗ると、バリアの回復が早まっていました。ワセリンは角層のすき間に入りこみ、肌の回復をさまたげない働き方をしているとされています。
参考:Ghadially R, et al. Effects of petrolatum on stratum corneum structure and function. J Am Acad Dermatol. 1992.
2026/10/20 乾燥肌・シワお悩み解決 中西 政文
Q5. ツバメの巣は肌のうるおいに役立ちますか?
A. 肌のうるおいを守るしくみについて、研究が進められています。人の肌の細胞を使った実験では、ツバメの巣のエキスによって、角層のバリア機能に関わるフィラグリンが増えていました。細胞での研究のため、保湿剤によるケアの代わりではなく、内側からのケアの一つとして考えましょう。
参考:Lai QWS, et al. Edible Bird’s Nest, an Asian Health Food Supplement, Possesses Moisturizing Effect by Regulating Expression of Filaggrin in Skin Keratinocyte. Front Pharmacol. 2021.
2026/10/20 乾燥肌・シワお悩み解決 中西 政文
著者情報
中西 政文(なかにし まさふみ)
乾燥肌・シワ研究チーム 代表
ツバメの巣研究所 所長
ATHENA株式会社 代表取締役(HESTIAP 代表)



